vol.19『渦巻き思考』
角田陽一郎のメルマガDIVERSE vol.19 2019年3月21日Full Moon
『渦巻き思考』
ユニバースUNIVERSE(単一の世界)からダイバースDIVERSE(多元的な世界)へ
多視点(バラエティ)でみると、世界はもっと楽しくなる。
それが角田陽一郎の考えるバラエティ的思考です。まさにいろいろなことをバラエティに多元的に多視点で紐解くメールマガジンです。
■Cm■「エクセルから渦巻きへ」 inspired by【13の未来地図】
今日は天秤座で満月。春分の日でもあるので、まさに節目の日です。
今回は、最近の僕の仕事とプライベートで感じたある気付きについて書きたいと思います。
昨年出した拙著『13の未来地図』にも『運の技術』にも書いているのですが、僕は「渦巻き思考」という考え方を提唱しています。
まずはそれを両書をミックスして書き起こしてみると・・・
「渦巻き思考」とは、18世紀から続く近代〜現代の礎である産業革命から、僕たちの現代の暮らしや仕事のほとんどは規定されていますが、それが20世紀後半に普及したインターネットの到来による情報革命で、その暮らしや仕事自体のあり方が激変しているということのあらわれなのです。
情報革命は産業革命よりも新しく発生した、上位の概念です。では何が上位なのでしょうか。端的に言うと、産業革命は「エクセル的な考え方」、情報革命は「渦巻き思考的な考え方」、というのが僕の結論です。
表計算ソフト「エクセル(Excel)」を思い浮かべてください。行と列できっちり区切られたたくさんのセル(マス目)によって、あらゆるものが整然と分類されています。
エクセルの思想は産業革命の思想とそっくりです。労働者が多ければ多いほど、労働時間が長ければ長いほど、生産量は増える。規模の拡大は絶対的な善。際限なく広がるエクセルのシートそのものではないでしょうか。
エクセルのセルはまるで田んぼのようにも見えます。田んぼは所有者ごとにきっちり仕切られており、生産量がその面積に比例してはっきりしており、完璧に計画性の産物です。ただし「おらが陣地」にこだわるため排他的で、侵入者を許さず、計画外の突発的な事態には対応できません。想定した以上の量は収穫できないのです。無論、植えていない品種の収穫は望むべくもありません。
産業革命的な思想そのものであるエクセル思考で情報革命後の現代に生きようとすると、さまざまな局面で不都合が生じます。
「シェア」や「フリー」が新しい経済価値として浸透し、大企業のスケールメリットや経済的寡占状態が必ずしも良い結果を招かない現代においては、「物理的にできるだけ多くの陣地を所有してれば偉い」という価値観は合理的ではありません。倫理的な観点からも、完全に時代遅れです。
ですから今、情報革命後の時代に対応しているのは「渦巻き思考」だと僕は確信しています。
渦巻き、英語で言うとvortex(ボルテックス)。これは鳴門の渦潮のようなものを思い浮かべてみてください。渦には大きく2つの特徴があります。
まず、渦というのは実体がありません。渦とは水が螺旋的に流れ込んでいる「状態」であって、ある形をもった「形態」ではないのです。明確に範囲指定して陣地を定めるエクセルや田んぼとは、位相がまったく異なります。
そして、渦には「常に」水が流れ込んでおり、「常に」水が流れ出ています。この動きが止まることは永劫ありません。来るもの拒まず、去る者追わず。外界に対して常にオープンです。どんなタイミングで何が入ってくるのも、どんなタイミングで何が出ていくのも自由。これこそが「渦巻き思考」の本質です。
そして、そんな現代において、僕らは「自分自身が渦になる」ことが大切です。
何かを後生大事に「占有」していたり、特権的な何かに「執着」したりするのではなく、自分自身に実体はなく、自分の周囲にいろいろな人が集まって、自分自身にいろいろな作用を施し、自分からいろいろなものを生み出す。そういう「システムを構築」することが、これらからの環境とともに生きることなのかもしれません。
渦とは「形態」ではなく「状態」です。
川のある一点のようなものです。鴨長明の『方丈記』で言うところの「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」、つまりその場所にある水は常に新鮮で淀んではいません。
■Dm■「仕事で渦を生み出す方法」inspired by【運の技術】
まあ、そんな『渦巻き思考』を僕は数年前から提唱しているわけです。この想いに至ったのはそれこそ2011年の震災が契機だったり、インスピレーションを受けた太陽系の新モデルのyoutube動画があったりするのですが、
↑その話は別の機会に譲るとしますが、でもこれはいつもの頭でっかちの僕の理論先行のきらいがあったのです。
つまりどういうことかと言うと、「渦巻き思考」とは言ってみたものの、それはあくまで思考であって、実際の仕事や暮らしをどう渦巻きにするのか、それはその理論をどう実践すればいいかなんて、当初はわからなかったのでした。
だってなんか仕事をするからお金がもらえる。成果物を提供するから仕事になる。それが段積みに蓄積されるから収入になる。あるいは、時間を会議や収録や執筆という仕事に区分けして配分するから作業できる。これってまさに先ほど僕が前時代的だと指摘した「エクセル的な」生き方そのものだからです。
頭で「渦巻き思考」と思っていても、実際の仕事と暮らしは「エクセル思考」これって、竜頭蛇尾というか、羊頭狗肉というか、なんなら僕が虚構の仮説を唱えてるだけなんじゃないか?
現実はそんな甘くないんだよ!って、むしろ「渦巻き思考」なんかに人間はなかなか移行しないことの証左なのかもしれないわけです。ところがそんな僕が去年の夏ころ、つまりちょうどこのメルマガDIVERSEをはじめて、昨年8月の満月で僕が「徒然なるままに、世界を眺めていたい」と書いていますが、そのあたりから自分の仕事も暮らしも、本当に「渦巻き化」していったのです。
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