瞳が寄せる波
伏し目がちに ゆっくりとまぶたをとじる
瞬きにあなたの迷いが伺える
自分の中のイメージを漉して まろやかにして
ゆっくりと言葉を紡いでいくあなた
きっと その奥には鋭くて
強い感性の世界が広がっている
誤解や軋轢を生まないように 言葉を選んで
慎重に話すあなた
天性のものと
これまでの人生経験で培ってきたもの
きっと 沢山の葛藤があるのだろう
だから フィルターをかけて 速度を落として
表面を整えて ゆっくりと丁寧に話す
それでも瞳の煌めきは隠せない
時折 フィルターが外れる 一瞬の笑顔
ゆっくりと視線を動かす
あなたは一瞬でその場を掌握できる
強い感性を持っている
あなたはそれを自覚している
そして恐れている
だから コントロールしている
視線を落として ゆっくりと瞬きをする
ゆっくりと丁寧に言葉を紡ごうとする
あなたの内側には
どんな色の世界が広がっているのかな
あなたの黒目の動き あなたの黒目が動くたび
上下左右に波ができる
白目も含めた眼球の動き あなたの眼が動くたび
周囲の空気を引き寄せる
瞬きで緩急をつけて
まつ毛でアクセントをつける
眉毛の動き 片方だけ
目元でつくる表現の世界
表情筋を使った顔全体の動き
あぁ あなたはどこまでも 表現者だ
身体の傾き 手の仕草
身体を 手を 動かす速度 ニュアンス
もっと もっと あなたを見ていたい
きっと 人はそう思ってしまう
「ねぇ 人はね 感性を感じる目元に惹かれてしまうんだよ」
ー そうだ。いつかの彼女が言っていた。
今、画面の向こうにいる女性は
どこから どこまでも 表現者だ