野生動物ならば
野生動物ならば、強い者が弱い者を食って終わりだ。
必ずではないが、概ね人間 は弱い者にも手を差し伸べる暗黙の合意で社会を形成している。
それが正しいとか正しくないとか言う議論がしたいのではなく現実その様な社会に自分達は生きている。
強い者だけが生き残る社会なら、四の五の言わずに強い者だけが残るシンプルな世界だろう。
四の五の言う奴はとっくに消されて、この世には居ないのだから。
弱いのに生きていると言う状態には矛盾がついてまわる。
自分の弱さ… 守りたい存在の弱さ… 弱いものは淘汰されて自然界では残れないのだから、弱いものを、この世界に残そうとする行為は矛盾でしかない。
だから人間は必死で辻褄を合わせようとして生きている。
人間は、生きている時間の殆んどを、辻褄合せで悩みもがいているのかもしれない…
人間のそうした滑稽な様をバカげていると嘲笑する人もいるだろう。人類なんて滅びてしまえと本気で思っている人もいる…
俺は、いとおしく思う。
辻褄合わせに悩みもがく人々の姿を美しいと思う。
人は誰かを思い生きている。
今は、自分の事しか考えられない人間でも、どうあがいても誰かを思い生きるしかない状態に…
いずれ人はそこに辿り着く様にできている。
自分がそう信じたいだけかもしれないが…
だからこそ人は、辻褄合わせに悩みもがく存在なのだと…
そう信じたい。