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架空のコンサル|資金調達はお気軽に


事業の要「資金繰り」

個人事業主のご近所さんから資金繰りの相談を受けた。

3か月前、物件の更新料を払った頃から雲行きが怪しかったが、年末年始の繁忙期で後回しにしていたそうだ。相談を受けた時点で、家賃2ヶ月分と日本政策金融公庫への返済3ヶ月分が滞り、当てにしていた銀行の新規融資は全滅…
理由は軽い気持ちでやった「過払い金請求」

CMでは触れられていないが、過払い金請求をすると信用情報に傷がつき、「ブラックリスト」に載るらしい。
なるほど、貸す側からすれば、約束した金利を後から値切る人には貸したくない^^;

資金調達の目的は?

『家賃の滞納分を調達して、強制退去を回避』
これが最優先課題となる。同時に、日本政策金融公庫への返済状況も改善しなければならない。

そもそも、取引のある日本政策金融公庫には相談したのか?せめて滞納している理由は説明したのか?と聞くと、「督促は来るがまだ連絡はしていない」という。彼の心境を察するに、「滞納して後ろめたいから相談できない」のだろう。
私にも預金残高不足で自動引き落としに間に合わなかった経験がある。その場合、手動で振込むのだが、まずは支店に電話をしなければならない。電話口だけで十分後ろめたい気分になれるので、きっと滞納しておいて相談なんていたたまれないだろう。

さらに、事業主の中には、きちんと返済していても「お金を借りていて後ろめたいから連絡したくない」というタイプが存在する(過去の私もそうだった)
借金に対するプレッシャーが人一倍重いのだ。
…とは言え、もう他に相談できる相手はいない。


借金があるのにさらに借金!?

「追加融資は、黒字じゃなきゃ通らない」と言うのは間違っていない。貸す側はいつだって"儲かってる人に貸して儲かるため"に融資を持ち掛ける。

しかし実は、お金を貸す動機はもうひとつある…
それは、"貸してるお金を絶対返してもらうため”だ。貸したお金が返ってこなければマイナスになってしまう。増やすために貸したのに減ってしまっては、本末転倒!支店の営業成績にも関わってくる。

つまり、(一度貸してしまったら)赤字ギリギリで儲かっていない人こそ、(完済してもらうまでは)倒れないように尽力せざるを得ないのだ。
尽力の内容はさまざまだが、売上高・利益率の向上や経営改善…そして資金繰りへのアドバイス。

とにかくここは借り手も貸し手も、アドバイスで済ませたいところ。しかし、ちょーっと先送りにしたり、ちょーっと目を離した隙に、あっという間に資金はショートするご時世…過度の借金プレッシャータイプはもちろん置いていかれる。ショートの始まりを、貸す側は知る由もない…

ショートしたら「はい終わり」…ではない!

とくに、貸した側は完済までは終わらない、終わらせられない。なんとかして返してもらいたい、返してもらわねば。もはや返してもらえるなら方法はなんでもいい。

「なんでも」にはもちろん既存事業も含まれる。

事業内容によってはサラリーマンに成るよりも完済の可能性が高いはず。うっかり事業再建を超えて繁盛してくれたら、貸し手が望む”未来の儲かってる人"に恩を売れることになる。

そう考えると追加融資の概念は大きく変わるのではないだろうか?

「(今は赤字でも黒字でも)未来で長く黒字になる人にはもっと貸したい」

特に"日本の政策としての金融公庫"は、手出しと口出しで未来に儲かる人が増えるなら事業としても一石二鳥だ。
そして、未来のことは誰にもわからない。
すなわち、未来への信頼を勝ち取れれば現状はなんだっていいのだ。

※とは言え"時間をかけた誠意ある態度"に勝るものはないが。


だからこそ相談は迅速お気軽に。

もし最初の家賃滞納の時点で日本政策金融公庫に相談していたら…

追加融資は叶わずとも、返済スケジュールに6ヶ月の猶予が設けられただけで状況は変わっただろう。そして危機管理能力が評価され、次の追加融資では信頼アップも期待できた。

今回の場合、明らかに信頼の獲得ができていないので正直なところ、追加融資はなかなかしんどそうだ。でも、私なら諦めない、未来を信じてもらえる要素はまだ残っている(長くなるので具体的な対策は別の記事で)。


資金調達もお気軽に -おわりに-

事業主といえど、やっぱり借金は少ない方が気が楽だし、来月の支払いは今月の売上で調達したいし、事業主だからこそ意地があるのだ。
でもデッドラインを超えて意地を張るとろくなことはない。デッドラインの生還者はさらに、油断にも気をつけよう。

そもそもの目的は「事業の継続」だったはず。

そのためなら気軽に”現在の自分”を労働時間に捧げる事業主は、
同じくらい気軽に"未来のお金"を借りに行くべきかもしれない。


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きゃしー @ 架空の喫茶室
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