丁寧なぐうたら暮らし
私はぐうたらするのが大好きだ。
朝起きて顔を洗って、歯を磨いて、すぐ寝転び、横になる。
そしてぐうたら横になってスマホをいじる。ゴロゴロしながらゲームアプリを開きログボ回収を始める。これが何よりも至福な時間であり、私の朝のルーティンだ。
日本中にいるぐうたら族の方々ならお分かりだろう。申し分ない丁寧かつ華麗なぐうたら具合といっても過言ではないだろう。
私はかれこれ7年近くこの『丁寧なぐうたら生活』している。会社員を辞めてフリーランスになってから毎日欠かさずしていることである。私は心からフリーランスになれて良かったと思っている。
会社に勤めていた頃は、爽やかな朝にお似合いな陽気なメロディのアラーム音が私を起こしていた。起きたくないのに強制的に毎朝同じ時間に流れる陽気なメロディ音は自分が設定したにも関わらず毎朝憂鬱だった。日に日にこんなメロディを作った作曲者に心底腹が立っていた。何も罪もない作曲者かわいそうではあるがそんなこと言ってられない、毎日大音量で流れる陽気なアラームメロディ音を聞くと憎しみと苦痛しかなかった。
それほどぐうたら人間にとって朝早く起きることはとてもとても大変で辛いことなのだ。
ぐうたらができない朝が苦痛しかなかった。これは子供の時からそうで小中高と朝が苦手でそれは社会人になってからもだった。社会人になってからは地獄そのものだった。
なんども鳴るアラームを消し、まだ覚醒していない目を渋々開けてスマホの時計を見たら家を出る時間が残り15分しかない。その時間に焦りやっと布団から飛び出していの一番に顔を洗いに行く。が歯を磨くのは諦めるしかない。もう時間がない。
もちろん朝ごはんなんて食べる時間はなく、メイクもスピード勝負。今までの経験と勘でメイクする。基本5〜10分で終わらす手さばきである。まさに職人芸だ。
そんなこんなで慌てて家を出て、会社に着くのは始業5分前が定番。
こんな生活では丁寧なぐうたら時間が作れるはずがない。精々作れてめざましテレビの占いを出発の準備しながら「今日は5位か、、、まあまあだな」とか思う程度のみそっかすな時間ぐらいしか与えてもらえない。
毎朝必死になって起きて出勤しても給料が上がるわけでもなく、社長から朝が苦手な私の毎朝の功績に感動して栄誉を称えてボーナスをくれるわけではない。苦痛な朝に体に鞭を打って、5分で作ったメイク顔を通勤の皆様に晒してボサボサの髪をなびかせ通勤して頑張って来ているのにも関わらず嫌味を言ってくる上司や悪口を言う輩もいたりする。まさに泣きっ面に蜂とはこの事だ。ぐうたら生活はおろかストレスと苦痛しかないのだ。これでまだ給料が沢山もらえたら我慢できようが安月給ときたもんだ。
ぐうたら人間の私にとっては目も当てられない生活を10年していた。我ながらよくできたものだと感心する。
もしフリーランスの収入がなくなったらこのような丁寧なぐうたらルーティンはできなくなる。朝自分のペースで起きて時間を気にせずゴロゴロスマホをいじってログボをゆっくり回収するゆとりなんてないだろう。今も安月給で嫌みだらけの人間が巣くうあの会社にいたらこのような朝はぐうたら族には恐ろしい日常なのだ。(もしぐうたら族の方がいたら寄り添いたい限りである。)
私という人間は高校生の頃からなんとなく『私は絶対会社員は向いていない。いつかは絵の関係でフリーで仕事したい』と思っていた。
心にそんな夢を抱きつつ紆余曲折を経て運良くフリーランスに転職し、運良く今の夫と出会い奇跡的に結婚して、今は私がやりたかった丁寧なぐうたら暮らしをしている。
丁寧なぐうたら生活は1日にして成らずである。フリーランスとは会社員時代とは違って収入が不安定である。この夢のような時間を維持するために私は今フリーランスで仕事を頑張っている。その頑張りようは間違いなく会社人時代より張り切っている。ぐうたらした後の仕事はやる気がでるし、より沢山ぐうたらしたいから仕事も精が出るのだ。
仕事が少ない時は日々ストレスがない程度に節約したり、家計管理も積極的に行っている。ぐうたら生活において金欠や赤字というストレスはぐうたらの質を下げてしまいよろしくない。さらに夫婦が路頭に迷わないように夫の給料で生活をすることを心がけている。お金に不安がある状態はぐうたらを全力で楽しめないので適度な貯金も必要である。すべてはぐうたらする為に大切なことである。
日々丁寧なぐうたら生活ができることによって、間違いなく私の人生は楽しく格別なものになっている。ありがとう、ぐうたら。
そんな私は今日も朝のぐうたらルーティンをしてから、動画を作ったりデザインを作ったりと健やかで丁寧なぐうたら生活をしているのである。
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