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おウチでKAKUTAができたのは1/3  桑原裕子

はじめに。

こんにちは、桑原裕子です。「おウチでKAKUTA」にようこそ。

このNOTEは、家から出られないときでも、どうしても行かねばならない仕事場でも、散歩中でも車の中でも。動画配信やラジオ、エッセイ等、様々なかたちでKAKUTAを愉しんでいただければと思って作ったページです。

記念すべき最初の記事は、わたくし桑原より、KAKUTAがこのNOTEを作るきっかけとなった経緯について皆さんにご紹介していこうと思います。

私たちKAKUTAの、とても正直な「今」の話です。とても長くなりますが、お時間ありましたら読んでください。

自粛でも延期でも、元気でいようと思った。

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KAKUTAはこのごろ、なんだかんだと忙しくしていました。

まずは、「《リモート》読み合わせ遊び」と称し、Zoomを使ってKAKUTAや桑原の描いた過去作を読んで遊ぶということをしていました。そもそもは「演劇に触れて元気でいたい」と、自分たちのために始めた遊びでしたが、SNSでこのことを知った方々から「是非観たい」という声をいくつも頂き、動画を公開することにしました。

読み合わせ動画は、一時的な戯曲の無料公開という意味でも興味のある方に愉しんでいただけるんじゃないか。また、こういう機会だからこそ気軽に外部の俳優さんを迎えて遊べるんじゃないか。そして、就職や出産など様々な理由で劇団を辞めたり休団したKAKUTAの古い仲間とも、リモートでなら再び集まれるんじゃないか。

「私たちは、ここで、今も元気に演劇をしているよ!」

という発信が、もしかしたら私たちだけじゃなく誰かを元気にすることもあるんじゃないかと、そう考えました。
YouTubeでのLIVE配信はチャットを通じてお客さんの顔が見えるのも嬉しく、旧KAKUTAメンバーと新劇団員のセッションという、こんな時じゃなければ集まれなかったであろう面々での本読みも、自粛生活をしているなかにも良いことあったね、という貴重で嬉しい、スペシャルな出来事になりました。

そして同時に、若手劇団員の実験公演、カクタラボ『明後日の方へ』チームも動いてきました。

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今年5月に予定していた公演『明後日の方へ』が一年先へと延期になり、ぽっかり空いた時間と心をカクタラボの熱へ転化させるべく、Instagramや動画配信などの新たなウェブ企画を立ち上げ。若手メンバーが連日のように会議しています。こちらの進捗情報も、読み合わせ遊びのアーカイブを載せていくと同時に、随時こちらのNOTEでお知らせしていくことになると思います。

自粛でも、延期でも、元気でいよう。

次から次へと面白いことを考えていれば、演劇とつながっていられる、前を向いていられる。これらの企画は、そうした気持ちから呼びかけて始めたものです。

私は(私たちは)、見えないウィルスに怯える辛く苦しい毎日をただじっとこらえることができませんでした。だから意地でも「それでも少しはいいことあった」を作ろうと、躍起になっていたのかもしれません。

きっかけは、さやみが泣いた夜。

でも、そうした企画を矢継ぎ早にみんなとやりとりしていたあるときのこと。KAKUTA最年少劇団員の吉田紗也美が、劇団の連絡LINEにぱったり返事をしなくなりました。

でも実はさやみだけでなく、劇団員それぞれ、ちょっとずついろいろなことへの返信が遅くなっていました。

モチベーションが下がっているのかな・・・。予定していた読み合わせ遊びLIVEのキャストも降りたいのだろうか。「気分が乗らないなら無理しなくていいんだよ」ちょっと冷たくも聞こえる口調でLINEを投げると、「やらせてください、今はそのことだけが楽しみなんです」という、どこか悲痛な返信が返ってきました。同時に、彼女を心配する若手劇団員のひとりからも「今、さやみは世の中の状況に苦しんでるようです」と連絡が入りました。

「マジでやばいなら、電話する?」

そうLINEすると、すぐに電話がかかってきました。電話口のさやみは、すでに泣いていました。

つづく

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