幻影現実2.晩餐
老人は腰がすでに曲がっており、推定70-90歳程、細々語りかけてきた。印象で言うならば、某イギリス魔法映画の悪役という第一印象。
おもむろに引っ張り出したグリルサンドマシーンに、ブルストとチーズを突っ込み、はみ出ているのをお構い無しに、蓋を閉じる。当然肉汁がたれる。
見た目にそぐわないワイルドな料理だったが、素材は美味しそうなものだったし、何よりお腹が減っていたので、ブルストの香ばしい香りは空腹を増長させる以外なかった。
その間彼は奥からワインとブルーチーズを出し、つまんだ。
奥はワイン蔵になっていた。
「私にはこれしか必要ないんだ。」
一人暮らしには見えないダイニングと家具の量に違和感を覚えながらも、
目の前の餌に黙々とありついた。
「今日は夜も遅いし、休みなさい。ここに住むかどうかはまた明日聞かせてくれればいい。」
そういって薄暗い階段を上った奥の部屋に通された。
「それから、ここには君と同じ国の女の子がいる。」
鍵は渡されなかった。
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