最近感じている不安。
今から6年前、新卒で初めて入った会社は、良くも悪くも常に和気あいあいとした雰囲気で、同世代の男性同士なんか、殆ど毎日一緒にランチに行くほど、特に仲が良かった。
人によってはプライベートの恋愛をイジられる人もいて、わたしはそんなのはゴメンなので、「出来るだけわたしは、この職場ではプライベートな話をしないぞ」と決心し、クールに過ごしていたら、周りからは、「秘密主義」であるかのように見なされた。
それでも、初めて入った会社だったし、そこに3年以上も勤めていたので、そう言う和やかな空気感が周りにある事が、至極当たり前になっていたのだと、今になって思う。
と言うのも、東京に越して来てから最近、今まで感じた事のなかった不安が一つ、静かに芽生えている。
「わたしって、他人にプライベートな質問をしすぎなのか?そしてわたし自身も、他人にプライベートな話をしすぎなのか?」
新しい職場の上司は、人間関係の引き寄せが抜群なわたしから見ると、きっといい人だし、仕事熱心で、とても丁寧に優しく教えてくれる。
基本的にハードワークなお仕事なので、入って一週間くらいは、業務上の必要なやり取りだけを行い、ゆっくり話した事がなかった。
ところが先日、長めに残業していた日、上司とちょっとばかし、雑談をした。
今すぐ業務に必要ではないが、会社や仕事の事で気になるアレコレを纏めて質問したり、逆に上司からは、わたしの前職が、今の仕事に繋がっている部分が多少あるので、前職での仕事の仕方や会社のスタイルなどを、アレコレ質問を受けた。
てっきりその方とは、こういう話をする機会はないのかな?とまで思っていたので、わたしにとっては、実に良い時間だった。
でも何となく、話をしながら違和感を感じる事がある。
それは、「わたしは〇〇だと思います。」とか、「わたしは〇〇が好きです。」のような、個人的な考えや趣味嗜好に基づく話をわたしがした時に、何となく避けられているような気がするという事。
いや、無視されている訳ではないし、露骨に嫌な顔をされる訳ではない。
だけど、個人的なことに由来する主張をすると、「あ、そうなんだ」と肯定も否定もせず、必ずと言っていいほど、その主張に対して更に質問が返ってくるなどなく、「自分は〇〇が好きで」などと言った応戦もなく、それとなく次の話題に入って行く。
実はこの感覚、職場の上司との会話だけで感じたものではない。
考えてみると、この街に越して来てから、日常のあらゆる場面、職場の人だけではなくプライベートで会う人との会話、一度会うきりの店員さんとの会話にまで、そういう感覚がある。
わたしが故郷を離れたばかりで、少し人恋しくなっているからだろうか。
ただわたしが、昔の自分と違って、人とアレコレ雑談するのが好きになったからだろうか。
その両方、正解ではあるけれど、やっぱりこの街のコミュニケーションの基底には、「他人に深入りしない」が流れている気がする。
勿論、他人に深入りしすぎるのは良くないし、今までの人生で、距離をとった人間関係というものも、少しは構築して来た。
だけど、ここに住んでいると、わたしが他人に対して行う質問や、自分の身の上?話は、相手にとって余計なだけのものなのだと気付かされる。
人は人、自分は自分。独立独歩。
「他人に依存せずに生きろよ。」というメッセージをヒシヒシと感じる。
わたしも、この街に対して見返りを求めず、淡々と、自分の思うべき道を歩んでいくしかない。
期待を脱ぎ捨て、誰の肩に寄りかかる事なく、自分で決断し、自分で行動する。
他人の趣味嗜好、考えに惑わされない。
野に咲く花のごとく、強く、たくましく。
そういう生き方が出来るまでは、例えば、東京の男の優しさに、寄りかかるような事もあってはいけないかもしれない。
(これは場合によっては仕方がないかもしれないが。笑)