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目には目を 歯には歯を 歯茎にはボルトを 2024/11/30
日記
・インプラントの土台を入れるため、歯医者へ。
・乳歯のまま生き残っていた歯の根が溶けていることが発覚し、抜歯を行ったのが8月。約4ヶ月経ち、今日ようやくインプラントへの道が本格的に動き出した。
・インプラント手術は3ステップに分けて行われる。まず、はじめに人工歯を入れるための土台となる、ボルトを歯茎に埋め込む必要があり、「インプラント」というのはこのことを指す。次に、そのボルトに人工歯を固定するためのアパッチメントをつける。そして、最後にアパッチメントに人工歯を被せてようやく手術完了となる。
・今日やったのはこれの1ステップ目。一次手術と呼ばれるものだ。歯茎を切開して、ドリルで穴を開けてボルトを埋め込みますと事前に聞かされていたので、歯医者へ向かう足取りは重かった。怖すぎる。そんな恐ろしげなことに私の歯茎が耐えられるのか。麻酔はちゃんと効いてくれるのか。何かの間違いでドリルが歯茎を貫通し、顎を貫いたどうするのか。不安は際限なく湧いてくる。
・そんなビビりまくっている私をよそに、歯科医さんは手際よく準備を進めていく。昔からの知り合いの歯科医さんなので、信頼してはいるものの、「歯茎にドリル」という言葉から連想されるイメージが脳内に浮かぶと、どうしても診療台に寝かされた体に力が入ってしまう。それがバレていたのか、麻酔を注射するときに「はい、力抜きましょうね〜」と子どもをあやすような言い方をされてしまった。
・麻酔を打たれた痛みで体がビクッと跳ねて苦笑いされ、恥ずかし……と思っているうちに手術が始まった。麻酔を打たれているので、当然痛みはなく、治療器具から伝わる振動だけが感じられる。その振動からどれだけの大工事を行っているのか一切推察できないのがまた怖い。歯茎に穴を開けているらしいのに、血が出ている感じもない。金属製の何かがカチャカチャと擦れる音が数回して、今どの段階ですか??と思ったら、手術の終わりを告げられた。
・本当にボルトが入っているのか、にわかには信じがたかったのだけど、術後に撮ったレントゲン写真を見ると、確かに歯茎に白い棒状の渦巻き模様が現れている。は、入ってる……。歯茎にボルトが入っている……。
・家に帰って鏡で確認したら、昨日まで朱色の空き地でしかなかったところに、メタリックの土地が生まれていて少しギョッとした。ここに歯が建つんだな。
・スマホにはクレジットカード会社から22万円の利用明細が届いていた。一次手術の費用。今後の手術を終えたら、さらに残りのインプラント手術代、十数万円を支払う。
・これをもって「歯は大事にせんといかん」的な話にはならないのが、今回のインプラント物語の嫌なところだ。そもそも永久歯が存在しなかったのだから、どれだけ必死にオーラルケアをしていようとも、また逆にしていなくても、この世に生を受けた段階から歯が抜け落ちることは決定していた。私にできたのは、インプラント治療にするか、ブリッジ治療にするかを選択することだけ。全部運命づけられていた。
・食べてはいけないものはないということだったけど、夕飯は一応おかゆにしてもらった。
・野崎まどの新作『小説』が抜群に面白くて2日ほどで一気に読むことができた。久しぶりに脇目も振らず黙々とページを捲って本を読んだ気がする。かなり本を読みたい気分になってきている。文字がほしい。