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たのしみは、yokohama 桜木町の中華屋さんで「酢豚定食」
JR桜木町駅の南改札を出ると、前方・右側に地下道「野毛ちかみち」の入口が見えてきます。エスカレーターで地下1階まで降りて「野毛ちかみち」を歩いて行くと、左側に「桜木町ぴおシティ」の入口が確認できます。
入口から入り右側の階段を下って行きます。するとそこは、いつも賑やかな「ぴおシティ地下2階飲食店街」。目指す中華屋さんは飲食店街の奥の方にあります。
こちらの中華屋さん、昭和の雰囲気が色濃く残っていて、とても懐かしくとても趣のあるお店です。野毛のジャズ喫茶やカメラ屋さん、図書館などに行くときには、必ずお店に立ち寄って「酢豚定食」を注文します。
こちらの「酢豚定食」、その味は不思議なことに、昭和40年代、杉並区阿佐ヶ谷にあった中華屋さんの「酢豚ランチ」と全く同じと言っても過言ではないのであります。まさに瓜二つ。本当に懐かしい味です。
お店に行くと、いつも入口近くの2人用テーブル席に案内されるのですが居心地も良く、店内に漂う昭和の香りを満喫することができます。
そして時々、昭和の時代にタイムトリップすることも・・・
阿佐ヶ谷に引っ越したのは学生時代。引っ越した日の夜に、最初に訪れたお店が中華屋さんです。JRの高架下商業施設「阿佐ヶ谷ゴールデン街」の2階にあった中華屋さんは、まさに閉店間際という状況でしたが、快く対応していただいて「酢豚ランチ」と「餃子」を注文。その絶妙なる美味しさに舌鼓を打ち、家庭的なお店の雰囲気に感動したのを覚えています。
「酢豚ランチ」を食べたいと思って、連日お店に通ったこともあります。
あの頃はとにかく混迷を極めた時代。学園紛争が勃発し、大学・学生連合の反体制派として活動しようと思っていたのですが、突然学校に乗り込んできた中核派の連中に「自己批判」させられて、やむなく退去することに。
その後、すぐに学校閉鎖となりました。
アルバイトはすぐには見つかりません。時間を持て余し、新宿、高円寺、中野などのジャズ喫茶、そして地元、阿佐ヶ谷ゴールデン街の喫茶店などに入り浸り・・・
ジャズ喫茶ではジャズ・ピアノにハマりました。
ビル・エバンス「ワルツ・フォー・デビー」をはじめ、ウィントン・ケリー「ケリー・ブルー」、バド・パウエル「イン・パリ」、ハンプトン・ホース「ザ・グリーン・リーブス・オブ・サマー」、デューク・ピアソン「ファントム」など、ジャズ・ピアニストの演奏を聴きまくりました。
今でも覚えていますが、高円寺のジャズ喫茶Sでは、お店がオープンしてから間もない時間帯に、デューク・ピアソンの「ファントム」のB面がよくかかっていました。マスターの趣味かと思いきや、アルバイトの女性のリクエストだったようです。
B面の1曲目は、LOS OJOS ALEGRES(The Happy Eyes) Duke Pearson
2曲目は、SAY YOU'RE MINE Duke Pearson
3曲目は、THE MOANA SURF Jerry Dodgion
アルバイトの女性のお気に入りは「1曲目?」それともピアノ・トリオでの演奏が素晴らしい「2曲目?」それとも「3曲目?」直接、聞いてみようと思っていましたが確認出来ていません。彼女はハワイから来日したばかり、
英語しか話さなかったので上手くコミュニケーションが図れませんでした。残念な思いが残ります。アルバイトの女性、2年後には人気モデルとして、ファッション雑誌の表紙を飾っていました。
自宅アパートでは、廉価版のステレオセットでビートルズを聴きまくり。
阿佐ヶ谷ゴールデン街1階のレコードショップで、ビートルズのコンパクトステレオ(ドーナツ盤と同じサイズで、33回転で4曲入り)を購入したのがきっかけです。
A面の2曲目「ガール」を聴いて衝撃を受けました。
「Is there anybody going to listen to my story」とジョン・レノンがいきなり歌い始めるフレーズと続くメロディが、実に印象的で、ずっと頭の中を駆け巡り、ビートルズの呪縛にハマってしまったのです。
「ガール」のメロディが頭に残る中、阿佐ヶ谷ゴールデン街2階の中華屋さんで「酢豚ランチ」を食べ、対面にある喫茶店で濃い目のコーヒーをいただきながら時間をつぶしました。喫茶店には、最新版の「漫画アクション」などの漫画雑誌や週刊誌が置いてあって読み放題。この喫茶店でつげ義春の「紅い花」をはじめ「もっきり屋の少女」など、多くのカラー作品と出合いました。カラーと言っても総天然色ではなく、白黒の世界に赤い色が挿入されている2色刷り。その色彩効果により、作品の抒情性が一段と強調されているように感じました。夢遊病者のように作品を読み漁り、つげ義春の詩情豊かな世界を彷徨い歩きました。
桜木町の中華屋さんで「酢豚定食」いただいて、図書館に行って笠間書院から出版されている『和泉式部集全釈』を借りに行く予定です。
つげ義春のカラー作品集があれば、それも借りようと思って、ネットで検索すると、ごく最近『ねじ式・紅い花 つげ義春カラー作品集」が双葉社から出版されていることを知りました。価格は2,800円+税。
昔も今も懐寒し・・・
図書館で古いカラー作品集を借りるのが無難なようです。