神様はいるのか

子が尋ねてきた。
「ママ、かみさまっているの?」

うーん、これはどう答えるのが正解だ?
6歳さんに宗教と思想の話…

「いないと思うなあ、ママは」

今出せる精一杯誠実な答えを探す。

「どうして?」

「ママにとって神様って、なんでもできる人なのね。それで、今世界中のみーんなが幸せかなって考えると、多分そうじゃないよね。ご病気の人や、食べ物がなくて困ってる人がたくさんいる。神様はそれを見てるのに何もしてくれないような意地悪な人って考えるよりは、いないって考えた方が心が落ち着くから、ママはいないことにしてる。だけどいるよって考えた方が幸せな人はきっと、いるよって思ってるね」

「でもさ、桜の花びらを3枚キャッチしたり(おまじないのこと)まんまんちゃんしたりするでしょ?意味ない?」

なるほど。信仰の意味かあ

「なんか良いことが起こるかもって考えることは大事だね。心がうれしくなるもんね。だけどこれを絶対しないと悪いことが起こるって考えちゃうと、しんどくなっちゃうからね。信じるなら良い神様にしよう。意地悪してこないような」

子は結構ジンクスを強く信じるタイプなので、強迫性障害にならないようやわらかいおまじないをかける。おまじないを信じすぎないおまじないなんて、ちょっぴりおかしな話だけど。

「でももし神様がいてさ、ひとりひとりの使えるラッキーの数が決まってるならさ」

「おかねもち?」

いつも「すごーいお金持ちなら、毎日働かずに一緒に遊べるのにね」と言い合っているからだろう。にこにこしながら問いかけてくる。

「ううん、ママの分のラッキーは多分もうぜーんぶ使っちゃったかな。こんなに素敵なパパと、世界でいっちばんかわいい子がふたりもママのところにきてくれた。もうラッキーからっぽでもいいよー!って言えるくらい、とーっても幸せ!」


自分が発した言葉が、じんわりと染み込む。

ああ、私ちゃんと幸せなんだ。
手に入らないものばかり見て、腕の中にあるものが見えてなかったかもなあ、最近。

「じゃあ、◯ちゃんのラッキーはひとつママにあげるね」

なあんだ。私、こんなに持ってる。
幸せ、こーんなに持ってるじゃん。

抱きしめると「うへへ、どうしたのー?」と照れながら私の頭を撫でてくれる子。

「あー、◯ちゃんもー!」下の子も駆け寄ってきて、私は小さな4つのおててに撫で回される。



神様なんかいなくていい。
あなたたち3人がいてくれればそれで



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