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涙の違いとあなたの裏側

「ねぇ 人の涙ってキレイだね」
「この子の涙は とてもキレイ」


テレビの中の女の子の涙を見て、あなたはそう言った。
ドラマの内容に興味があるわけではなく、その女の子の涙に惹かれて、その子を目で追うようにドラマを見ているようだった。


ーーー あなたは何を思って、その子を見ているんだろう。


どうやら、涙には違いがあるようだ。
私には感じ取ることができないのが、少し悲しい。

こういうことがある度に、あなたを遠く感じてしまう。
隣にいても、あなたの心はどこか遠くにいるようで。

あなたが泣いているところを見たことがないけど、
あなたの涙は、きっとキレイなんだろうなぁ。



ーーー いつか、心を開いてくれるかな。



そばに居ても、あなたと分かり合うことができない。
あなたの手を取ることができない。

どれだけ、時間を共有しようと、心を共有しようと、
たぶん、あなたはそこに居ないから。
その事実が、ただただ辛い。


「ねぇ もし願いが一つ叶うとしたら 何を願う?」
「私はね 顔も名前も変えて 違う人間として生きたいな」


ーーー あなたには、そのままでいてほしいよ。



私はあなたが泣いていることを知っていたが、
あなたが泣いている姿をそれまで見たことがなかった。

いつか、あなたが言っていた言葉が脳裏をよぎった。



『どこまで生きても、私は誰かの邪魔になってしまう。

 誰かの幸せを壊したいわけじゃない。
 誰かの幸せを奪いたいわけじゃない。

 そんなの絶対いやだ。それなら、私は消えたい。』


夕焼けに照らされて、涙を流しながら微笑む彼女はとても綺麗だった。
波音にかき消されそうになりながらも、何とか彼女の声を拾う。


「ねぇ 人は何で涙が流れるの?」




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