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「ありがとう」について

こんばんは、カクノです。
今日はたまたま見かけたツイートについて考えてみました。

普段は Twitter でRTし、そのまま意見を書いたりするのですが……今回は長くなりそうだったのと、リプツリーで繋げるのも読みにくくて嫌だし全部を書いてから投稿したかったので、note で書いてみます。

きっかけのツイート

こちらが今回の記事を書くに至ったきっかけのツイートです。
リプライ1,500件(記事作成時点)って……すごい。

「ありがとう」と言うのは悪いことなのか?

まずはこのツイートの状況で考えてみます。

  • スーパーのレジで会計後、レシートを渡されて「ありがとうございます」と言った

  • 後ろの人が「お客のくせにありがとうだって」と陰口っぽく言っていた

ここから、後ろの人(以後Aさんとします)は、「会計後に客がお礼を言うのはおかしい」という価値観を持っていると思われます。

後ろの人(Aさん)の価値観について

Aさんが前述のような判断をした理由については、以下の2つが考えられます。

  1. 客は店員より偉いのだから、お礼を言う必要はない

  2. 客は店員より立場が低いのだから、お礼を言う資格はない

普通に考えれば 2 の可能性は低いですが、「お客のくせに」という表現から可能性としてゼロではないと判断しました。

では次に、それぞれの理由について、背景にありそうな価値観や思想をさらに掘り下げてみます。

1. 客は店員より偉いのだから、お礼を言う必要はない

このロジックだと、「立場が上の人間は、立場が下の人間に対してお礼を言うべきではない」となります。
つまりAさんは、「ありがとう」は立場が同等、あるいは下から上に対して使う言葉であり、上から下へは使わないと考えていると思われます。

では、Aさんは親や先生、上司から「ありがとう」と言われたことはないのでしょうか?
また、今後言われたとしたらどんな反応をするのでしょうか?

もし「上から下へは使わない」と考えているなら、親なり上司なりに「その言葉はおかしい、あなたは私にありがとうと言うべきではない」と言うはずです。
直接指摘しないにしても、不快な気分になる、あるいは相手を見下す(ツイ主にしたように)はずです。

しかし、もしAさんが上司から「ありがとう」と言われたときに、嬉しいと感じたとしたら?
Aさんは「ありがとうと言うのは同等か下→上の関係でだけ」という価値観があるのですから、上司を同等、あるいは下に見ているということになります。
そうでなければ、「自分がお礼を言われたときだけ」価値観を曲げる、一貫性のない人ということになります。

2. 客は店員より立場が低いのだから、お礼を言う資格はない

こちらの場合はどうでしょうか?
この場合は「立場が下の人間は、立場が上の人間に対して何かを言う資格はない」となります。

すなわちAさんは、上司や先生に対して一切の口答えをしない、反論をしない、意見しない、非常に従順な人物ということになるでしょう。
もしそうでないなら、こちらも「場面によって価値観を使い分ける、不誠実な人物」となります。

(そもそも立場が上の人間に対してお礼すら言ってはいけないのなら、ひどい言論統制が敷かれた古代レベルの古さの体育会系のようですね)

どちらにせよ、あまり論理的で有用な価値観とは考えにくい

そもそも他人を自分より上か下かで判断する価値観自体があまりいい結果を生まないと私は思うのですが、それはさておき。

ここまでの推論から、Aさんは以下のうちのどれかと考えられます。
(わかりやすくするため、会社での人間関係で記述します)

  1. 上司が部下にお礼を言うのはおかしい。部下は上司のために働いて当然だ。部下にお礼を言うような上司は愚かであり、自分より格下の人間だ。

  2. 部下が上司に口答えするなんてとんでもない。意見だろうがお礼だろうが、一切口にしてはならない。

  3. その場その場で適当に態度を変えて生きる。それが世渡り上手ってものだ。

どうでしょう。
いずれにしても、決して「魅力的」な人物とは思えないのではないでしょうか。
少なくとも、私はAさんと友人になりたいとは思いません。いつ格下扱いされるか分かりませんし。

ツイ主の「ありがとうございます」について

今度は視点を変えて、ツイ主(U子さん)の行動について考えてみます。

ツイ主は、スーパーのレジでレシートをもらった際、「ありがとうございます」と言いました。
それが「会計してもらったこと」に対するものか、「レシートを手渡されたこと」に対するものかはツイートからは不明ですが、どちらにしても「店員にしてもらったこと」に対してお礼を述べたということです。

さて、小学校に通っていたひとなら、一度は「何かしてもらったらお礼を言いましょう」と指導されたことがあるでしょう。

落とした消しゴムを拾ってもらった。忘れた教科書を見せてくれた。外部講師の方が指導しに来てくれた。
事の大小はさておき、どれも「ありがとう」と言うであろう場面です。

むしろ、こういった場面で「ありがとう」と言わなかったら……?
二度と落とし物を拾ってもらえないかもしれないし、教科書を見せてくれないかもしれません。
(外部講師の方は学校や教員側で手配するし、向こうも仕事なので来てくれるかもしれませんが、心証は良くないでしょう)

そう考えれば、ツイ主の「ありがとうございます」は至極真っ当な言動だったと言えないでしょうか。

「ありがとう」のコスト

そもそも、「ありがとう」と言われて不快になるひとは(皆無ではないにしても)ごく少数です。
逆に、「ありがとう」と言われて嬉しいと感じるひとはとても多いでしょう。
さらに、「ありがとう」の一言を発するのに、お金も労力もかかりません。

相手を不快にさせる確率が極めて低く、支払うコストはゼロ円、必要な時間は数秒、それでいて相手を喜ばせる可能性が高く、言った方も気分が良くなる可能性がある。

メリットとデメリットを比べてみても、明らかにメリットの方が大きいように思います。
ですが念を入れて、4象限で考えてみましょう。

① 「ありがとう」と言うメリット

コストが限りなくゼロで、相手を喜ばせられる可能性が高い。
自分(言った側)の気分が良くなる可能性がある。

② 「ありがとう」と言うデメリット

確率は低いが、相手が不快に思う可能性がある。
一言分の労力を使って声を出す必要がある。

③ 「ありがとう」と言わないメリット

時間を使わず、その場を素早く立ち去れる。
声を出さなくていいので労力を必要としない。

④ 「ありがとう」と言わないデメリット

自分はコスト極小でできる貢献すらしない人間だという信念を強化する。
相手に「感謝の一つもできないのか」と思われる可能性がある。

若干ムリヤリ書いた項目もありますが、それぞれ 2点ずつ挙げてみました。
どうでしょう?

ちなみにAさんの価値観(「客は店員より偉いのだから、お礼を言う必要はない」)で同じようにメリットデメリットを考えると、きっと②に「店員に格下だと思われる」、③に「自分の方が立場が上だと分からせられる」が入るのでしょう。

こういったメリットデメリットの書き出しは、そのひとの価値観の影響が多分に入ります。
なので、上で挙げたものが正解というわけではありません。
というか、正解なんてありません。物事の感じ方は人それぞれで、それぞれがそれぞれにとっての正解なのですから。

話を戻して、あくまで私の価値観・考え方で書き出したメリットデメリットを比べると、①が一番強く感じます。
(この感じ方も人それぞれではあります)
よって、「ありがとう」と言うデメリットよりもメリットの方が大きいという判断になります。

つまり、「ありがとう」と言った方が、良い結果になる可能性が高いということ。
私の判断も、ツイ主の行動と同じですね。

ところで

私も普段から、お会計してもらったときには「ありがとうございます」と言うタイプです。
(この時点でだいぶバイアスかかっているのがお分かりいただけるかとw)

意識して言うというより、もう習慣になっていて無意識に言っているような状態です。
なので、このツイ主の意見には全面同意だし、正直なところ「後ろの人」に対してこいつ何言ってんだアホかとも思いました。

そして私は以前、コンビニでバイトをしていた経験があります。

そのときにもたまに、会計後に「ありがとう」と言ってくれるお客様がいました。
ついこちらも咄嗟に「ありがとうございます」と言ってしまって、ありがとうの応酬みたいになって あわわわ……となったことも何度か。
(ああいうとき、なんて返せばいいのでしょうねw)

ともかく、私自身が「ありがとう」と言われたときには、温かい気持ちになりました。
嬉しいとか誇らしいとか、この後もがんばろうとか、役に立てて良かったとか。
少なくとも、嫌な気持ちになったことは一度もありませんでした。

ここまで書いて思いましたが、Aさん、もしかしたらあまりお礼を言われたことがないのかもしれないです。
お礼を言われた経験が少ないから、お礼を言われる側の気持ちが分からなくて、ああいった言動になったのかも。
あるいは、当然の仕事をしただけなのにお礼を言われている店員が羨ましかったのかも。
……まあ、真実は分かりませんが。



ということで、今日は「ありがとう」について考えてみました。
3,900字。
久しぶりに長文書きましたね。

最近はデイリーレポート(非公開記事)ばっかりであまり記事書けてませんでしたが、気が向いたらこんな感じで何か書きたいと思っています。
我ながら、あまり期待はできませんが。

それでは、また。

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