
毛
昨日、ふと鏡をみて気づいた。毛が薄くなってきている。言わずもがな頭部の毛のことである。
男はハゲ、女は貧乳の呪われし一族の末裔たる私。いずれこうなることはわかっていたのでそれ自体にショックは受けない。むしろ我が一族はハゲてやっと一人前。未開の部族のバンジージャンプみたいなものである。ちなみに貧乳はすでにクリア済み。若いころに女性ホルモン入れても微動だにしなかった。これが選ばれし血筋の力である。
ただひとつ納得がいかなかったのが『ハゲる方向性』だ。
世には星の数ほどのおハゲ様がいらっしゃり、そのハゲっぷりも千差万別、まさに多様性の宝庫である。上から放射状におハゲになる方もいらっしゃれば、おでこからせりあがられる方、サイドから切れ込んでいかれる方もおられる。
私はどうやら、『おでこからせりあがる』と『サイドから切れ込む』のダブルで進行するタイプのようだ。よくばりバリューセットである。よくばりハゲなんて運命を背負わされるのならば、身体だってよくばりワガママボディにしてくれればよかったのにと神を恨んだ。
よくばりバリュー的にハゲていく。つまり毛沢東的ハゲになることが確定した。
こんな感じ。これがそう遠くない未来の私の御姿である。
毛沢東は中国語ではマオ・ツォードンと読む。ハゲ界隈の大先輩、偉大なる国家主席にあやかって、私もトランスジェンダーとしての通称名を『真希(まき)』から『毛(まお)』に変えるつもりだ。頭部から毛が消えた分、氏名に毛をつける新手の植毛である。
ちなみに上記の似顔絵は、3年前ぐらいに社内の研修資料に使用したくて描いたものだ。他には先代の総書記とかも描いた。
こうやって見返してみると、先代に比べ国家主席の手抜きっぷりが目立つ。たぶん疲れていたんだろう。そして先代はふさふさである。なんと憎たらしい。そして若干、母に似ている。憎さ倍増である。