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【前編】Life Quest~釜石で〇〇する人たちの多様な生き方~第6歩目「建築≒幸せのデザイン」×宮崎 達也

本記事は、岩手県釜石市で人生を探求し生き方を自分でつくることに挑戦し、様々な活動に取り組むゲストの生き方に迫っていくイベント型オンライン番組『Life Quest』の内容のアーカイブ記事になります。       
今回は、2020年8月10日に実施された第6歩目「建築≒幸せのデザイン」に取り組む宮崎達也さんをご紹介します。実際の放送については、こちらよりご覧ください。


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ゲストプロフィール:宮崎 達也 氏
昭和46年生まれ 一級建築士
三重県鈴鹿市で株式会社宮崎建築事務所を経営。2012年から東日本大震災の被災地である岩手県釜石市に移住し、釜石と鈴鹿市の2拠点移住をしている。釜石では本業(建築設計)の傍ら、釜石大観音仲見世の再生に取り組んでいる。
2018年空き家になっていた、元おみやげ屋マルダイをシェアオフィスco-ba kamaisi marudai にリノベーションし、運営を行っている。その他、エリアマネジメントのための会社(合同会社sofo)を立ち上げ、直営するカフェ(sofo cafe)のリノベーションを手がける。
一方、地元鈴鹿では空き家活用ユニットblanc-Co(ブランコ)を立ち上げ活動中。

戸塚)今回のテーマは「建築≒幸せのデザイン」です。

建築≒幸せのデザインとは?

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幸せのデザインとは?

戸塚)本日のテーマは建築≒幸せのデザインです。このコンセプトは宮崎さんご自身の大切な言葉でもあり、同時に経営されている会社のコンセプトだそうです。ここからは宮崎さんにテーマの解説して頂きます。それではよろしくお願いします!

宮崎)まず前提として、自己紹介でも紹介していただいた部分がこのコンセプトに繋がっています。建物だけを作ることだけが建築ではないんですよね。3つの順に建物を作る、町を作る(都市計画)、家具を作るがあるので、それぞれ説明していきます。最初は建築の定義についてです。

建築とは? ~建築の三要素~

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宮崎)そもそも、建築っていう考え方が生まれたのは、19世紀からの近代なんです。その代表格がル・コルビジェというフランス人で、近代建築の三大巨匠の一人と言われる人です。皆さんあまりご存じないかと思いますが、コルビジェがデザインした2016年に建築群が世界遺産に登録されました。日本でも上野の国立西洋美術館が登録されました。

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宮崎)続いて、町を作るという面で、左の写真がコルビジェが作った模型を再現したもので、これは都市の提案模型です。この模型には、建物も提案に含まれているんですけど、その他周辺の都市を変える目的もあります。そして実際に作ったのが右の写真です。つまり、建物から輝く都市という概念も一緒に作っていった最たる例になります。

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宮崎)家具も建築の中の一つです。LCDシリーズというのは、コルビジェが立ち上げたメーカーで、名作といわれているものです。今も半沢直樹シリーズのドラマセットに使われたりしています。他にもコルビジェは、絵も描いたりしていて、それも建築の一部と考えられています。

わたしの建築 ~釜石にどう活かしているのか~

例1)吉里吉里保育園

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宮崎)ここからは私がどのように釜石の活性化に「建築」を活かしているかの例を話します。
私は現在、個人的に設計事務所をやっていて、空いている土地に単独で建物を建てることを仕事にしています。釜石では、写真の吉里吉里幼稚園を設計しました。

例2)釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクト

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宮崎)もう一つの町を作るという要素で、自己紹介でもありましたが、釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクトというものをやっています。まちをつくるというプロジェクトになります。これは建物だけではなく、町全体のリノベーションです。写真にもあるように、商店街のシャッターは店舗誘致を目的に塗り直し、景観を良くしました。やり始めたきっかけとしては、町全体を作るという考えから来たものです。

例3)「Mori-to-tetsu」

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宮崎)そして家具を作るということですが、これは釜石でさせて頂いた仕事です。地元の木材を使って家具の制作依頼を受け、こういった家具を作りました。自分が座りやすいものを作るのはもちろんですが、地域の経済を回すためにも地元の木材を使って作成するという観点から行いました。

宮崎)ここまで建築の三要素を話してきましたが、私にとっての「建築」とは、色んな分野に手を出しながら、一つテーマとして、幸せをデザインするというものを会社のミッションとして持っています。建物を設計するということだけではなく、その先。                     つまり、設計して使い手側にどうなって欲しいのかを考えること。使い手の幸せをデザインする、それこそ私の「建築」です。

戸塚)ありがとうございました!建築について話す時に、建築の範囲が広く、素人目に見てもわからない事がありました。家を建てる=建築ということは理解できたのですが、建築は幸せのデザインだとおっしゃっていて、かっこいいなと率直に思いました(笑)。話して頂いた事全てをかけ合わせながらお仕事されているのですね。

戸塚)今お話しいただいた建物、町、家具それぞれについて質問をさせて頂きたいと思います。まず、1つ目に建物をつくるということですが、隣町の大槌町に吉里吉里保育園を作られていますよね?どういう思いだったのか、詳しく教えていただけますか?

宮崎)これは私だけが考えたわけではないのですが、双眼鏡をイメージしました。この吉里吉里保育園は震災で被災していて、移転という形で高台に移っています。震災の4年後に完成し、高台からみる復興の様子を、園児が双眼鏡で見られるといったコンセプトを持っています。

戸塚)2つの窓と壁の虹色の部分が双眼鏡を表しているんですね。

宮崎)そうです。コンセプトでそうなりました。

平元)確かに言われてみれば双眼鏡ですね!!

戸塚)枠の部分も色がとてもかわいらしいですよね!

宮崎)この色は、私が提案しました。希望の色をイメージして。この時まだまだ復興し始めた時だったのですが、これを見た人が少しでも明るい気持ちになってくれたらと思ってこう言った色にしました。

平元)これを見ると明るい気持ちになれそうですね!それに、とても遊び心も感じます。

戸塚)続いて2つ目の町を作るについてですが、リノベーションプロジェクトをされていますが、これは5年前からの取り組みですか?

宮崎)はい。2015年、ちょうど5年前です。別のイベントをしていくうちに、商店街の景観を良くし、店舗誘致のためにシャッターをカラフルに塗るというアイデアが出ました。

戸塚)このプロジェクトで、シャッターを塗ること以外に取り組まれていることってありますか?

宮崎)流しそうめんを振る舞ったり、ハロウィンイベントも開きました。ある段階から縁結びのテーマでお祭り、マルシェ、その後に、実際に建物のリノベーションを行い、コアワーキングスペースの制作も行いましたね。これはうちの会社として行ったことです。

戸塚)宮崎さんはご存知だと思うんですけど、店舗がたくさん閉じてしまって、盛り上げて行こうという雰囲気が少ないと思うのですが、それでも始めようと思ったきっかけってなんでしょうか?

宮崎)正直、最初の取っ掛かり時点では、再生しようと思わなかったですね。ただ規模が大きくないということと建物自体も古くない。建築の職業をしている人間としては、最初に見たイメージよりはできるのではないかと思いました。プロだからこそ気づくことができたと思います。災害ボランティア活動を通じて現場の状況を詳しく知っていく内に、自分のスキルである建築の分野で解決できるのでは無いのかと思い始めました。

戸塚)私も当初、宮崎さんが建物や町並みに魅力があるおっしゃっていたことを思い出しました。

宮崎)建物と町並みが統一されていたんですよね。壁の色だったり、店先の感じとか。そういうところに価値を感じました。普通はバラバラだったりするのですが、がれきなども色が統一されていたり、元は良くてそういう部分で希望を持ちましたね。

戸塚)ありがとうございます。3つ目の家具を作るという部分で、釜石の鉄と木を使った家具を制作されたとのことですが、どういう経緯だったのですか?

宮崎)ありがたいことに、釜石の地方森林組合さんからご指名でデザインを任されました(笑)「Mori-to-tetsu」という名の通り、釜石の木と鉄を活かしたものです。釜石はもともと鉄を作っていた土地で、木と合わせることで、釜石ならではのものに仕上げました。「Mori-to-tetsu」のような仕事は、以前からやってみたかったものであり、とても楽しかったですね。

戸塚)これはどこで見られますか?

宮崎)これは、森林組合さんに1セットしかありません(笑) 完全受注生産なので!

戸塚)そうなのですね!ありがとうございます。前半は、宮崎さんの取り組みについてお話頂きましたが、後半は、宮崎さんご自身のお話を深掘っていきたいと思います!

ー後編では宮崎さんご自身の人生について探求してきます!

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