#3 ラグジュアリー時代に散財しておいて良かったこと
職業柄、ファッションにお金をかけていると思われるかもしれません。
確かにそれもありますが、実は私が一番お金を使っていたのは食事です。
ラグジュアリーブランドに入社する前は、毎日ランチに行く余裕はなく、百貨店の社食を利用することがほとんどでした。ですが、入社後は少しずつ外での食事が楽しめるようになりました。
同僚と「今日は何にしよう?いつものパスタ?インドカレー?タイ料理?それとも中華?新しく見つけたお鍋のお店もいいね」などと相談しながら、いつも新しいお店を探しては足を運んでいました。
また、海外旅行の際も、滞在中は毎日レストラン巡りを楽しんでいました。
そこで経験した料理の盛り付けや香り、味、食感、食材などのすべてが、主婦となった今に生きています。
今は田舎に住んでおり、子どもが小さいこともあって、レストランに行く機会は少なくなりました。日々の食事はほとんど自炊で、ささやかな家庭菜園をしながら和食中心の生活です。
それでも、たまに輸入食材を扱うお店に行くと、「あの味をまた味わいたい」という気持ちが蘇り、思わず海外の瓶詰めや乾物を買ってしまいます。
そしてその日の気分によって、さまざまなメニューが自身の記憶の中の「美味しかったものリスト」から引き出され、料理を作る楽しみが生まれます。単純に言うと、料理のレパートリーが増えるのですね。
例えば、ディルを使ったポテトサラダにザワークラフトを添えたり、ナンプラーを使ったえびパッタイを作ったり。デザートにはチーズとハチミツでスイーツピザを作ることも。
料理が好きな方にとっては普通かもしれませんが、私にとっては、かつての経験がなければ生まれなかった非日常の楽しみです。
自己満足ではありますが、このように精神的に豊かな食事を取れるのも、若い頃いろいろ食べ歩いたおかげだなぁとひしひしと感じるわけです。
この記事を読んで下さっている若い方、または経済的に余裕がある方は、ぜひ多くの美味しいものを食べてみてください。
年齢を重ねると、体が変わり、たくさん食べられなくなることもあります(すべての人がそうとは限りませんが、少なくとも私はそうです)。
若い頃の食べ歩きの体験が、後々の人生を豊かにする大切な財産となり、中年以降の暮らしを彩ってくれると強く思います。