シェア
今日も白いスカーフを結ぶ。 白いスカーフを結ぶと、 大量生産の製品のように、 カテゴライズされる。 少しでも型から外れると、B品。 今日も私のスカーフはご機嫌ななめ。 しゅるっと、指でスカーフをほどく。 酸素が肺になだれ込む。 軽くなる。 ただいま。 息を吐く。
顔見知りになって久しい存在 こんにちは そのふわふわの小さな手に 指先でトントンと挨拶をする 特に会話をするわけでもなく ひだまりに包まれた静寂が心地良い リンと鈴の音がなる またね 指先でトンと合図をして わたしは坂道を下る
あなたが今日も存在してくれている。 それがとても嬉しい。 あなたとの日常が何よりも大切なもの。 今日もあなたが笑顔で過ごせますように。 祈りと願いを込めて。 いってらっしゃい。
彼女の指先にしずくが一滴のっていた。 彼女はそれを嬉しそうに、 愛おしそうに眺めていた。 光を吸い込みきらきらと反射するしずく ふと周りを見渡しても、 水源となるものは見当たらない。 彼女の瞳も濡れてはいない。 そのしずくが何処から生まれたものなのか、 気になって見つめていると、 彼女がしずくをそっと、大地へ落とした。 彼女の髪が靡いて、風がまきとっていく。 あぁ、彼女は確かに此処にいる。
あの日、初めて彼女を見かけた。 彼女の瞳に光が反射して、きらきらと輝いて見えた。 彼女が何を見ているか気になって、視線の先を追いかけた。 その時、頬をなでるように、優しく風が吹き抜けた。 ゆっくりと、彼女が振り返り、 優しく微笑んだ。 一瞬のようで、永遠にも感じた。 ひんやりとしたぬくもりが全身を駆け抜ける。 あぁ、此処にいたんだ。