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商品開発秘話

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商品開発にかける切っ掛けや、情熱とちょっとしたドジ話 取り巻く環境や人と人を繋ぐお話などをつらつらと書き綴っております。
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#精油

春の広葉樹の収穫

春の広葉樹の収穫

林業用語に『藪漕ぎ』という言葉があります。

山中の道無き道を進むときに腰鉈で藪を払いながら進む時のことを山師達はそう呼びます。

私の蒸留用の集材現場は今は誰も作業していない作業道の先なので道脇の草が日光を求めて覆い被さる様に道側に繁茂して道が半分くらい埋まり始めています。

私はそんな道草を分けつつ尖った大きな落石を軽トラのタイヤで踏まないように慎重に慎重に進みます。

そして、目当ての樹を見

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森づくりと収穫

森づくりと収穫

近自然森づくりというものがある。

『それは何?』と聞かれても『近自然森づくりというものはこういうものでこういうことです。』と答えた瞬間に違うものになってしまうような不思議なものです。もしかしたら私の先生ならばちゃんと答えられるかもしれませんが私にはまだ説明は無理なので書きません。

でも、これはもしかしたらそれに沿った仕事の内容かも?と思ったことが昨日あったのでここに書いておきます。

今回の表

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カマド作成計画最初の一歩

カマド作成計画最初の一歩

カマドを作ると決めてから数日間、ネットでカマドの作り方の動画を見まくる。
プロフェッショナルからアマチュアからプロ並みの手際のアマチュアと色々な人がいる。(羽釜でカレー作って食べたらうまかった〜!みたいなのとかも。)

しかし当然のことながらカマド飯とかカレーとかBBQ様でまさかの蒸留釜にしようとしている人は勿論居ないわけで。。。

いいもん。
参考にはなった。
こっから先は自分で考えよー。ってこ

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ユニークな作業にぴったりの既製品なんてない

ユニークな作業にぴったりの既製品なんてない

私の精油の蒸留機は銅製のアランビックという種類のもの。
蒸留所を開設するにあたってどうしてもその蒸留機で精油を作りたかった。

IHヒーターを使って蒸留するステンレスの釜は価格も安く、タイマーもあって致命的な失敗にはあまり至ることはない。

が。

なんというか、不揃いであるがためのドキドキワクワク感がない優等生。

『製品を作っているのだからドキドキとかそんなの要らないでしょ。』

と、普通なら

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野生の植物を集材する

野生の植物を集材する

これはスギ以外の広葉樹カナクギノキの集材をしている写真です。
ここはかなりハードな林道の奥深くまで行くために現場の方々が一緒に行ってくださったときの写真。(普段は一人なのでこういう写真が撮れません)

この写真を見て

わあ♡
森に精油の材料を取りに行くのですか!?
素敵ですね!私もお手伝いに行きたい♡!!

って思いませんか?
ちなみに私は思いました。笑

春や秋の気持ちの良いお天気なだらかな道

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森の入り口で森の出口を考える。

森の入り口で森の出口を考える。

なんだかんだと言いつつも、それでも蒸留自体は楽しいものです。

銅の蒸留機の中が”コーーーーーーーーー....”という音を発しながら沸騰をし始め辺りにはスギの枝葉の良い香りが漂い始める。

途端に周りを飛び交っていた血を吸う虫が去っていく。
風向きによって風除けの位置を動かしたり、薪の火力を調整しながら時間を計り、水量をチェックし、蒸留水の排水量や冷却水の水量を調整する。
そして、製品はどんなパッ

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ワイルドすぎる蒸留現場

ワイルドすぎる蒸留現場

ということで本間製作所さんの農業用などによく使われている簡易カマドをコメリさんで購入して精油を蒸留してみることに。

本当は煙突とかのついたもう少し立派なものが良かったのですが、この竈門を購入した時期が悪かった。
時は7月。
カマドを購入するには最も適していない時期だったせいかコメリにはこの一択しかなかった。
アマゾンで購入する手もあったけれど、送料とかが馬鹿馬鹿しいほど高くつくのでポチれなかった

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木材は太陽エネルギーの塊り

木材は太陽エネルギーの塊り

『海外の化石燃料使わないで木材という天然太陽エネルギー使いなよ。』

林業会社代表S氏のこの一言から薪火の蒸留が始まった。

私は”直火”とは決めていましたがまさかの薪火は流石に考えてはいなかった。

火力は確かに強いのですが薪を割る作業が出てくるし、火力の調整がなかなか難しい。そして、アロマに致命的な煙臭さが移らないかも心配でした。
しかし、職人さんたちは私の心配などどこ吹く風。
トラック半分ほ

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『森と海と生き物としてのわたし達』
〜森づくりから見えてきた世界〜

『森と海と生き物としてのわたし達』 〜森づくりから見えてきた世界〜

【aromatopia167号】
一年間の予定で始まり結局二年間に延長し連載をさせて頂いた森づくりコラムの最後の執筆でした。(次号ではインタビューを受けてます)

当初お話を頂いた時、『執筆などしたことないのにちゃんと務まるかしら?』と、とても不安ながらに始まった連載でした。
そして思いかえせばこの二年間
『森と海と生き物としてのわたし達』〜森づくりから見えてきた世界〜
毎号4ページのこのシリーズ

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針葉樹のアロマ

針葉樹のアロマ

スギ一本で出来ることこの写真は軽トラックに山盛りに乗せたスギの枝葉を良い部位と分けている所。

最近巷で和精油などと呼ばれている日本の樹種の精油。
ですが、その精油大丈夫ですか?

私の監修・指導する精油制作は
先ずはそこの土地のことをよく知る職人さん方と相談し、
精油を搾油するのに良い樹を選出することから始めます。

それは、時には、皆伐予定地であったり、
道をつける予定地であったり、
またはつ

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初めての伐倒 Vol.2

初めての伐倒 Vol.2

いくら何でも、いきなりこんな大きいのは伐らせないでしょ。ナイナイ。

多分、劣勢間伐(成長の悪い木や曲がった木を抜き伐りすること)か何かに違いない。きっとどんなに大きくてもいいとこ20cmとかかなぁ。と思ってた。

しかし、私の淡い思い込みは情け容赦なく切捨てられました。
伐る立ち木の前に立ってボーゼンとした。

『マジか...』

胸高直径なんて測る余裕なんてものは全く無く、伐倒前にお祈りする気

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初めての伐倒 Vo.1

初めての伐倒 Vo.1

58年生の飫肥杉を2本、間伐(森の手入れのための伐倒)して来ました。

Facebookにその時の写真を上げたら『おめでとうございます!』とコメントをいただきました。でも、私の心中は複雑でした。どちらかと言うとその作業からは極力距離を置きたいと思っていたのです。それが何故突如伐倒することになったのか…今回はそのお話を書いてみました。

私が森の学校の現地講習のフィールドとして、日々お世話になってい

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