大空の戦士たち(1)撃墜王同志リエーナカチューシャ 増税を撃て【小説】
⭐︎登場人物⭐︎
⭐︎リエーナカチューシャ 女性パイロット ソビエト空軍小隊長 階級中尉
⭐︎セルゲイトクタロウ 若手パイロット 階級准尉
満洲国および中国に駐留する日本陸軍航空隊と対峙する極東の空。
リエーナカチューシャは再び日本軍戦闘機「隼」を撃墜し、その機体は空中で爆発し、炎を上げて地上へと墜落していった。
愛機「ポリカルポフi16」を滑らかに操縦しながら、リエーナは無線で地上に戦果を報告する。
しかし、戦果を挙げたにもかかわらず、その表情には喜びの色は見られない。
地上基地に戻ると、彼女の周囲には同僚たちの冷ややかな視線が集まる。
「戦果を挙げたのに、嬉しくなさそうだなぁ、同志リエーナ」と一人の同僚が皮肉交じりに言う。
「悔しかったら、あんたも戦果をあげなよ」とリエーナは冷静に応じる。
「かわいくねえなあ」と別の同僚が口を尖らせる。
その時、若いパイロットのセルゲイトクタロウが近づいてきた。「僕はどうやってるのか気になるな?」と純粋な興味を示す。
リエーナは深いため息をつき、「奴らは捌ききれない作戦目標を与えられてる。だから判断が遅い。そこを狙うのよ」と説明する。
セルゲイトクタロウは驚いて、「え!?どういうこと?同志リエーナ」と問い返す。
「消費税は下げて法人税は上げる。そんなアクロバティックな複雑な命令が戦場では生死を分けるのよ」
とリエーナは真剣な表情で続ける。
「なんだかよくわからないなあ」
とセルゲイトクタロウは困惑した表情を見せる。
「全ての増税に反対。それだけよ」
とリエーナはきっぱりと言い切る。
「え!?それだけ?」
とセルゲイトクタロウは驚く。
「そう、それだけ。迷いは戦場では死を意味するわ」
とリエーナは冷静に答える。
「なるほどな。こっちを上げて、こっちを下げる。そんな複雑な命令で多くのパイロットが帰らぬ人となったんだな」
とセルゲイトクタロウは納得したように頷く。
リエーナは無言で空を見上げ、その先にはまた新たな戦闘が待っていることを感じていたのだった
続く…
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