がん関連性低栄養・がん誘発性低栄養?
前回から約1年ぶりの更新ですが…前回はこちらから。
抗がん剤や免疫療法など試した後は、姉は自宅で過ごしつつ、通院での治療・経過観察を継続していました。罹患がわかってから約8ヶ月ほど経過していましたが、当初の抗がん剤治療も断念していたため、この先チャレンジしていく積極的な治療方法の選択肢は見つかっていない状況でした。
東京のほうの病院なら何か試せるかも…ということは罹患がわかってすぐのタイミングでも治療方法の一つとして挙がりましたが、家族(夫・娘・息子)と離れて暮らす選択肢はなかったようで、治療方法が無くなってからもその考えは変わっていませんでした。
姉はいつか来るかもしれないその日に向けて、子供たちや両親が後々困らないよう、自分がいなくなった時を想定した生活の準備を優先していました。
この頃から、私は妻の全面的なサポートのもと、姉の食事まわりのサポートをはじめていました。「お腹が張っている」「味を感じにくい」(※1)など悩みを伝えてもらい、その時でも食べやすいものを健康的に食べれるよう一緒に考えたり調理していました。今日はカレー系のスパイスを試してみよう、味を感じやすくするけど塩分は控えめにしよう、などなど。少しでも栄養状態が良くなるように、がん治療に対して何かできるように、自分たちでもまだできる事を探し続けていました。
このあたりの経験や、当時感じた課題を、カマエイドの運営にも盛り込んでいます。
このような食事サポートと通院治療の生活が続いていくなか、姉の病状は悪い方向に進んでいました。肺への転移もわかり、かつ痩せてしまい、体を動かすのが徐々にしんどくなっていました。
姉からは直接聞いていませんが、おそらく「がん悪液質」(※2)が進みはじめていたタイミングだと思います。
転移もあり、体を動かすのがしんどくなってきているのに加え、がん細胞に圧迫されているためか、食欲も減退していっていました。少量で栄養を摂れる方法はないのか、分食しやすい食事のレパートリーは?など、その時その時にあわせて試行錯誤していったのを覚えています。
このような生活を数ヶ月続け、がんの罹患がわかってから約1年ほど。肺への転移によって呼吸がしづらく酸素ボンベをつける、代謝異常のためか寝汗がひどく脱水症状を起こす、食事を摂っていないこともないのに痩せていく、そんな姿を見ていて、少しずつその日が近づいてきているのを感じていました。
この頃から脱水症状などの理由により、入院する事もありましたが、幸いにもがんセンターから遠くはない距離だったので短期入院ですみ、できるだけ自宅で過ごせるよう病院も配慮してくれていたように思います。
短期の入院生活の後は自宅にもどり、今までの生活を続けていました。姉と直接話した最後の日も、まさかそれが最後になるとは思っていませんでした。内容も覚えていません…。
続きはまた書きます。
今日はタイトルにある、「がん関連性低栄養・がん誘発性低栄養」について、カマエイドコンテンツより引用した内容もご紹介します。がん専門管理栄養士監修の内容ですので、参考にしていただけますと幸いです。
(※1)がん関連性低栄養
「心理的影響(食べたくない・予測性嘔吐など)」「治療的影響(口内炎・味覚障害・吐き気など)」「体力の影響(起き上がれない)」が原因と考えられる栄養摂取量の低下です。カマエイド「食事の工夫」ページでは、3つのカテゴリに分類し、それぞれへの対応方法を記載しています。たんばく質・エネルギーを補給することで、栄養状態の改善が可能である考えられています。
(※2)がん誘発性低栄養
がんに伴う全身エネルギーの代謝障害、栄養消費量の増大が原因と考えられる栄養摂取量の低下です。がん悪液質とも呼ばれ、発生原因についてはまだ不明な点が多いです。がんによって身体のなかでの炎症反応代謝に栄養素が使われているため、摂取した栄養素を身体のエネルギーに変換できず、栄養摂取量が低下していると言われています。 前悪液質・悪液質・不可逆的悪液質の3段階にわかれており、進行すると栄養状態が不可逆的なものとなるため、軽度なうちから適切なサポートを受ける事が大切です。専門的な栄養療法でも改善が困難な事もあり、通常の栄養管理では体重の改善・維持は難しいと言われています。