宮城といえばオカマピザ
胃を占領していたわんこそばたちの消化も終わる頃、私は宮城県に降り立った。
宮城といえば仙台の牛タン!といきたいところだが、私にはどうしても食べたいものがある。
そうそれは、
御釜ピザ!!
知る人ぞ知る宮城グルメだ。
説明しよう!〜御釜ピザとは〜
宮城県苅田郡蔵王町にそびえ立つ蔵王山。
その山の見どころはなんと言っても「御釜」と呼ばれる世にも美しい火口湖。山の抉れたところに水が溜まり、なんやかんやで美しいエメラルドグリーンに見えるとか…
その御釜を模したチーズたっぷりピザこそ、本日の本命御釜ピザなのである。
実際に御釜を見てから食べる方が感動は大きいのだろうがそれはまあ後ほどストリートビューで拝むとしよう。歩くのしんどいし。
さて御釜ピザの場所を調べるとするか…
け、圏外…!!
なんと、宮城には電波が通っていないのか。
調べられないんじゃ辿り着けない。今回は諦め…
いや、
こ〜の〜ね〜が〜い〜〜〜
諦める〜ことは〜〜〜〜〜〜
ない!!!
そう私はつい最近wishを履修したばかり。いわば無双状態なのである。
とりあえず人を探す。いた!
「あのすみません」
「…」
あれ、マダムまで圏外だ。
「すみませぇえん!」
「あらごきげんよぉ」
私の声量が足りてなかっただけだった。よかった
「あの、御釜ピザのお店ご存知ですか?」
「ん?」
「御釜ピザぁ!」
「オバマビザ?」
オバマの入国には困ってないのよぉお
「お か ま ぴ ざ!!!」
「ああ、こちらですよ」
マダムがすぐ右を指した。いや近っ
「これは失礼しました。ありがとうございます」
「アリーナどう?いいわねぇ、冥土の土産に新しい学校のリーダーズちゃん拝みたいわぁ」
マダム、良い趣味してますね。でもごめんアリーナの話は全然してないのよ
「あ り が と う!!」
「ああ、いいのよぉ楽しんでね」
ウッド調のこじんまりとしたおしゃれなお店。看板には「OKAMA Pizza」と書かれている。良いぞ、胃袋をチーズの湖で満たすんだ…!
カランカラン
「すみませ「ぎゃあああ!お客?!まだすっぴんなのよアタシあと5分待って?!」
なんだか賑やかで大きな背中が瞬足で店の奥へ消えていった。
10分ほど待ったところで店奥から声が響く。
「おまたせぇ〜」
8センチのハイヒール込み推定190cm越え、天まで届かんばかりのまつ毛に金髪ベリーショートのおに、おね、おに、お姉さんが出てきた。
「注文いいですか。御釜ピザひとつ」
「アンタちょっと!あんたのためにばっちりきめてきた私に褒め言葉のひとつもなし?!そんなんだからモテないのよ性格おブス!」
「すみませんピザ食べたくて…お綺麗ですねとっても。ヒールも似合ってます」
「やーんやればできるじゃないの!このヒールおろしたてなのよ可愛くなーい?!」
きゃっきゃしてる。あれかな、「そっちのオカマかーい」とかつっこんだ方がいいかな。いやでも今は多様性の時代。そういうの本当に嫌いな人だったら傷付けてしまうよな。
「んで、オカマピザ食べるの?」
「あ、はい」
「ったくおもしろくないわね。『そっちのオカマかーい!』とかないの?!」
あ、いじって良いタイプだった。
「ちょっと待ってな」
20分くらい待つと、汗だくのオカマがピザを持ってやってきた。すごい、あんなに汗かいてるのにメイクが全然崩れてない。
「メイク全然くずれないですね」
「ウォータープルーフに決まってんじゃないの!じゃなきゃ釜焼きなんてやってらんないわ。汗も滴る良いオンナでしょう?」
「はい」
私の視界はなみなみとチーズの乗ったピザを捉え、オカマのメイク事情なんてもう1ミリも耳に入ってこない。
「わーい!いただきます!」
「はい召し上がれ」
とろっとろのチーズとそれをこぼさないよう壁になっているサックサクのピザ。たまらん背徳感。
「アンタ良い顔するわね、この食いしん坊」
オカマはまんざらでもない笑みを浮かべ、再び店奥へ消えていった。
戻ってきたオカマの肩には、半月型のでっかいチーズ。その断面に白ワインを振り火をつける。
「はいどーんどん♪」
御釜は中央のくぼみに容赦なくチーズを追加する。岩手で聞きたくてしかたなかったかけ声をこのタイミングで耳にするとは。
しばらくオカマによるわんこチーズは続き、宣言通り胃袋にチーズの湖ができるくらいたらふく食べた。
「おいしかったです」
「アンタが男ならアタシがメインディッシュだったのに!」
女でよかった。
「次山形行くんでしょう?チーズなんて脂の塊みたいなもんアホほど食べたんだから歩いて行きなさい!デブるわよ!」
うっ…!痛いところをつくな。
「わかったらお返事!」
「はい…」
せっかく蔵王山をストリートビューで済ませたのに山形までの徒歩が決まってしまった。トホホ…
(徒歩だけに なんてことは言いません)
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