大空の戦士たち(4)撃墜王同志リエーナカチューシャ空に散る【小説】
⭐︎登場人物⭐︎
⭐︎リエーナカチューシャ 女性パイロット ソビエト空軍小隊長 階級中尉
⭐︎セルゲイトクタロウ 若手パイロット 階級准尉
セルゲイトクタロウ「あーあ、お腹が空くなあ。腹一杯ジャガイモを食べたいよ。リエーナはお腹空かないの?」
リエーナカチューシャ 「あんたは食い過ぎなんだよ。」
セルゲイトクタロウ「お腹一杯食べるためには給食費無償化だね。」
リエーナの表情が一瞬で変わる。「それは税負担化だよ。無償化なんて虫のいい話はない。その甘さが戦場では命取りになる。」
セルゲイトクタロウ 「ふーん、そんなものかなあ。まあいいや。もう寝るよ。」
セルゲイトクタロウの人懐っこさに根負けし、リエーナカチューシャは次第に彼と仲良くなった。
彼の無邪気な笑顔は、戦場での冷酷な現実を忘れさせてくれる一瞬の癒しとなる。
リエーナは自分が孤独でないことを認識し、彼と接するようになった。クールな装いはそのままにして。
翌朝、基地は活気づいていた。
戦闘機「ポリカルポフi16」のエンジン音が響き、兵士たちは忙しそうに準備を進めていた。
リエーナカチューシャとセルゲイトクタロウも、いつものように整備兵たちと共に機体のチェックを行っていた。
セルゲイトクタロウ「今日も無事に帰ってこれるといいな、リエーナ。」
リエーナ「ああ、そうだな。でも、気を抜くなよ。戦場では一瞬の油断が命取りになるんだから。」
その日、彼らの任務は爆撃機の護衛だった。
リエーナとセルゲイトクタロウはそれぞれの機体に乗り込み、空へと飛び立った。
青空に広がる無限の戦場が彼らを待っていた。
爆撃機編隊の周囲を警戒しながら、彼らは進んでいった。
突然、警報が鳴り響く。ドイツ空軍義勇軍のメッサーシュミットが突如現れ、得意の一撃離脱戦法を仕掛けてくる。
リエーナは難なくかわし、セルゲイトクタロウもなんとか攻撃を逃れる。しかし、彼の頭にはまだ給食費無償化のことがちらついていた。
セルゲイトクタロウ(給食費無償化って、本当に悪いことなのか…?)
リエーナ「セルゲイ、集中しろ!」
その瞬間、メッサーシュミットの第二撃が彼に迫る。反応が遅れるセルゲイトクタロウ。だが、そのときリエーナの機体が彼を守るように銃弾の進路に入る。
リエーナの愛機ポリカルポフI-16は煙を上げながら高度を下げていく。セルゲイトクタロウは泣き叫びながら彼女の名前を叫んだ。
セルゲイトクタロウ「リエーナ!リエーナ!」
ドイツのメッサーシュミットはそのまま戦場を離脱した。
航続距離の短さがこの戦闘機の弱点だ。
基地に帰り泣き崩れるセルゲイトクタロウ。「僕が給食費無償化はありだなんて考えたばかりに…」
そのとき、「おーい、一機戻ってきたぞ!」という整備兵の声が。なんとリエーナの機体だ。リエーナはなんとか基地に着陸する。煙が顔について真っ黒になっている彼女を見て、セルゲイトクタロウは駆け寄り、抱きしめた。
セルゲイトクタロウ「なんともない?」
リエーナ「無傷だよ。少しススがついただけさ。」
セルゲイトクタロウ「ぼくを庇ってくれてありがとう。」
リエーナ「戦場で油断は禁物だよ、セルゲイ。給食費無償化なんて甘い考えは戦場では通用しないんだ。」
セルゲイトクタロウ「分かったよ、リエーナ。これからはもっと集中する。」
リエーナ「それでいい。迷いは命取りになるんだ。」
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