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【GarageBand】KaLPuxa.流Hard Renaissanceのつくりかた

需要はないですが一方的に供給します


目次



はじめに

こんにちは!KaLPuxa.です。
GarageBandで音楽を作っている騒音系コンポーザーです。

今回はいつもの楽曲振り返りとは趣向を変えまして、
以前動画で投稿した

『Hard Renaissanceのつくりかた/楽器構成編』

について、
文章でも解説していこうと思います!

ジャンルについての話とかも織り交ぜてお送りします。

あくまで私なりの作り方なので
「この作り方が正解!」なんてことは
一切ありません
が、

少しでも参考になれば嬉しいです!
長いですので参考にしたい部分だけつまむのもアリです。

それでは、よろしくお願いします!


使用楽曲

KaLPuxa. - Vampire with a Scarlet Sickle

主軸としてHard Renaissanceを置きつつも、
ArtcoreやChiptune、Symphonic要素を取り入れた楽曲です。

こちらの記事もよろしければどうぞ。
パイナップルの酵素に舌が負けた話とかしてます。なに


Hard Renaissanceとは?

『〇〇〇』から生まれたジャンル

まずはこの曲のジャンルである

"Hard Renaissance"(ハードルネッサンス)

について話しておきましょう。
(私もハッキリとは認識できてはいないのですが…)

"Hard Renaissance"とはズバリ、

音ゲー』から生まれたジャンル

です。


『ジャンル』の持つ重要性

昔の音ゲー、特にBEMANI機種についての話をします。

beatmaniaや少し前までのpop'n musicでは、
それぞれの曲にジャンルを付けることがお決まりでした。

それもそのはず、
5鍵beatmaniaやpop'nの初期のバージョンでは、

曲選択画面にジャンル『のみ』が表示され、
選択してから曲名が表示されるというシステムだったのです。

beatmania(初代)

こういった経緯からもBEMANIの音ゲーにおいて
曲のジャンルは重要な意味を担っていた
ことが分かります。

ポップンプレイヤー、特に古参のプレイヤーの中には

「曲名よりジャンル名で言ってくれたほうが
分かりやすい!」

という人もたくさんいます。というか私もそうです。

ポップンではジャンルの被りがほとんど無かった上、
個性的なジャンルも多かったので。トラウマパンクとか。

このジャンル付けの制度は
ポップンでは既に廃止されていますが、

beatmania IIDXでは当時ほどの重要性は薄れつつも、
現在でもジャンル付けの慣習が続いています。

そしてDJ YOSHITAKA氏が
『JOMANDA』や『Evans』、『Elemental Creation』などの
自身の楽曲に付けたオリジナルのジャンル名が、
"Hard Renaissance"です。

『Evans』などはそのキャッチーなリズムが万人に受け、
尚且つ高難易度でプレイヤーにインパクトを残した為か、

"Hard Renaissance"は音ゲーを象徴するジャンルとなり、
そこから派生して『音ゲーコア』なるジャンルも生まれました。


私なりのHard Renaissanceの解釈

Hard Renaissanceに限らず、
音楽のジャンルには明確な定義といったものはありません。

なので私なりに"Hard Renaissance"を解釈した結果が
以下の通りです。

・4つ打ち
・裏打ちベース
・勢いをつけるためのリバース(逆再生)キック
・付点8分を中心とした流れるようなメロディー
・ピアノバッキング(入ってないこともある)

近いジャンルはトランスコア、ハードコアといったところでしょうか。

今回の楽曲"Vampire with a Scarlet Sickle"
これらの要素を意識して製作しました。

それではこれから本格的な解説に移ります!


①Drum

まずは硬派な土台を!

メインのドラムキットにHard Bass House、
サブとして生系ドラムのSoCalを使用しています。

基本的な使い分けとしては

【Hard Bass House】
・キック ・スネア ・クローズハイハット
・シンバル

【SoCal】
・オープンハイハット ・ライド
・タム ・スネアロール

こんな感じです。

SoCalはデフォルトでハットが右、
ライドが左に分かれているので便利です。

SoCalのキックは使わないので
EQでローをカットして
ハイハット等が際立つようにハイをブーストしています。

SoCalのEQ。
タムは使うので必要のない帯域だけカット。

②Bass

縁の下の力持ち

サブベースにBlooming Bass、
ゴリゴリとしたミドルベースにFuzz Sweep Bassを使用しています。

基本的には裏打ちで打ち込んでいます。
Artcore地帯とかはキックに合わせて鳴らしてます。

サブベースとは、最も低い音域で鳴らすベースのことです。

あまり目立たないことが多いですが、
土台を支える超重要な役割を担っています。

要は縁の下の力持ち、ってことです。
いるといないとで大違いです。いやほんとに。

サブベースはハイ・ミッドは不必要な帯域となるので
ガッツリカットしちゃいましょう。

Blooming BassのEQ。

また中央のキックとぶつからないように
サブベースは左に、ミドルベースは右に
パンを振っています。


③Pad

重要なプラグインは『○○○○』

メインのPadとしてEpic Cloud Formation、
サイドチェイン要員としてAnthemic Leadを使い、
味付けとしてグロッケンやストリングス等も使っています。

サイドチェインについてはこちらの記事で触れています↓
3Pの話とかしてます。なに

コードとかさっぱり分からないのでそれっぽく打ち込んでます。
要はてきとう。
でもそれっぽく聴こえるからいいでしょ。

全体を包み込むPadにおいて
私が重要と考えているプラグインが『Tremolo』

今回はEpic Cloud Formationにかけています。

トレモロは音を左右に揺らすプラグインです。
『立体音響』と言うと想像しやすいのではないでしょうか。

これによってPadに立体感を出し、
脇役でありつつも全体の音をしっかり支え、
尚且つ音の隙間を埋めてくれます


ピアノバッキングはリズミカルに!

基本的にはコードを一定のリズムで刻む感じで。

バッキングのリズムに決まりはないので
自分の感性の赴くままに音を配置しましょう。

そしてメリハリをつけるために
音の長さはちょっとだけ短くしています。ちょっとだけ。


④Arp

アルペジオって何?

アルペジオとは簡単に言うと
『コードの構成音を1音ずつばらしたもの』です。

私はアルペジオを主に
『空間を埋める』『音と音の隙間を埋める』
役割で使用しています。

今回はアルペジオとして

  • Star Dust Arp

  • Arcade Synth(8分)

  • Warper Pluck(16分)

の3つをドロップで使用しています。

Star Dust Arpは他の曲でも使用しています。
これとか↓


アルペジェーターは超便利!

Star Dust Arpは『アルペジェーター』に分類される楽器です。

アルペジェーターとは簡単に言うと、

『コードを打ち込んだだけで勝手にアルペジオにしてくれるシンセ』

のことです。

はっきり言って凄く便利だし楽でいいです。楽しましょう。

Arp ModeやOctaveのつまみをいじれば、
自分好みの音が簡単に作れます。

また高音でキラキラさせる役割なので
いらない低・中域はカットしています。

Star Dust ArpのEQ。割と適当。

⑤Lead

Leadは役割を分けて重ねよう!

  • メインのリードのClassic Super Saw

  • 芯になるリードのReverse Engineering

  • 土台となるリードのClassic Techno Lead

この3つを使っています。
大体いつもこのセットです。

リードは重ねると音に立体感と存在感が生まれ
複雑な響きになるのですが、

音を重ねるときは、

担当する音域(高音、低音など)を分けて
異なる役割の音を重ねる
ことで、
存在感を出しつつも音のぶつかりを回避出来ます


打ち込み方のテクニック

Hard RenaissanceやHardcore、J-Coreなどの
リードの打ち込み方に関してのテクニックは、

付点8分の音は
音を伸ばしっぱなしではなく16分音符1個分短くして、
これにより生まれた音と音の隙間に音符を入れる

文章だとちょっと何言ってるか分からないと思うので
画像で説明します


①まずメロディーを打ち込む。
この段階では音と音は繋がったままでOK。


②付点8分音符16分音符1個分だけ短くする。
つまり付点8分を8分に置き換える、ってことです。


③隙間に音を入れる。
私はオクターブ下の音を入れることが多いです。

こうすることで、
メロディーに勢いをつけることができ、
まさしく『音ゲー』っぽいリードにすることができます。

Absolute MonarchyやUnwelcome Schoolリミックスなどでも
このテクニックを使用しています。


⑥FX・サンプル


好きに鳴らしてください。


…と丸投げすれば楽できるのですが
流石にそれはよくないと思ったので

私が良く使うApple Loopsを紹介します。
興味ない人は飛ばしてください。

特にオススメのものは太字にしています。
初期から使えるサンプルはにしています。


【シンバル系】
基本的にドラムキットのシンバルと組み合わせて使います。

・Angelic Crash FX(クロムフレイ)
Arcade Dreams Cymbal Swell(エッジ&アングル)
Level Up Drums(エッジ&アングル)
Long Crash Cymbal 03
・Neon Dreams Crash Cymbal(Prismatica)


【Sweep・Riser系】
Sweepは『シュワー』とか『ぷしゅー』って感じのやつ、
Riserはなんか上がっていくやつ(?)です。

Riserで盛り上げてSweepでバーンと開放する、
そんな感じです。(?)

Diamond Hearts Sweeper(エッジ&アングル)
・Eerie Breath FX(トランジション・エフェクト)
Eerie Chord FX(トランジション・エフェクト)
Engine Room Sweeper(トランジション・エフェクト)
・Flow Snare Riser(クロムフレイ)
Frenzy Noise Pattern(クロムフレイ)
・Heavy Tech Riser(トランジション・エフェクト)
Laser Noise Effect 03
・Short Airy Riser(トランジション・エフェクト)
Spacey Noise Riser(トランジション・エフェクト)


【インパクト・Boomer系】
展開が変わる部分の拍の頭に置くことが多いです。

◎Boomer FX 01
Boomer FX 43
・Epic Snare Space 01(トランジション・エフェクト)
Noisy Boomer(トランジション・エフェクト)
Strong Connections Impact(トランジション・エフェクト)
・Surging Waves Boomer(トランジション・エフェクト)


【Fill・Wobble・FX系】
要はいろいろ。

【Fill・Wobble・FX系】
・Clockwork Clank(Alpha Waves)
・Daydreams FX(エッジ&アングル)
Deep Down Drum Fill(クロムフレイ)
Derailed Wobble Bass
・Floating Frequency Glitch(Hardwell)
Microchip Vinyl Noise(エッジ&アングル)
・Solaris Bar Chimes(Prismatica)


ただApple Loopsの注意点は、
3/4拍子や6/8拍子の設定に
対応していないサンプルが結構な数あること。

なので私は3拍子の曲でも4拍子の設定で作っています
Absolute Monarchyとかもそうです。


まとめ

ここまで解説してきた中で
皆様に伝えたい重要なことをまとめると、

・サブベースはあまり目立たないけれど重要
音を重ねる時はそれぞれの役割を分けて
アルペジオで音の隙間を埋めよう
打ち込み方を工夫してメロディーに勢いを
サンプルも有効活用しよう
アルペジェーターなどで極力楽しよう
なんならタイトルは適当でいい

こんな感じです。なんかSDGsみたいになった。


いかがだったでしょうか。

無料アプリのGarageBandでも、
コツを掴めばクオリティーのかなり高い
楽曲を作ることができます。

(私の曲がクオリティー高いとは言ってません)

今回は私なりのコツを解説してみました。

少しでも参考になれば幸いです。
参考にならなくてもここまで読んで頂けただけで嬉しいです。

多分次回は楽曲振り返りに戻ってます。

それでは今回はここまで!

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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