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日曜日は嘉穂アルプスを見ながらピザを楽しむ。
カホアルペに泊まったら、ぜひ窓から外の景色を眺めてみてください。そこから見えるは馬見山(うまみ)、古処山(こしょ)、屏山(へい)の3つの山が連なる嘉穂アルプス。2016年には九州で2例目となる日本山岳遺産にも認定されました。
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大寒波の時にの雪が残っている…
山のふもとには民家が並び、ここでも暮らしてるひとがいるんだなー田舎のお家は大きいなーなんて眺めていると、一つの日本家屋に何やら楽し気な「PIZZAバルザーノ」の看板が。ピザ窯も見えるではありませんか。
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日本家屋にピザ窯とは??ということでお話を伺ってきました
基礎情報
縄田和之(かずゆき)さん 元教員 生まれも育ちも足白(嘉麻)
縄田由紀子さん 桂川出身 21才の時に結婚して足白へ。
現在のお仕事等 夫婦で稲作、PIZZAバルザーノの営業
足白という地域について
— お二人は嘉麻市の出身ですか?
和之さん:そうです。私は生まれも育ちも嘉麻市の足白地区です。
由紀子さん: 私は桂川町の出身で、21歳のときにここに嫁いできました。
ここほど素晴らしい場所はないと思っています。毎日、原田(はるだ)坂を上るときに見える山の景色が本当にきれいで。
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ーわかります!あの大里酒造から続く1本道のところですよね!私も大好きですーーー!
そうそう!あそこきれいでしょう~!ねっ!ねっ!本当に!雨が降る直前なんかは、山を近くに感じるんです。雨で空気がきれいになるのか、前に浮き出るように木の一本一本が見えて本当にきれいだと思います。それを毎日見ながら暮らせるのは幸せですねえ。
それにここの人は本当に優しいんです。通るたびに手を挙げてくれたり、ちょっと寄って話してくれたり。でも主人もそうですけど、ここにずっといる人は気づかないみたいですね。この間そうやって話したら、そんなこと言われたのは初めだって驚かれましたよ。
—それもめちゃくちゃわかります(笑)やっぱり中にいると気付きにくいみたいです。でもここは本当に景色がきれいなところですよね。田植えをした後や秋の稲穂が実ったときなども本当にきれいです。縄田さんもこちらで田んぼはされていますか?
和之さん: ええ。もう長年やっています。でも、それで収入を得るためというより、この景色を守るためにやっているんです。
田んぼって、やめるとすぐに荒れてしまうんですよ。この風景を保たなければならないという使命感です。
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ただ人口も減って若い人が少ないので労働力も限られているし、機械を使うために経費もかかる。きちんと収益を得ようとすると、私たちだと今の5倍は田んぼを作らないといけないんですよ。今はこのあたりの家はどこも赤字で米作りをやっているんですよ。
それでも続けているのは、「ここを守りたい」という気持ちがあるからなんです。
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ーむむむ、その事実は胸に響きました。この景色がいいなと思っていたけど、地域の方がずっと守ってくださっていたからなんですね…。なんとかできないかな…。
「ピザ窯」が足白と○○を繋げてくれる。
—そんなお二人がピザ屋を始めたきっかけは?
和之さん: きっかけは、ほんとにちょっとしたことでした。カホアルペにたまたま用事で行ったときに、織田廣喜美術館の方が宿泊の予約をしに来られていました。聞けば、美術館の企画で、5月にイタリアの方々が嘉麻市に来られるのでカホアルペに宿泊される予定だと。
美術館の方が帰られた後でカホアルペの館長さんとお話をしていたら「縄田さん、イタリアの人が来るならピザ窯でもあったらいいね」って言われたんですよ。
最初は冗談みたいな話でした。でも、なんだかワクワクしてきて、1年かけてピザ窯を手作りしました。
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そしたらこれが楽しいんですね。最初はピザ窯を作ってみて、そしたらやっぱり屋根が必要だということで屋根を作って。自分だけじゃできないもんですから、近所の同級生の手を借りたりして。次から次に課題が出てきてクリアしていきました。
そしてちょうど5月の7日、ゴールデンウィークのあたりで完成したんです。
各年でイタリアと日本を行ったり来たりしていて、今年(2025年)はまたイタリアの方が来られるそうですから本当に楽しみですねえ。
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ー地域の方の反応はいかがでしたか?
和之さん: 何かを始めると、自然と人とのつながりが生まれるんです。ピザを焼いて、お客さんが喜んでくれる。そういうのが楽しくて、続けていたら、地域の人も「どんなんがあると?」って気にしてくれるようになりました。
最初は「気になるけど行けない」っていう人が多かったみたいですね。田舎って、馴染むまでにちょっと時間がかかるんです(笑)。みなさん恥ずかしがりやなんですよ(笑)でも、少しずつ「テイクアウトで買ってみようか」とか、「一回行ってみようか」とか、ちょっと寄ってくれるようになりましたよ。
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嘉麻市の人って自分の住んでいる場所にマイナスのイメージを持っているひとは多いです。「なーんもない」って。でも、ピザ窯を通じて外の人が来ると「あれ、なんか良さそうかも?」って思ってくれんかなと思ったんです。
足白にピザ窯があることで、少しでも地域が明るくなったらいいなと思っています。
「たくさんの人より、一人ひとりを大切に」
— ピザ屋をやっていて、大事にしていることはありますか?
和之さん: たくさんのお客さんより、一人ひとりがゆったり楽しめる空間を大切にしたいですね。
たくさん宣伝して、人を呼ぶことよりも、来てくれた人が「ここに来たらホッとする」と思ってくれたらそれが一番うれしい。私は安らぎの場所を作りたいんです。だから予約制にして一度に来られる人数も調整しています。
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この田舎の景色の中で、私たちが作った野菜と手作りのピザを食べてのんびりしてほしい。ホッとしてくれたらいいです。
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商売をしようとすると大変だけど、それよりも、お客さんが「ここで楽しく過ごせたな」って思ってくれたら、それで十分ですね。
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「嘉麻市での暮らし」
—— お二人にとって、嘉麻市はどんな場所ですか?
和之さん: 生活するには本当にいいところですよ。自然環境もいいし、物価も安い。野菜も新鮮で、巻き寿司もおいしい(笑)。
確かに仕事を見つけるのは難しいです。そうやって出て行ったひともたくさんいます。だからどうにかならんかな…と思っています。
—確かに…手に職があるひとや、リモートワークでもできるひと、自営業でやっていきたいひとは住むと快適ですよね。…どうにかしたい!!(笑)
ー最後に、嘉麻市に興味がある人にメッセージをお願いします。
和之さん: もし興味があるなら、まずはうちのピザを食べに来てください(笑)
移住を考えるときって、仕事のこととか、住む家のこととか、いろいろ考えなきゃいけないことが多いですよね。でも、まずは「ここで暮らしたらどんな感じかな?」っていうのを肌で感じてほしい。
この場所に立って、景色を見て、空気を吸って、ピザを食べて、「ああ、なんかいいな」って思えたら、それが一番だと思います。
嘉麻市・足白で、お待ちしています。
ー本日はありがとうございましたー!またピザを食べに来ます!!!
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