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働きアリの法則_長谷川英祐(北海道大学)

働きアリの法則(パレートの法則)やそこからの亜種である2-6-2の法則などもちろん知っているし、他人にも良く使う言葉ですが改めて意味を調べてみると本質的な中身までは理解できていなくとんだ知ったか野郎のまるやまです。

改めて概要も含めて説明します。

働くアリと働かないアリの差は「腰の重さ」、専門的に言うと「反応閾値」によるという。アリの前に仕事が現れた時、まず最も閾値の低い(腰の軽い)アリが働き始め、次の仕事が現れた時には次に閾値の低いアリが働く、と言う形で、仕事の分担がなされている。仕事が増えたり、最初から働いていたアリが疲れて休むなどして仕事が回ってくると、それまで仕事をしていなかった反応閾値の高い(腰の重い)アリが代わりに働きだす。

「疲労」が存在する以上、一見サボっているように見えるアリの存在は、コロニーの存続に大きな役割を果たしていると考えられる。仮に全てアリが同じ反応閾値だと、すべてのアリが同時に働き始め、短期的には仕事の能率が上がるが、結果として全てのアリが同時に疲れて休むため、長期的には仕事が滞ってコロニーが存続できなくなることがコンピュータシミュレーションの結果から確認されています。

閾値によっては一生ほとんど働かない結果となるアリもいるが、そのようなアリがいる一見非効率なシステムに感じられますがコロニーの存続には必要なのです。

面白いのがここから

閾値に関係なく本当に一生ずっと働かないアリもいます。これをフリーライダー(ただ乗り)、またはコミュニティをだまして寄生するのでチーターとも言われます。

アミメアリ(女王アリがおらず働きアリが産卵も行なう)のフリーライダーは働かずに産卵だけ行い、フリーライダーの子アリもフリーライダーなので、フリーライダーがいるコロニーはフリーライダーが増えて滅びるが、滅びたコロニーの跡地に新たに健全なコロニーが形成される。フリーライダーは別のコロニーに分散するので、アリの社会全体ではフリーライダーの数が一定に保たれている。フリーライダーの感染力が弱すぎるとフリーライダーは1つのコロニーと一緒に滅びて存在しなくなり、逆にフリーライダーの感染力が強すぎるとアリ世界のすべてのコロニーにフリーライダーが進出してアリが絶滅してしまうが、そのつり合いがとれているので、働くアリもフリーライダーアリも絶滅せずに存続している。

すべてのコロニーにフリーライダーが感染してしまわない理由は、アリの社会が複雑であること、専門的に言うと「構造化されている」ことが理由だといわれています。

ここで言う「アリ」は「人間」に、「アリのコロニー」は会社や組織など「人間のコミュニティ」にたとえられ、自己啓発や研修などで使われています。

ここで言うサボっているのを言いかえれば、予備部隊(交代部隊)に当てはまります。なお、微生物以外の高等生物ではヒトだけに存在すると思われていた「公共財ジレンマ」(フリーライダー問題)がアリ社会にも存在したことは、琉球大学の辻和希らが2013年に発見したもので(フリーライダーを養うために過労死する働きアリも発見された)、フリーライダーが進化生物学的にどういう意味があるのか、なぜフリーライダーアリがいるにもかかわらずアミメアリの共同が維持されているのかは現在も研究中になります。

概要のまとめ

▶︎ 働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。
▶︎ 本当に働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリはサボっている。
▶︎ よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
▶︎ よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。
▶︎ よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。
▶︎ サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。
▶︎ 上記に当てはまらない一生サボり続けるフリーライダーがいる。

仕組みや考え方としては理解できます。しかしサボっているアリが『疲労』がある限り効率的に組織運営するためには必要な存在と言われても腹落ちしないのは私だけでしょうかw

より良い組織作りをする上でフリーライダーの存在だけは排除していくことを改めて決意しました。


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