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私の人生を変えた作品 #2│G戦場ヘヴンズドア(日本橋ヨヲコ)-自我を再構築する指針-

こんにちは。Amelie(アメリー)です。

わたしがnoteを始めた理由の一つでもある、「私の人生を変えた作品」シリーズの第2回になります。

このシリーズでは、わたしの人生の中で気づきを与えてくれた作品、大きな影響を与えてくれた作品、わたしという人間の核を構成する要素になっている作品について、紹介していきます。

今回、紹介する作品は、漫画家の日本橋ヨヲコさんです。
日本橋ヨヲコさんに出会った最初の漫画『G戦場ヘヴンズドア』を中心に、過去の作品や連載中の作品についても紹介していきます。



わたしが思う、日本橋ヨヲコさんの漫画とは


日本橋ヨヲコさんの漫画は、わたしにとって、立ち止まって自分を見つめ直し、今一度、ちゃんと自分を生きるきっかけをくれた作品で、こんな不完全な人間でも生きていていて良いんだと思わせてくれました。

日本橋ヨヲコさんの漫画には、10代~20代前半の思春期や、モラトリアム期間の若者の悩みに、グサッと刺さり、心髄まで響く言葉が沢山あります。


日本橋ヨヲコさんの漫画は、漫画にして、漫画にあらず。

キャラクターはみな、その生き様を語り、その生き様をもってして、
「それで、あなたはどう生きたいの?」と、喉元にナイフを突きつける。

生半可な覚悟は見透かされ、中途半端な生き方では生きるに生きれない、
中途半端な " 生 " では、死ぬには足りないと。


あの日、わたしは『G戦場ヘヴンズドア』という作品を読んで、
日本橋ヨヲコさんという " 生 " に心底、惚れ込んでしまった。


それ以来、生きることに疲れた時や、自分に悩んだ時は必ず、『G戦場ヘヴンズドア』を読んでいました。日本橋ヨヲコさんの漫画は、凝り固まった自我を解きほぐし、傷ついた自我を癒して、また自分を生きようと、わたしを奮い立たせてくれる。

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人は、人とのつながりを求める。親子、友人、恋人、夫婦。
さまざまな関係性があります。

『G戦場ヘヴンズドア』を読んで、当時、19歳のわたしは再認識しました。

人には、互いの人間性を深く理解し、互いに刺激し合い、互いに助け合い、互いを高みへと引き上げることができる " 戦友 " が必要だと。


親子、友人、恋人、夫婦という関係は、永続的なものではない。
時間の流れ、価値観やライフステージの変化で、関係性の濃淡は変わる。

でも、" 戦友 " とは、互いに深く理解し合っているので、つながりは途絶えることはない。たとえ、離れていても、会えなくても、あの人も頑張っているから、自分も頑張ろうと思わせてくれるような存在。


" 戦友 " とは、一緒に社会という荒波を生きていける
最高のパートナーであり、仲間であると。


日本橋ヨヲコさんの漫画のキャラクターは、とても人間臭くて、とても人間らしい。人が人である故、途轍もなく、 " 生 " を感じさせてくれます。

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現在、連載中の『少女ファイト』は、マガポケやコミックDAYSでも読めます。

バレーボール界の輝ける存在だった姉・真理(まり)を失った大石練(おおいしねり)は、姉の見ていた景色を見たいがため狂躁的にバレーへ打ち込み、仲間から孤立していった。しかし、とあるハプニングから移った黒曜谷高校での出会いが練を変える。それぞれに傷つき、戸惑い、憤る少女たちは、バレーを通じて支え合い高め合う。春高の頂点を目指し、彼女たちの存在を懸けた戦いが始まった。昇りつめた先の景色が何かを変えると信じて……!

マガポケ




日本橋ヨヲコさんの漫画との出会い


わたしが、日本橋ヨヲコさんの漫画に出会うきっかけとなった話は、以下の記事に書いていますが、広島で出会った素敵なお姉さまに教えていただきました。

当時、私は九州に住んでいて、お姉さまは名古屋に住んでいて、出会った場所は広島でした。広島のライブハウスの階段で並んでいた時に、私の前にそのお姉さまが居て。その時は「今日は暑いですねー」って、お互いに扇子で仰ぎながら、少し雑談しただけだったんですよ。

数ヶ月後に、福岡のライブハウスでそのお姉さまと再会しまして。偶然また前後に並んでいて、お互いに「あ!あの時の!」ってなって、また雑談しながら待っていて、そこで意気投合して、連絡先を交換しました。


そのお姉さまに勧められて、『G戦場ヘヴンズドア』を読みました。
『G戦場ヘヴンズドア』は、何回も読んで内容を知っているにも関わらず、何度でも感動してしまう、そんな漫画です。

1巻冒頭からショッキングなシーンが続きますが、1話のラストページで、人が人に救われる瞬間を見て、「あぁ、生きるってそういうことなのかな」って、当時、ストーリーを通して、何か少し自分の" 生 "にも救いを見てしまいました。

今回、この記事を執筆するにあたり、『G戦場ヘヴンズドア』をはじめ、日本橋ヨヲコさんの漫画を読み返していました。今でも同じシーンで泣いてしまうんですよね。物語に感情移入している部分と、当時の思いも込み上げてきて、たまらなくなって。


※『G戦場ヘヴンズドア』は、作中に性行為や自傷行為、暴力行為等、刺激の強い描写がありますので、苦手な方はご注意ください。

【内容紹介】
マンガを愛する高校生の鉄男。人気マンガ家の父を憎む高校生・町蔵。
運命的な出会いを果たした正反対なタイプのふたりは、
青春と呼ぶにはあまりにも過酷な「表現」の世界へと
今、足を踏み入れる--!

「作品を生み出す事とは」「戦友とは」という2つのテーマを
マンガ家とその卵たちの目を通して描ききり、
「マンガ家マンガの伝説」と呼ばれた傑作が今、
完全版として鮮やかに蘇る!!

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日本橋ヨヲコさんの漫画をお姉さまから勧められた際も、性行為や自傷行為、暴力行為等、刺激の強い描写がある旨を事前に説明されましたが、人間という不安定で不完全な存在を描く上で、必要な描写だと思いました。

人とは何か。人はなぜ生きていくのか。
自由とは何か。自由をどう扱うのか、どう活かしていくのか。

日本橋ヨヲコさんはわたしにとって、人間の深部に触れる、唯一無二の漫画を描く漫画家さんです。



日本橋ヨヲコさんの漫画に惹かれる理由


わたしが日本橋ヨヲコさんの漫画に惹かれる理由、わたしが思う日本橋ヨヲコさんの漫画の魅力について、書いていきます。


①言葉の鋭さと重さ

キャラクターの台詞はどの作中においても、人の世や人生を表す格言ばかり。誰しも心に響く言葉が、絶対に一つはあると思います。

そのキャラクターにこの台詞を言わせたいのではなく、そのキャラクターの人生の中で、その言葉を話すシーンを切り抜くために、それぞれ必要なシーンが構成されているような感じです。

『G戦場ヘヴンズドア』の中で、好きな言葉をピックアップしました。

『G戦場ヘヴンズドア』を象徴とする有名な台詞がありますが、ぜひ、漫画を読んで、物語の流れの中で触れていただきたいので、敢えて外しています。

■1巻
3話:「もし君に先生以上の才能があっても、僕は君と仕事をしたくない。そういう世界だよ、結局は。」
5話:「素晴らしい作品ほど、巧妙に必然の産物だと見せかける。それを奇跡とも知らず当然のように消費する。」

■2巻
7話:「誰にでもわかるように作るのが、一番難しいのよ」
「目が離せないというか…「見てしまう」という魅力は、技術や理屈さえも凌駕するな。」
12話:「いい子でいてもどうにもならんのじゃ。もう我慢するな。思うように生きろ」

■3巻
13話:「オレ達は、わかりたいんだよ。自分のこと。自分のくるったとこ、描いて治してんだ」
16話:「突出した才は己を食い殺す。それを生業にして生きてはいけんよ。」

『G戦場ヘヴンズドア』より


『プラスチック解体高校』は冒頭から、日本橋ヨヲコさん節が全開です。
与えられた籠の中に居るにもかかわらず、自由を謳歌している気になっている人、自分を本気で生きていない人に対して、宣戦布告をされているかのようです。

全ての高校生に告ぐ。まずは最初に言っておこう。
いろんなものを見て聞いて、周りがどうあれ君だけは、
こっそり命懸けで生きていて。

【内容紹介】
全ての高校生に告ぐ。まずは最初に言っておこう。いろんなものを見て聞いて、周りがどうあれ君だけは、こっそり命懸けで生きていて――何に対しても型破りな大段高校の新入生・古屋直視に入学早々、濃いキスをされた蔵田三成。でも直視の心は三成の兄であり担任でもある一誠に向いていて……。直視を中心に繰り広げられるクラスメイト6人のハイパースクールライフ、プロジェクト始動!

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『極東学園天国』の冒頭の日本橋ヨヲコさんのメッセージも、記憶に残っています。私は高校生活では、日本橋ヨヲコさんの漫画で描かれているような、仲間との出会いはありませんでした。

その分、アルバイトや趣味など、自ら外の世界へ飛び足したからこそ、新しい自分に出会うことができ、のちに戦友と呼べる同志と出会うことができました。

きみのゆくみちははてしなくとおく、
かふくはあざなえるなわのごとくきみにふりかかるだろう。
しかしみよ。
きみのそばにはおなじたましいをわかつものたちがいる。
それはそれはすばらしい、たましいのむすびつき。
なんてかいてきなせいしゅんのほうほう。

日本橋ヨヲコ

【内容紹介】
『少女ファイト』日本橋ヨヲコの初期傑作!! ――徴学令が施かれ、高校までが義務教育と化した近未来の日本。一度入学したら卒業するまで外には出られない全寮制の学園に集められたのは、曲者ぞろいの生徒たち。「今だけあんたの右手になってやる」「忘れられるくらいなら嫌われたほうが楽なんだね」友と呼べるのは心に疵を持つ者。魂をわかつ者たちの、破天荒青春学園ストーリー! 描き下ろしおまけ漫画収録!!

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②キャラクターの人間性

冒頭でも述べました通り、日本橋ヨヲコさんの漫画のキャラクターは、とても人間臭くて、とても人間らしい。人が人である故、途轍もなく、" 生 " を感じさせてくれます。

そして、キャラクターのひとりひとりに物語があり、人生があり、それぞれの人格の核となる部分に共感できる要素がある。

現実世界の人と同じで、みんな欠けている部分があって、踠きながら生きている。キャラクターの関係性、人との関わり方もスタンスも、生きていく上で沢山の気づきを与えてくれました。

そして、キャラクターが次の作品やのちの作品に登場していて、その後の成長を感じることができます。『G戦場ヘヴンズドア』には、『プラスチック解体高校』や『極東学園天国』のキャラクターが登場しています。

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『プラスチック解体高校』や『極東学園天国』、現在、連載中の『少女ファイト』には、高校生とは思えないほど、視野が広くて、視座も高く、精神性が非常に高くて、達観しているキャラクターがいます。

一方、『G戦場ヘヴンズドア』は、日本橋ヨヲコさんの他の漫画との違いとして、人生に達観している高校生がいません。主人公をはじめ、高校のクラスメイトも割と等身大で、未熟さもある成長途中の少年少女なんです。

人は誰しも、心の傷の一つや二つあるもの。心の歪みもあります。
その人と接する面が、たまたま、綺麗だっただけ。綺麗に見えただけ。
違う面、見えないところでは、心の傷や歪みもある。

周りの大人の言動から「気づき」を得て、人としても成長していく過程が見えます。人生において、良い気づきを得ることが、どれほど人格形成や生き方に影響を与えるのか。その重要性を再認識できる漫画でもあります。

『G戦場ヘヴンズドア』は、人や社会、世の中との関わり方や向き合い方を教えてくれる、そんな漫画でもあります。



③女の在り方

日本橋ヨヲコさんの漫画は、男らしさや女らしさといった概念を覆すかのように、現実世界では破天荒とされるようなキャラクター描写が多いのも特徴の一つです。

女性キャラクターは、気が強くて、芯がありつつも、脆くて弱い部分もあります。精神的な歪みもあり、人格も真人間とは言えない部分もありますが、それでも強くあろうとする姿勢が魅力的です。

現在、連載中の『少女ファイト』は、女子バレーボール部を中心に繰り広げられる少女と少年の青春群像劇です。個性豊かで魅力的な女性キャラクターが沢山でてきます。

【内容紹介】
「あの日から、友達は作らないって決めたんだから」大石練(おおいしねり)・15歳。バレーボールの名門・白雲山(はくうんざん)学園中等部に在籍。練はずっと自分を抑え続けていた。小学校時代に全国大会で準優勝したチームのキャプテンであったほどの実力を隠しながら。集団スポーツの中で、自分を殺さなければいけない理由は――。それでもバレーを辞められない想いとは――!! バレーボール群像劇スタート!

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女の在り方として、『極東学園天国』のキャラクター達の台詞は印象に残っています。以下は、城戸信長の台詞ですが、そういう芯のある強くてキレイな女性になりたいなとも思いましたね。

いつでもいろんな覚悟を決めておけ 特に女はな
緊張感がある女はキレイだよ

『極東学園天国』1巻より


『極東学園天国』では、岸和田のエピソードで「女はかわいくないと意味がないんだ」とありますが、女性の外見に対するコンプレックスにも触れられている場面が他の作品でも出てきます。現代社会においても、ルッキズムに象徴されていますが、女性の外見や若さを重視する人も居ることは確かです。

しかし、『極東学園天国』の城戸と山金の会話で、「お互い女には脳の中身で勃つようだね」とあるように、いくら外見を磨いても、中身が伴っていない人間は魅力的ではない。中身の無い、軽い女にはなりたくないなと思いましたね。

また、黒子や定子やたまご姫など、女性キャラクターの観点からも、男や女の在り方についての価値観が語られています。日本橋ヨヲコさんの作品を通して、わたしの「女の在り方」についての考えも変わりました。

・・・

また、城戸の台詞で、「天才の定義」が語られています。
そんな城戸が語る女性観だからこそ、惹かれたというのもありますね。

「天才」の定義を知っているかい

積極的な価値感情を広い範囲の人々の間に永続的に
しかも稀にみるほど強く呼び起こすことのできる人格

しかし残念なことに
天才は評価されてこそ 天才なんだよ

どんなに素晴らしい才能を持っていたとしても
人々に知られなければ意味がない

オレは天才にはなれなかったが
本物を見抜く力はある

君を天才にしたい

『極東学園天国』2巻より


日本橋ヨヲコさんほど、言葉の解像度も高く、心象描写が繊細で的確で鋭くて、こんなに人の" 生 "を描くことに長けている方はいないと思いました。

あの日、わたしは『G戦場ヘヴンズドア』という作品を読んで、
日本橋ヨヲコさんという " 生 " に心底、惚れ込んでしまった。


それからというもの、わたしも本気で生きようと思った。
本気で生きている人の本気が見たいとも思った。
フィクションでも、ノンフィクションでも。

本気で生きている人が本気で作ったものは、
人間としての核が揺さぶられるから。



あとがき


今日は、「私の人生を変えた作品」シリーズの第2回をお送りしました。

まだ、日本橋ヨヲコさんのことを知らない方へ、日本橋ヨヲコさんの漫画の魅力が少しでも伝わっていると良いなぁと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございます。
またお会いしましょう。



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