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【前編】Life Quest~釜石で〇〇する人たちの多様な生き方~第5歩目「ロールモデルチャレンジ」×小菅 篤仁
本記事は、岩手県釜石市で人生を探求し生き方を自分でつくることに挑戦し、様々な活動に取り組むゲストの生き方に迫っていくイベント型オンライン番組『Life Quest』の内容のアーカイブ記事になります。
今回は、2020年7月27日に実施された第5歩目「ロールモデルチャレンジ」に取り組む小菅 篤仁さんをご紹介します。実際の放送については、こちらよりご覧ください。
戸塚)本日のテーマは、ロールモデルチャレンジです。前半では小菅さんが行っている取り組みや小菅さんの視点からみたロールモデルチャレンジとは何かというところからお話しいただきます。
ゲストプロフィール:小菅篤仁
中央大学理工学部卒業後、大手流通会社に就職。2年間の店長業務を経てフランチャイズ店舗に対する経営アドバイス業務を担当。北海道、神奈川のエリアを歴任する。2006年に会社を退職後、自由業として色々な仕事を行っている際に知り合った仕事仲間が大槌町で被災。その縁で被災地における人的支援の必要性を感じ、2013年に一般社団法人RCFと業務委託契約を結び釜石で復興支援活動に従事。3年間の業務委託契約満了の後、釜石市大町にて飲食店「三陸ぱすた」を起業する。
ロールモデルチャレンジ
小菅)「ロールモデルチャレンジ」ということから説明させてもらいたいかなと思います。
1.地方移住のライフスタイルに関してのモデル
2.スモールビジネスの起業に対するモデル
小菅)私は自らが、これらのロールモデルになれないかという挑戦をしており、それに「ロールモデルチャレンジ」という名前を付けました。
現在、私は「三陸ぱすた」という飲食業の起業を通した5年間という計画で、「ロールモデルチャレンジ」を自ら実践しています。
小菅)私がどのように起業をしたかを簡単に説明していきます。最初に、起業してから3年経過した現在に来るまで結構大変でした。ここからは、お店ができる過程と、現在の状況を写真で見ていきます。
小菅)これは店内の状況なのですが、まったく何にもない状態で、この状態からスタートしました。スモールビジネスでなるべくお金をかけずに始めようという思いがありました。またありがたいことに、復興支援の時に関わりを持った地域の方々にボランティアで協力してもらい、設計や壁に漆喰を塗る作業からイスとテーブルまで、全て手作業で行いました。
みなさんと店内も協力して作りました。その中で、パスタなどを提供しながら、飲食店を経営しています。
ロールモデルチャレンジをした理由
小菅)そもそもなぜ私がこのチャレンジをしたかという理由は、これまでの仕事といろんな地域に住んだという経歴が関係しています。
小菅)僕は大学を卒業して、セブンイレブンに就職しました。最初は店長として横浜のお店で研修を2年受けました。この頃は渋谷区の実家住まいです。研修期間を終えた後、店舗コンサルタントとして北海道旭川市行きの辞令が出てマジかっておもいましたね。大企業ってすごいなって思いました・・・。
小菅)翌日には旭川市まで行って、勉強しながら5年間勤めました。生まれて初めての地方都市の生活に加えて、コンサルタントも初めてだったので苦労しましたね。
小菅)次に、都市部である神奈川の海老名市に戻ってきました。
大企業に勤めながら、地方都市の中でも都会よりな旭川、都会の中にいながらも地方都市のような海老名という2つのライフスタイルを経験しました。
小菅)そして、10年でセブンイレブンを退職し、2006年以降はフリーランスで色んな仕事をしていました。放浪する中で、実家に近くの世田谷区に住み、ここで5年ほど悩んでいた時期がありました。
小菅)僕がフリーランスの仕事で行き詰まっていた時、大槌在住の仕事仲間が東日本大震災で被災し、「三陸沿岸の方に来て復興支援の仕事を手伝ってみないか」とお誘いを受けたんですね。
きっかけをもらい、僕はRCFという復興支援を行う一般社団法人の説明会を受けに行きました。非常に面白い仕事で自分も貢献ができるのではないかと感じました。
小菅)ここで釜石と出会いました。釜石市は本当に地方都市だと思います。ここでRCFとして2016年まで仕事をしました。
そして2017年から現職の「三陸ぱすた」を釜石で行うようになりました。
これが僕の仕事との流れと居住地の変遷になります。
小菅)自分が住んだ地域と仕事の経験から学んだことは、コンサルタントやコーディネーターという仕事に限界を感じたことです。コンサルティングの仕事自体は必要だと思うんですけど、僕個人として感じたことは
1.自分自身で経験したことしか本質的には理解できない
2.自分も同じ立場にならないと本質的には理解できない
の2つを自分自身が働いていて、感じました。
小菅)例を2つ出すと、一つはOFCとしてオーナーさんと話していた時です。正論は言えても実際には出来ない理由やしたくない理由があるので、正論を言うだけが正しいことじゃないと感じました。もう一つは、釜石の市民団体のネクスト釜石や大町商店組合などのイベントをコーディネート業としてお手伝いする中で。他の方と同じように本業とは別で、地域活動をする立場になりたいと思ったからです。自分がどこまで出来るかを挑戦したいというのが学んだことになります。
小菅)また、他に、社会視点から特に首都圏への一極集中の状態が不自然だなと感じています。時代と共に豊かさの基準って変わってきているのに一極集中っておかしいなって思うんです。戸塚さんにお聞きしたいのですが、現在の豊かさの基準や幸せの条件ってどんなイメージですか?
戸塚)私は会話が好きなので、金銭的なものだけではなく、どういった人と人生の中で出会えるのか。どれだけ自分の価値観を育ててもらえる環境なのかというものが豊かさの基準だと感じています。しかし、釜石に来るまではそのようには感じていませんでした。
平元)私も戸塚さんの価値観に賛成です。昔はいい大学を出て、いい会社入って、お金を稼げるだけ稼ぐみたいな、肩書やブランドにこだわってしまっていた自分がいたと感じてます・・・
小菅)僕も30年前の幸せのキーワードとかを書き出してみたところ、30年前は終身雇用で一つの会社に勤め、ステップアップしていき、役職や給料、生活水準を上げていくというのが豊かさのイメージでした。加えて、男女格差もあり女性の社会進出も少なかった時代だったと思います。
一方で、景気の拡大などではなく、今は昔の価値観と比べてやりがいや生きがい、成長といったところの方が豊かさに直結していると思っています。
その変化の背景として、幸せの基準が変わってきていると思っているんですよね。日本という国が成熟して、また食べることには困らなく、女性の社会進出など共働きの中で互いに支え合いながら互いに成長していく幸せみたいな。
そう考えたときに、そのライフスタイルは都市部でも地方都市でもできるし、それぞれのメリット・デメリットがあるのではないかと。しかし、新しい価値観が浸透しておらず、一極集中が進んでいるのではないかなと思い至ったんです。
小菅)地方への移住を阻害や後押しする要素は、大きく分けて2つあると思います。
小菅)一つ目は、人間関係です。これは、配偶者や子供の教育などによるものです。二つ目は、収入手段です。これは、職の有無や給与水準などを指します。
この二つ目を考えたときに、地方移住を阻害している職の有無っていうのを、無ければ作っちゃおうかなと。
そして地方での「ライフスタイルってこういうのがあるよ」「仕事がなくても自分で作ればこれぐらいの生活はできるよ」というモデルになることに、5年計画として挑戦したのがロールモデルチャレンジです。
小菅)とはいうものの、なぜ未経験の飲食業にチャレンジしたのかというとこの理由は三つあります。初めにビジネスモデルが分かり易いこと。
それにより収入とかのイメージがしやすく、IT系の業種と違いモデルとなった人が特別なスキルや資格を持っていなくてもできる業種だからです。
次に他のビジネスとの親和性が高いこと。
復興支援の時に観光や物販などの全てに、食は絡んでいることを感じ、ラグビーの町である釜石ならスポーツ業など色んなものとの親和性が高いし、今後の発展性も見込めると分析して選択しました。
最後に初期費用・運営コストが低く済むこと。
仮に失敗したとしても、また立ち上がれるロールモデルとして、リスクを最小限にして始めようと思いました。人に提案した際、同じように始めようと思って頂きたいからです。最初に写真のように皆さんに手伝ってもらって初期投資を抑えて開業する事が出来ました。これらが今、僕が挑戦しているロールモデルチャレンジであり、なぜ飲食業で、なぜ釜石市でやっているのかという理由です。
戸塚)ありがとうございました。とても分かりやすかったです。とても参考になりました。さらっとおっしゃっていますが、本当にすごいことをやってらっしゃると思います。
小菅)いえいえ、これは自分が恵まれた環境であるということが一番に言えると思います。自分の人生を使って、実験をしていると思っていただければ思います笑
戸塚)小菅さんが自分の人生を使って実験をしているということを後半、更に深掘っていきたいと思います。
ー後編では小菅さんの人生について探求していきます!
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