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頭に浮かぶ言葉たち わたしではない誰かの言葉 その存在に教えられるように 伝えるように求められて 操られるように文字を打つ そうすることが必然のようで当然だと はじめは何も分からなかった 何も認識していなかった 裏側では既に始まっていた 少し前から動き出していた こうして始まった物語 わたしとあなたの軌跡 ひとつ綴れば また言葉が湧いてくる それをわたしの外側へ吐き出す日々 まだ涙は止まらない 自分かどうかも分からない ただ日常は続く 何のために なぜ 自
いつだってそう 自分だけ 周りを見るな 甘えるな 無いのだから 居ないのだから 仕方がない そうでしょう? 全部 全部 全部 自分でやるしかない 自分でやるんだ 文句や弱音を吐いたって何も変わらない そんな時間があるのなら 頭を使え 行動しろ そう 自分でやるの 自分しかいない
早朝に起きて空港に向かう道のり 朝焼けが目に焼きついている 夜が明けていく 濃い紫色が薄まり ピンク色が混ざり合う 薄い青 やがて光が差しこみ 山の深緑に反射してきらめく 朝を告げる明かり 一生忘れない やっと向こう岸へ行ける 海を越えて 知らない場所へ その先の世界 わたしを知っている人は誰もいない わたしがおわる わたしがはじまる
トビウオが泳ぐ海 トンビやウミネコが鳴く空 潮の香り 水平線が続く 砂浜には色とりどりの貝殻 貝殻を並べた後は 波打ち際を歩く たまに流れ着く リュウグウノツカイ 山の頂上からから見る うず潮 潮の満ち引き 水平線の向こう岸 川から海になり 太平洋へとつながる
夜は真っ黒 空も海も山も全ての存在が隠れてしまう 存在が許されるのは 星だけ 部屋の窓から瓦に下りて 屋根に上がる 人々が寝静まった時間 わたしだけの秘密の空間 対岸に市街地の明かりがぽつぽつと浮かぶ まだ此処にいる
制服のまま 靴下とローファーを脱ぎ捨て ひとり川辺へ座る 今日も葉っぱを折り込んで 川へと流していく ひとつ ふたつ 川下へ流れていく舟を見ながら 此処ではない何処かを 遥か遠くへ想いを馳せる
夏になると、裏山の木に八朔が実る。 おばあちゃんは、八朔が好きだから、 わたしは山に八朔を取りに行く。 おばあちゃんと縁側で八朔を頬張る。 空がとても青くて、風が心地良い。 おばあちゃんの好きなものを知ることが嬉しい。 わたしの中で、八朔はおばあちゃんの栞になる。
プールの底に沈んで キラキラ輝く水面を見上げる こぽこぽと音が響く わたしがわたしに戻れる場所 溶けて広がっていく 水の中はとても自由 時間が穏やかに流れていく 泡となり消える
これから降るね。 風が、匂いが、わたしに知らせてくれた。 急に降り出した雨が地面を潤し、 小さな葉っぱを側溝へと押し流す。 わたしを世界から隔離していく。 五感を塞ぐ。 雨が上がって、空に虹がかかる。 髪からしずくが落ちていく。 夕立がくれたプレゼント。