観劇日記~人間生活図鑑~
今日はお仕事がお休みだったので、一人芝居を観劇。
バナナマンの設楽さんやおぎやはぎの矢作さんのモノマネ等ができる長谷川恒希さんの
『長谷川恒希のひとり芝居 人間生活図鑑 ただいま!釧路!』
ふくしま医院コンサートホールUrariにて。
4本の一人芝居。
演出の構成上、お芝居の合間で長谷川さんのトークと生着替えが楽しめた。
そのトークがまずなんだか聞き心地が良い。お話がとても上手だ。
着替えのシーンというのは、普通の演劇ならなかなか見せないシーン。
通常の演劇公演であれば舞台袖で行われることが、一人芝居でその時間を暗転にして待たせるより、そっちの方が演出的にも面白いしお客さんを飽きさせないという観点からだろうと思っていたら、アフタートークで「そういうところが実は演劇の面白いところだからあえて見せるという演出にした」というようなお話があり、まさにその通りだと感じた。
そして「長谷川恒希という人間を見せることで、一人の人が自分とは違う人を演じるという変化を見せる」というような意図も含めて、面白かった。
保険会社の女上司、合コンを仕切る女、結婚を意識している彼女と一緒にいる自覚のない男、おばあちゃん子。
この4本。
①保険会社の女上司
保険会社の後輩との飲み会。礼儀や常識のなってない後輩を指導するために張り切る女上司。
いるいるって感じ。自分はできているっていう揺るがない思考に陥ってるタイプだと思う。思考が揺るがないから、後輩に指導しているつもりがどんどん押し付けに変わっていく。何より、この芝居終了後のトークで「自分が仕事で学んだ礼儀や常識を、いつの間にか自分の周りの人間にも押し付けていて、正しいことをやっているのに嫌われてしまった」という長谷川さんの経験が何気に面白かったし、それを聞いたからこそこの芝居の本質が見えて面白かった。
②合コンを仕切る女
私なんていいのよ!って言いながらも、お酒に酔ったのか勢いなのかもう一人の幹事と二人きりになってついつい本音をこぼして泣き出す女子。本当は合コンに気になる男子がいたのに・・・。
これも芝居後のトークから「自分を防衛するために演じることによって自分を傷つけてしまっている」というところから、わかるなぁと。「自分を傷つけてるのは自分」。どちらかというと自分はそういうことをやめてしまったタイプなのでこういう系の女子は苦手だななんて。自分を傷つけてるのは自分というのは正にそうで、そういうの好きでやってると思われてたりしちゃって、お互いに通じてないっていうパターンになるのが目に見えてしまう。
③結婚を意識している彼女と一緒にいる自覚のない男
旅行から帰ってきた彼女が、一緒に行った旅行友達と話したといって結婚の話を持ってくる。しかし彼女が決めたルールに不満のある彼氏。
ほんといるのよ。絶対いるよねって。ここまでパーフェクトに思ってる。二人ともいるよね。他の女と触れ合うなっていう結構無茶苦茶目な彼女に、好きだし嫌われたくないし、でも彼女以外の女子と触れ合わないのは・・・ってなって喧嘩気味になりつつお互い好きだからなーんか仲直りしちゃって。結局お互い決定力にかけちゃってるんじゃない?とか思っちゃったりして。でも結婚って大事なことだもんね。
④おばあちゃん子
認知症のおばあちゃんに認識されない孫。みんなで昔のビデオを見て、おばあちゃんに色んな思い出を思い出してもらおうとするけど、おじいちゃんのこともわかってないおばあちゃん・・・。
しんみり系。釧路用に作ったようで、四季の像とか春採湖とか釧路にまつわる言葉がちょくちょく出てきた。おばあちゃんに忘れられちゃったことがショックな孫。おじいちゃんのこともわかんなくなったおばあちゃん。でもおじいちゃんの仏壇に話してる内に色々なことを思い出しておばあちゃんの記憶の中から孫のことやおじいちゃんのことが全くなくなったわけじゃないってわかる。芝居後のトークから「記憶の引き出しのカギがわからなくなって開けられなくなっただけで、記憶自体が失われたわけじゃない」
台本集も購入した。良い作り。なんかおしゃれ。
長谷川さんってなんかいい人そうだなっていうとても安易な感想がだいぶ大きく占めているけど、人となりがわかる舞台もそれはそれで面白いなと思います。
一人芝居っていいものだなと思わせてもらえました。