135.弾丸の独り言
皆さんはじめまして。私は9ミリパラベラムビュレット。良くある拳銃の弾丸です。
私の身長は薬莢を入れても3センチがやっと。皆さんからしたらほんの小さな塊でしかありません。それでも一度発射されたら一秒間に350メートルくらいの目にも止まらないスピードで飛ぶんですよ。
石川五右衛門はわれわれを刀で跳ね返しますが普通の人はそれは出来ません。
私を見たことのある方は少ないだろうと思います。しかし戦場では何十万発いやそれ以上の私の兄弟が飛び交っています。
我々に当たる標的を選ぶことは出来ません。そこにはただ運良く当たらなかった人と運悪く当たってしまった人の二種類がいるだけです。
私も出来るならば悪の独裁者の心臓に穴を開ける正義の弾丸として飛びたいのですがもしかしたら罪もない老人や子供達に当たってしまうかもしれません。
繰り返しますが一度発射されたら何に命中するのかは選べないのです。
出来ることなら弾薬庫の棚の上で埃を被ったままでいたい。
誰かの柔らかい皮膚を裂き真っ赤な血の中で動きを止めることはしたくない。
それが私の願いです。