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【地方創生】コンサル丸投げにしない自治体経営を

声を形に、新しい日南!

週刊東洋経済が5月号で特集した「溶ける!地方創生マネー 喰われる自治体」を読みました。

地方に関わる専門家の間では話題にはなっていました。今更ながら、私も考えをまとめたいと思います。


企業版ふるさと納税を悪用?

特集のテーマは、「地方自治体が東京などの都市圏のコンサルに食い物にされている!」。

題材の一つとして、「企業版ふるさと納税」という制度を使って、自治体を「食い物にした」というコンサル会社の手口が取り上げられています。

ここで言う「食い物にした」というのは、「会社の利益のために自治体や制度を悪用した」という意味だと私はとらえています。

企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生事業に対し、企業が寄付を行った場合に、最大で寄付額の9割が税金から控除される仕組みです。

問題視されているのが、福島県国見町のケースです。
自治体コンサルを手掛ける「ワンテーブル」という会社が、地方創生事業を国見町に予算化させるところ(記事では「仕込み」と表現されています)から始まります。
また、その予算の原資には、ふるさと納税を使うことも合わせて提案します。

ワンテーブルの想定通り、国見町には、DMMグループの4社が4億3000万円を寄付しました。

町は2022年5月、その寄付を財源に、高性能な救急車の開発研究事業を計画。そして、コンサル会社「ワンテーブル」を通じて、先程のDMMグループの一社に救急車を発注しました。

こうして、DMMグループは、税控除を受けた上に、さらに救急車の受注して売上を立てることができ、ワンテーブルにはコンサル料が入ります。 

ふるさと納税という国のお金を使って、コンサル会社と寄付会社が儲けました。地域には高性能な救急車が残りましたが、この事業が本当に地域のためになったのかはわかりません。何故なら、この救急車は地域のために必要だから導入されたのではなく、コンサルと寄付会社が儲けるために導入された可能性があるからです。

「超絶いいマネーロンダリング」

記事の中では、この絵を描いたワンテーブル社長の録音音声も公開されています。

「ちっちゃい自治体って(うちが)「経営できるんですよ」

「財政力指数が0.5以下(の自治体)って、人もいない。ぶっちゃけ馬鹿です。そういうときうちは『第二役場』。行政の機能そのものを分捕(ぶんど)っている」

「超絶いいマネーロンダリング。仕事にして返す。キックバックじゃない。業務にして返す」

河北新報記者がこの問題を指摘し、悪質なやり方が表沙汰になりました。報道を受けて町は事業を停止。
国見町議会が本格的な検証に乗り出し、今月10日に報告書が公表されました。

11日の朝日新聞によると、国もこのやり方を問題視し、企業版ふるさと納税制度の使われ方も検証するようです。

現在、町長が辞任を要求されるほど町が揺れています。  


朝日新聞7月11日付朝刊

全国の自治体の8割が総合戦略を外注


記事内でも指摘されていますが、残念なのはこういう風に自治体をうまく丸め込もうとするコンサルは、氷山の一角だということです。

地域の課題は、地域に住んでいる人が一番わかっているはずです。

その課題解決を、コンサルに丸投げする自治体は衰退していくと思っています。

ある調査では、自治体の総合戦略について全国の8割の自治体がコンサルに丸投げして作ってもらっています。

その地域に一度も住んだことのないコンサルの人たちが、パソコンソフトのテンプレートに数字を打ち込みます。

きれいな計画書が出来上がり見栄えはいいですが、そこに魂はこもっているのでしょうか。

日南市もかつては、総合戦略をコンサルに外注してつくってもらっていましたが、崎田前市政で外注をやめました。

崎田恭平市長 今回の日南市重点戦略プランは、私が市長就任後初めて策定する総合計画であることから、策定作業当初から最終的な素案の作成まで、たび重なる協議等に可能な限り私も加わるようにし、コンサルタントにも頼らず、自前で深い思い入れを持ってつくり上げたものであります。

平成27年第5回定例会(第5号) 本文

今年は日南市の総合戦略の見直しの年です。
どのようなものができあがるのか。作成の過程にも注目しながら見ていきたいと思っています。

外注よりも職員研修を

元日南市マーケティング専門官の田鹿さんも、「溶ける地方創生マネー」について感想を書いています。

「都市部の企業よりも地方の企業が受託したほうが“乗数効果”が高い」などと分析しており流石だな、と思います。

地域の企業が、地域の事業を受注すべきだという考え方に私も全面的に同意します。
加えて大事にしたいのは、地域の課題解決については、外注よりも自治体職員の研修に力を入れるべきだ、ということです。

職員研修をすれば、その時点で研修費用がかかりますが、そこで学んだことは業務内で何度も実践する機会があり、すぐに投資回収ができます。

一方で、外注を続けていると職員は育たず、頼むたびに新しい費用が生じます。

これからの人材はプロフェッショナルではないといけないと思っています。
日南市でまちづくりを手掛けた実績を、ほかの地域でも実績としてアピールできるくらいの人材が育っていくのが理想です。

もちろん、高度に専門的なことはさすがに外注すべきです。
プログラミングを今から学ぶとか、そんなことを職員がする必要はないでしょう。
しかし、地域の課題解決に向けてデジタルを活用したり、民間企業と連携してプロジェクトを遂行したり。
ノウハウを積み上げて地域課題を解決するプロフェッショナルを育て上げることはとても重要になってきます。

日南であれば、職員が成長できる。
人手不足だからこそ、そんなブランド価値をつくっていくことで優秀な人材も自然と集まっていく仕組みにしなければなりません。

全国では、自ら課題に向きあい課題を解決する事例が増えている

記事内でも成功例として紹介されていますが、私が一時期、住んでいた愛知県岡崎市のQURUWAプロジェクト、取材で話を聞いた大阪府大東市の「morinekiプロジェクト」、近場では宮崎市の青島ビーチパークなど。自治体が自ら学び民間と連携して成果を上げている事例は全国にあります。

大阪府大東市のmorinekiプロジェクト

全国の成功事例を職員自らが学び、日南の課題に照らし合わせてまちづくりを行っていく。そんな流れをつくっていけば、必ず日南の魅力がもっともっと輝くはずです!

自ら学び、考え、実行する。

そうやって、新しい日南をつくっていきましょう!


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