【前編】Life Quest~釜石で○○する人たちの多様な生き方~第1歩目「地方創生」×石井 重成
本記事は、岩手県釜石市で人生を探求し生き方を自分でつくることに挑戦し、様々な活動に取り組むゲストの生き方に迫っていくイベント型オンライン番組『Life Quest』の内容のアーカイブ記事になります。
今回は、2020年5月18日に実施された、第1歩目「地方創生」に取り組む石井重成さんをご紹介します。実際の放送については、こちらよりご覧ください。
戸塚)本日のテーマは「地方創生」です。5分でリスナーの皆さんにわかりやすい「地方創生」についての考え方、釜石の取り組みに繋がる背景といったところをご紹介いただければと思います。よろしくお願い致します。
ゲストプロフィール:石井 重成/釜石市オーブンシティ推進室長
国際基督教大学を卒業後、経営コンサルティング会社を経て、東日本大震災を機に岩手県釜石市へ。地方創生の戦略立案や官民パートナシップを統括。
内閣官房シェアリングエコノミー伝道師、総務省地域情報化アドバイザー、青森大学客員准教授、一般社団法人地域・人材共創機構代表理事、1986年愛知県西尾市生まれ。『Arts of Local Career ローカルキャリア白書』を発刊。
地方創生とは?
石井)内閣府がこんな風に書いています。
とあるけど、分かるような分からないような感じじゃないですか(笑)
2015年に「地方創生」という言葉自体が生まれ、国が音頭を取って各地域で頑張りましょうっていうムーブメントがスタートしたわけです。その背景にある3つのキーワードを簡単にご紹介したいと思います。
1つ目が「少子化」ですね。どんどん産まれる赤ちゃんの数が減ってきてるっていうのが日本全体の問題としてあると。直近の2019年って1年間で何人子どもが産まれたか知っていますか?
平元)全然分からない・・・
石井)2019年で86万人超なんですね。一昔前って100万人くらいのイメージだったんですよ。どんどん産まれる子どもの数が減っていくと。よく指標として出てくる「合計特殊出生率」って言葉あるじゃないですか。あれって、一人の女性が生涯にわたって何人の子どもを産むのかっていう期待値なんですよね。最近の日本の全体の数値は1.42です。これが2ないと人って減ってちゃうんですね。イメージつくと思うんですけど、東京が圧倒的に一番低いんですよ、合計特殊出生率が。国全体でみると、東京に人がたくさん集まってくるとその分子どもが産まれなくなっていき、全体として人が減っちゃう問題っていうのが一つ目のキーワードです。
2つめは「高齢化」です。高齢化って僕ら子供の頃から教科書に書いてありましたよね。キーワードとして面白いのが「高齢化社会」という単語です。この定義ってご存じですか?
戸塚)高齢化率が何%以上と言われるものですか?
石井)高齢化社会っていうのは、高齢化率65歳以上の方が占める割合が7%以上になること。日本だといつだよ?みたいな。(日本だと)1970年代ぐらいだったかと。高齢社会っていう言葉が14%以上、超高齢社会が21%以上です。日本全体では28%を超えていて、もう次の言葉が必要なフェーズ。先進国含め、世界で類を見ないような高齢化が進展していく中で、どういう風に持続可能な社会の作り方、担い方をしていくのかってのが2つ目のキーワード。
3つ目が、特に地方圏地域における主語や課題になってきたキーワードなんですけど、日本創成会議っていう元々岩手県の知事をされていた増田さんが座長を務めた会に「消滅可能性都市」っていう言葉が出てきますよね。これ、2010~2030年にかけて、若い女性の数が半分以下になる町をこう呼んだんです。
その定義でいうと、半分以上日本の都市は当てはまってしまいます。どうするんだっていうのが、この地方創生っていうスタートの背景にある3つのキーワードです。各地で人口動態に関わる人口ビジョンを設定したり、その町が魅力的になっていく戦略をつくろうとしたのが5年前で、これが地方創生の全体観になります。
戸塚)ありがとうございます。おそらく釜石も消滅可能性都市に入ってるわけですよね。釜石の場合ですと、東日本大震災という出来事もあって、加速度的にこういった課題が浮き彫りになっている現実もある中で、釜石での取り組みにうつる前に、釜石の地方創生を考える上で、①人口減少をどういう風に捉えるのか、②持続可能な社会って、どういう風に描けるのか、みたいな基本的な考えの部分を伺ってから、次のコーナーにうつってもよろしいでしょうか。
石井)日本全体で人のパイが減っていく中で、釜石だけ人が増えていくってことは、現実感が薄いんだと思うんです。だとすると、東日本大震災から復興をしていく地域は、「何を縦軸にすべきか」という問いに向き合う必要があるんですよね。
この問いは当初からあったし、今もある。したがって人が減った増えたも、もちろん重要で、持続可能な人口減少対策をしていくことに加えて、その街が街として大切にしたい独自のKPIや価値観、哲学を持ちながら取り組むことが大事だと思います。
釜石市は「オープンシティ」という地域を開いていくことで内外の良質な交流機会が生まれて、地域のコミュニティ活動や経済活動を促していき、それがまた新しく資源を還流させていく。そのサイクルを生み出すことを念頭においています。
戸塚)何を縦軸に、街として大切にしたいものを考えていくのがオープンシティ戦略という考え方ということを伺った上で、釜石で取組んでいる地方創生の具体的な内容の部分を、この後お聞きしていけたらと思います。
ー中編では、石井さんが釜石で取組んでいる地方創生について探求していきます。
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