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「さん付け」になれるまで、時間がかかった
この間、江六前一郎さんのnoteを読ませていただいて、日本語を覚えた当初のことを思い出しました。
自分は「さん付け」になれるまで、時間がかかった。
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「人を呼ぶ時には『さん』を付ける、『ちゃん』と『くん』は友達だけ。」と最初に日本語学校の授業で覚えた。
私が入ったのは初級のクラスだった、日本語の語彙量がまだ少ない時、そもそも五十音もうまく書けなかった時期では、先の長い説明はうちらの理解では二分化にしかできなかった。
ちゃん、くん = 友達
さん = 友達じゃない
そのせいで、当時「さん付けしたら、友達じゃない」という大きな勘違いをした人が結構いた、わたしもそうだった。
クラスの中で色んな国な人がいて、お互い早く仲良くしたいから、最初はクラスメイトの間で「さん付け」をしないような空気が漂った。先生に「さん付け」で呼ばれると寂しい顔をする人もいた。
休憩時間でも何回か「さん付け」についで討論をしていた、でも全員がまだ先生以外の日本人にあまり接触していなかったから、誰も断言できなかった。
ある日のお昼の休憩時間で、何人かで「さん付け」の意味を上級クラスで仲良くなった先輩に聞きに行った。そこで色んな国の人が母国語や英語や日本語などを混じって、文化の違いを語り合うのも記憶に強かった。
初級のうちらは焦ると言葉がうまく通じ合わないことがあるから、やはり討論をする時、みんながすごく熱くなる(笑)
韓国での上下関係は日本より厳しいから、「さん付け」に一番抵抗がなかった、インド人のクラスメイトはやはり「さん付け」をされると距離を感じるから、卒業するまで嫌がっていた。
その時得た結論は「日本人にはとりあえず全員さんを付ける」、迷って失敗するより、最初に距離を置いた方が安全と自分で解釈した。
クラスメイトには
苗字が短い人には「さん付け」をする、
苗字が長い人にはそのまま呼ぶ、
苗字が長すぎる人はニックネームで呼んだ。
さん付けの意味を無視して、呼びやすいからってつけていた(笑)
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みんなが日本語が上手くなってから、「さん付け」文化もちょっと知るようになった。でも人に「さん付け」で友達を呼ぶかどうかって、葛藤する人が多かった。
自分はバイトしていた時、先輩後輩を関係なく、全員「さん付け」にした。日本語と敬語に自信がなかったから、少しでも丁寧に聞こえて欲しかった。
職場以外で知り合った人に「さん付け」をしたら、親しくなりたくないと勘違いされてしまう、付けない方がいいじゃないかといつも躊躇する。
自分が勘違いした、しかも何年か前までだった…(笑)
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日本語学校からを卒業して7年以上経った今でも、初対面の人に喋る時は緊張する。
昔は「日本語が上手ですね」と褒められることがあったが、片言率が下がった今、日本語を間違えると「何この人、失礼やな」や「この人の日本語変だな」と相手に思われるじゃないかと心配する。
前の職場の先輩たちが私への初対面の印象が後者だった、
私がハーフって知った時で驚いた人もいた。
馴れ馴れしいや失礼って思われたくないから、知らないうち、職場以外でも全員に「さん付け」をするようになった。
それを意識した瞬間、初めて自分が日本人らしいと思った。
見出し画像 出所
撮影者 cottonbro
最後まで読んでいただいて、
ありがとうございます。