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みんな「嫌われる」ことをビビりすぎです

嫌われても言いたいことは言う

 ぼくは、言いたいことは言います。気になったことを言わないと、永遠に気になってしまう体質だからです。

 「そういうことはやめたほうがいいんじゃない?」
「これ、こういうふうにするといいっすよ」
「それ、ちょっとイラッとするんでやめてもらえますか?」

 などなど。

 言おうかどうか迷って言わなかったことは、あとになってもずっと気になってしまう。だから「やっぱり言うわ!」と思って、言うようにしているのです。

 どうせ、一回きりの人生です。我慢してもいいことなんてありません。

 ただ、何を発言するにしても根底にあるのはネガティブな感情ではありません。だから、こっちが苦言を呈しても意外と嫌われないものです。「そうなんだ、ごめんね」ってちゃんと言ってくれるときもありますし、ぼくも相手がそういう人だからこそ言える部分もある。

 逆にいうと、言わなくてもいいくらいの人には言いません。嫌われてもいいから、この人に言いたいし、気づいてほしいという人にだけ言う。それで嫌われたっていいんです。

 ぼくは嫌われることを恐れて生きていません。

 それは、別に「UUUMの社長で、嫌われないであろうポジションだから」というわけではなく、昔からそうでした。

どんなに偉い人でも遅刻は指摘する

 ぼくは相手がどんなに有名な人でも、遅刻してきたら指摘します。だって、悪いことだからです。「それは言うっしょ」という感じです。

 このあいだもすごく有名な会社の社長(めちゃくちゃ偉い方!)が会食に遅れてきたことがありました。でも、遅れてきたことを他のみんなは触れないんですよね。でも、ぼくはかまわず触れる(笑)。向こうはいちおう「ごめんごめん」って言ってくれたんですけど「いや、もうメチャクチャ待ちましたよ!」と言って、場が変な感じになりました。

 言いたいときに言わないでいると、下手すると何ヶ月も引きずることになります。「なんであのとき言わなかったんだろう……」ってずっと思い続けることになる。

 もちろん、その瞬間には嫌われることもあるでしょう。でも、「嫌い」って感情は、その次の瞬間に「好き」になる可能性もあるんです。「どうでもいい」は、いつまで経っても「どうでもいい」だけど、「嫌い」は「好き」になる可能性がある。

「愛情の反対は無関心」という言葉もありますが「嫌われる」というのは少なくとも関心を持ってもらえているはずなんです。

謝ってものごとが進むなら、どんどん謝る

 ぼくは、会社の売上げが伸びたり、クリエイターにとってプラスになることであれば、別に自分は嫌われたっていいと思っています。どうでもいい。

 たとえばよく「謝る、謝らない」が問題になります。「どっちが悪いんだ?」「むこうが悪いのに、私が謝るのおかしくないですか?」みたいな場面をよく見ます。

 ぼくはそういうとき「え? 謝ればいいじゃん」と思うのです。

 別に謝ったところでマイナスポイントがつくわけでもありません。「私のプライドが〜」などと言う人もいますが「いや、いいから謝ればいいじゃん」と。そんなに変わんないでしょ、と思うのです。心の中では「私は悪くない」と思っていても、表面上は謝ればいい。ぼくが謝って売上げが伸びるんだったら、いくらでも謝ります。そんなことで伸びるんだったらよくない? と思うんです。

 世の中、わりとそういう「変なプライド」が邪魔してトラブルになっていることが多い。「なんでひとこと謝ってくれないんだろう」「なんでこっちが謝らなきゃいけないんだろう」……。ぼくにはプライドもこだわりも何もない。仕事がうまくいけば、もうそれでいいんです。

 人がイラッとするとき、心の裏側には「プライド」があるのかもしれません。「せっかく頑張ったのに」「何でここまでやったのに認めてくれてないんだ」とか。「わかってくれてない」という感情でしょうか。

 ぼくは結構そこはドライです。「まあ、しょうがないよね」と思って、すぐ次に行く。いつまでもずるずるとそんなことを考えていたら、社長として生きていけない。だから、スパスパと次に進むようにしてるんです。

指摘したくなったら指摘する

 嫌われても言いたいことは言う。指摘したくなったら、かまわず指摘します。

 光通信で総務の仕事をしていたときは、真ん中に落ちそうなボールを、拾いにいくような毎日でした。普通は拾いたくないでしょう。問題が悪化するまで、みんなで見てる会社も多い。でもぼくは、率先して拾いに行っていました。

 ぼくはものごとが悪くなっていくのをそのまま眺めていることができない性格です。

 どうでもいい例ですが、好きな焼き肉屋さんがあるんですね。そこはコースの最後で、ユッケジャンスープに麺を入れるんです。その麺が蕎麦粉が入ったような麺だったんです。でもぼくは「絶対タマゴ麺のほうがいい!」と思った。思わず言いましたからね。「これ、絶対タマゴ麺のほうがいいよ!」って。別に言わなくていいことかもしれないけど、やっぱり思ったことは言いたいし、それによって少しでも状況がよくなればいいなという思いがあるんです。

 昨日も、東大卒のベンチャーの子たちが来たんです。

「紹介したい」って言われたから、会ったんですけど。見てると「技術はスゲえんだろうけど、ビジネスモデルのセンスがな……」と思ったんです。ようするに「商売っ気」がなかった。そういうとき「これ、絶対こうしたほうが稼げるよ!」と、言わなくていいんだろうけど、めちゃくちゃアドバイスしました。本当に感謝して彼らは帰っていったんですが、自分に別にプラスがあるわけじゃない。「なんのために言ってるんだ、これ……?」と思いましたが、やっぱり言いたいことは言うほうがスッキリするんです。

 ビジネスの場面でもなんでも、矢面に立ちたくない人が多いように思います。「ことなかれ」ですませたいから、言いたいことも言わない。でも、別に傷つかないし、ただの自意識過剰な気もします。みんな、そこまであなたのことは見てないよ、という。

 言わなくてずっとモヤモヤしてる自分がいるぐらいだったら、言って嫌われるほうがいい。ぼくはたいていのことは気にしません。

 ぼくはオブラートに包むのも苦手です。ぜんぜん包めない。好きな人には「好き」って速攻言うし。女性のことをかわいいと思ったら「かわいい」って言う。それは別に口説いているわけじゃなくて、普通にかわいいと思ったから「かわいい」と言うだけ。別に言えばいいのに、と思います。

「できない」と思ったときも「できない」と最初に言います。変に期待させると、あとあと大変だからです。その場だけよろこばせるようなことは言わない。

 ぼくがいま結婚して子どもがいるとします。で、好きな子ができたとします。好きな子はぼくが結婚してること知りません。ぼくは2秒で言います。「結婚してるよ」と「でも、好きだよ」みたいな(笑)。極端な例ですけどね。

世の中、なるようにしかならない

 ぼくはあまり気にせず発言するし、「別に嫌われたっていいや」と思っています。

 それは「世の中、なるようにしかならない」と思っているからです。

 だから「交渉ごと」って、この世にないと思ってるんです。「交渉したから、これを獲得しました」って、そんなことある? と。結局それは「需要と供給がたまたま合ってただけ」に過ぎないんじゃないかと思うんです。なるようにしかならない。それで別にいいと思ってます。まあ、過度な期待をしていないということなのかもしれませんが。

 UUUMがおかげさまで今いい状態にあるのも「需給が合っている」からです。ほんとに、時代のおかげだと思っています。

 2012年、日本でいちばんスマホが売れました。デバイスが普及したから、YouTubeを見る環境が生まれました。そして個人がユーチューブで稼げる時代になった。で、4Gになって、そこにゲーム実況などのコンテンツがのってきた……。やっぱりトレンドに乗ることができた。ぜんぶ「風が吹いていた」んです。

 だからたまに「ぼくがやったことって、なんかあるのかな?」と思うこともあります。厳密にはあるのかもしれませんが、やっぱり「流れ」というのは絶対にある。

 風が吹いてるときは、何をやってもうまくいくんですよね。HIKAKINさんやユーチューバーたちは才能があり、時代の寵児だと思いますが、ぼくにかんしては「うまく時代に乗れたな」という感覚なんです。

まじめだけが売り

 ぼくが誇れることがあるとしたら「まじめ」ってことです。

 プライベートはマジで終わってます。ファストフード食って、ゴルフしかしてない(笑)。でも、仕事だけはちゃんと誠実でいたいと思っています。

 絶対やらないと決めていることがあります。それは、感情でものごとを評価しない。感情でものごとを決めない。私利私欲で判断しない。これです。それだけは決めてます。自分の一瞬の感情で決めちゃったことは、あとでめちゃくちゃ後悔するからです。

 感情でものごとを決めないためのコツは「ひと呼吸おく」ってことです。やっぱりそこはぼくもいろいろ経験してきました。自分で答えを出しながらも「あ……これ感情だな」と思ったら「ごめん、やっぱりナシで」と言います。それは経験を積んでいくしかないかもしれません。

決めた瞬間、勝ち負けは決まっている

 仕事ってそんな難しくないんです。

 判断するときには、だいたい判断材料がある。みんな「決断が難しい」とか「判断できない」と言いますが、別に判断材料はあるし、決められるはずなんです。

 そして、決めた瞬間にもう勝ち負けは決まっています。「それがうまくいくかどうか」ではなく「決めた」ということがすべてです。「決めた」ということが大切で、そのあとの実行はそんなに大きいことじゃない。

 たとえばぼくは「noteを毎日書く」と決めました。もう、それがすべてです。あとはやるだけだから、決めた瞬間に勝ち負けは決まっているんです。

決めたらあとは「仕組み」で解決する

 いま、毎週月曜日にジムに通っています。

 ずーっと「行きたいな」って思ってたんです。会社のある六本木ヒルズの下にもジムがあるからいつでも始められたんですが「どうせ行かなくなるしな」と思っていた。

 で、最近よく北島康介さんと一緒にいるんですが、彼の事務所の下にジムが入ってるんですね。そこで1回体験させてもらってよかったので、そこで契約して翌週から通い始めました。

 なぜそこにしたか。そこにポイントがあります。

 それは「これでジムに行かなくなったら、北島康介にそういう人間だって思われる」からです。「それはイヤだな」という感情がぼくは欲しかった。だから、わざわざそんなところで契約したんです。

 ぼくは自分がサボることを知っています。だから、サボれないように自分を持っていく。あえて、そうやって自分を仕向けてるんです。人間誰でもラクしたいし、逃げたくなる。だから、自分自身を「逃げれないようにする」わけです。

「逃げれないようにする」と言えば、ひとつだけうちの社員がかわいそうだな、と思うことがあります。

 それは、ぼくが社員を本気で怒るときに「逃げさせない」からです。

ぼく「なんでそんなことしたの?」
社員「いや……」
ぼく「いや、って何?」
社員「すいません」
ぼく「謝ってほしいわけじゃなくて、理由を聞きたいの。どうして?」

 こうやって延々とに聞いていくんです。

社員「じゃあ、次からこうします」
ぼく「でもそれさ、前も言ったけどできなかったじゃん。だからどうするの?」

 みたいに、ずーっと言っていく。だからかわいそうです。逃がさない。ただ、そこにぼくの感情はないんです。嫌いだから言ってるわけじゃないし、謝ってほしいわけでもない。謝っても何も解決しません。

 大切なのは、きちんと再発防止のための行動まで導いてあげることです。ぼくは、ある意味「人」というものを信じていません。ものごとは「仕組み」で改善しないといけないと思うんです。その人の「センス」や「感覚」「意志」とかっていうのは、いちばん信じちゃいけない言葉です。

 仕事というのは、ミスしたときにはやっぱり再発防止をしなきゃいけない。改善していくときも「この人だからできた」というのは、いいことかもしれないけど、リスクでもあります。その人がいないとできない、ということでもあるからです。だから「どういう仕組みに変えていくか」「どういうルールを敷くか」を考えなければいけないんです。

 北島康介さんの事務所の下のジムを契約したのも同じことです。「行かなくなったよね」と言われるのがイヤだし、ダサい。とにかく自分がサボらないようにすることが大事なんです。

 noteも週1とか3日おきとかではなくて、「毎日」というのがポイントです。「週1」なんて絶対書かないです。だって、何曜日でもいいからです。月曜日でも、金曜日でも、土曜日でもいいし、お酒飲んじゃったら「また明日にしよう」ってなる。言い訳ができてしまうのです。

 ポイントは「毎日である」ということ。あと「18時に公開する」ということです。めし食ったあとなんて、絶対書かないとわかっています。

 noteも180個くらいになりました。ちょうど6ヶ月くらいやってるのかな。今のところ、毎日ツラいとかじゃなくて、歯磨き的な「書かなきゃ気持ち悪い」という感じになってるのでいい感じです。

納得できない仕事は金を積まれてもやらない

 ちょっと話はそれましたが、やっぱり、嫌われようがどう思われようが「納得することをやりたい」という気持ちが強いんです。

 そして、納得したものに数字がついてくるかどうかは、さっきも言ったように「世の中の風」によります。だって、いいものって世の中にものすごくたくさんあるわけです。ただ、その中で結果的に注目されたものって、やっぱり「運」とか「風」とかそういうものがあると思っていて。大切なのは、やっぱり「納得してるかどうか」だと思うんですよね。

 納得していることを続けていれば、ふと急にヒットしたりする。それは、スポットがちゃんと当たる時期が来ただけです。「当てよう」と思ってやってもうまくいかない。だから、ぼくは「納得してればいい」という気がします。

 UUUMの仕事を選ぶ基準は、明確です。

 企業さんとのお仕事を受けるかどうかは「クリエイターがやりたいかやりたくないか」だけです。

 会社名は書けないのですが、とある超有名企業のイベントにクリエイターが招待されました。誰もが知っている超有名企業です。でも、そのクリエイターは「いや、行かないっす」と言います。

「えっ? 行かないの?」とは思いますが、そこで「出なよ」とは言いません。それでものすごく稼げたとしても、クリエイターに説得するようなことはしない。やっぱり最終的に納得しないことは、クリエイターもやりたくないでしょう。そこは徹底してます。クリエイターが自分で築いてきた大切なチャンネルです。そのコンテンツをそこにおくかどうかはクリエイターが決めるべきなんです。

 そこがやっぱり世間的な「会社」ではないんですよね。普通の会社だったら絶対に「いやいや、なに言ってんの? これ何千万になるのに!」みたいな感じになるでしょうが、UUUMではそれはやりません。

自分の中で答えは出ている

「仕事を受けるかどうか」の判断に悩んでいる人も多いでしょう。「これは儲かりそうだけど、あんまりやりたくない」という仕事をやるかどうか。

 そういうときは、感情を「無」にして終わらせたほうがいいです。答えは自分の中でわかってるんですよ。「これはもう絶対楽しくねえな」みたいなことはわかるんです、やる前から。でも「稼がなきゃいけない」っていうのもちろんある。そういうときは感情を「無」にしてサッと終わらせろと。うんうん考えていても、すでに出てるんです、答えは。

 とある女性のクリエイターからこんな相談をされました。

「クライアントからめちゃめちゃ修正がきた」と。「一言一句ぜんぶ指摘されて、もうなんかイヤになっちゃって……。でも、受けちゃってる仕事だし。どうすればいいですか?」と言います。

 そこでぼくはこうLINEしました。

「2択です。どうしてもイヤだったら、ぼくが直接行って土下座して終わらせてくる。もうひとつは、感情を無にしてサッと終わらせてウマいもん食いに行く。どっちがいいですか?」

 すると「今回は無でいきます」と返事が来ました。「じゃあ、やりましょう」ということで終わらせた。そこには「悩み」とか「交渉」なんて、ないんです。やるかやらないか、それだけです。

納得できない仕事はしない

 UUUMも「このままいってもうまくいかないだろうな」という仕事を途中で切っちゃうことはあります。「おります、この仕事」と言って降ります。そういうことはめちゃくちゃある。「受けちゃったからしょうがねえ」ではやりません。

 もちろんそれはご迷惑をおかけすることなので、基本的にはお受けする前に「やりません」と判断します。失敗もしたくないですし。どんないいお金がもらえても、やりたくないものはやりたくない。だから、そもそも受けません。

 昔、……また会社名は書けないんですけど……あるクライアントがいて、テレビCMを打つ、と。それにあわせてユーチューバーをプロモーションで使いたい、という仕事をもらってたんです。

 で、大きな地震があったんですよ。そういう日って、やっぱりぼくらもコンテンツには気をつけていて、あんまりアホなことはしないようにしてたんです。だから、その日いただいていたお仕事の多くをお断りすることにしました。クライアントさんには「地震があって、世の中的もこうだから、やめましょう」と説明をさせていただいたんです。

 ほとんどのクライアントさんは納得してくれたのですが、1社だけ納得してくれなかったんです。「もうテレビCMは走っちゃってて、全国的なプロモーションも走ってる中でのユーチューバープロモーションなんで無理です」と。「それ、UUUMさんがやらないんだったら、お金返してください。賠償ですよ」という話しになった。賠償金は3,000万くらいだったでしょうか。

 ちょうど新しくうちに来た執行役員は、その話を聞いてパニックになっていました。「こんな話になっちゃった!」と大慌てです。

 ぼくはそのとき、外出していたので「戻ってきたら、鎌田さんに判断してもらおう」ということになりました。その執行役員は「鎌田さん、どう思いますかね……?」と心配しています。でも、他の役員はぼくのことをよく知ってるので「いや、鎌田さん、それ払うと思うよ」と(笑)。

 ぼくは帰ってきて、役員から説明を受け、「払って」と秒で言いました。

 やっぱりぼくらには信念があるんです。

 それに賛同してくれる会社さんが仲間だと思っています。だから、お金じゃない。別にそれで嫌われてもいいんです。「もう払って終わらせよう」と判断しました。

 向こうからすると「え? 払うの? そこまでして曲げないの?」という感じでしょう。ぼくらは絶対にブラさないものは、ブラさない。ただ、一生その会社とは仕事しないと決めました。ああいうときにそういうことをした会社というのは、いつまで経っても忘れません。

 嫌われてもいい。

 どう思われてもいい。

 お金がかかってもいい。

 とにかく納得することだけをやり、信念は曲げない。その積み重ねがあって、いまのぼくらがあるんだと思います。



編集協力 WORDS

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鎌田和樹
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