【第5冊目】山本五十六(阿川弘之)
第5冊目について記述します。
「やってみせ 言って聞かせてさせてみて 誉めてやらねば 人は動かじ」
この言葉で有名な、山本五十六は、第26代・第27代連合艦隊司令長官として、日本海軍の艦隊を率いました。私は、五十六の出身校である、現長岡高校の出身で、かつ、五十六の旧姓も「高野」であることから、五十六に非常に共感する部分があります。地元長岡では、長岡藩の河井継之助と共に、いまだに郷土の英雄として扱われていて、記念館があります。
五十六は、国際感覚に非常に敏感な人で、太平洋戦争で真珠湾攻撃を行ったものの、アメリカとの戦争には反対の立場を取っていたということは、有名な話です。また、将棋が趣味で、博打好きというところも、五十六の人間的な側面を表していると思います。あくまでも、歴史上のifですが、五十六がもし撃墜されずに生き残っていれば、日本の進む道も変わっていたかもしれません。
長岡藩の有名な言葉に「常在戦場」という言葉があります。「常に戦場にいる心構えで事に当たれ」という意味ですが、五十六も好んでこの言葉を用いたといわれています。長岡では現在でも言われています。平和な環境に慣れてしまった現代日本では、この言葉の真意はすぐにはピンと来ないかもしれませんが、激変する世界の経済環境という一種の戦場の中で、このような心理状態を持って事に当たるということは、必ずしも外れたことではないと思います。日本の経済回復も、まさに、日本人がこのような心構えで経済運営に当たっていくことで達成されるものであり、まさに、現代に生きる言葉なのです。
この本は、五十六の生涯をつづったもので、阿川弘之のいわゆる「海軍提督三部作」のうちの一つです。「井上成美」「米内光政」は、私は読んでいませんが、日本がまだ血気盛んに活動していたころの人間模様を知る上でも、「海軍提督三部作」は良い著作だと思います。五十六を描いた書物は、たくさんありますが、まずはこれをおすすめします。
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