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仏の先で頭を揉まれ 2023/08/24
日記
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・ドでかい仏と神々しい扉。
・極楽への入り口を撮影したわけでも、気合いの入った宗教法人に潜入したわけでもない。
・「悟空のきもち」という有名なヘッドスパのお店に行ってきたのだ。予約で70万人待ちの超人気店として名が知られていて、以前からかなり気になっていた。予約が取れないとは言うものの、公式HPを見ていると平日ならキャンセル分がよく出ていて、都合さえつけば施術を受けに行くこと自体は難しくない。私もHPを見ていたときにちょうど出ていた空きにえいやと予約を入れた。
・入り口から写真のような調子で笑ってしまったのだけど、扉の奥には黒を基調とした暗く長い廊下にデジタルサイネージが点々と灯る、更なる異常空間が広がっていた。サイネージには謎のエレメントのような映像が映されていて、ゆらゆらと揺れている。
・施術室に案内されて目元にタオルをかけられると、室内に響く透明感のある音がやけに耳につく。アニメの精神世界でよく鳴っている「フォン……フォン……」みたいな音がずっと流れている。「絶頂睡眠」という物騒なのか穏やかなのかわからない体験ができることをウリにしているので、どこまでも世界観が徹底している。
・で、本題のヘッドスパもちゃんと気持ち良い。もともと寝付きが悪いので眠りはしなかったけど、その分ちゃんとマッサージを味わうことができた。頭を揉むというよりも、押しほぐす感じでじんわりと頭皮が温かくなっていく不思議な感覚を味わった。あと、上手い人のマッサージって手で押す技量に加えて、離す技量も段違いなんだなと学んだ。指先で軽く頭皮を撫でるように手を離していて、それが気持ちよさに繋がっていた。
・なんか、ヘッドスパの気持ちよさよりも、面白い体験だったな……という感想が先に出てしまう。1時間ちょっとの施術だったのに、外に出た時に俗世に戻ってきた感覚があった。都会のビルの一室にあの空間があったのが信じられない。夢だったような気がするが、私の手元には7500円を支払ったレシートが確かに残されている。
・『イージー・ライダー』を観た。真ん中の「★」はどうしても「★」じゃないといけないのか?
・ラストがどうなるかを知っていたので、作中での旅を通してワイアットとビリーのことを知れば知るほど辛さが増していった。
・陽気で怖いものなしな若者2人でありながら、ひとたび南部に足を踏み入れれば被差別者側となり、苛烈な悪意を向けられるという構造を説明することなく、自然な流れの中で描いていてすごい。前半から中盤にかけては旅の中で出会う人々との交流が軸になっているだけに、彼らの辿った道程が土足で踏み荒らされる痛々しさが切に感じられる。当時のアメリカの空気を今味わうことはできないけど、若者の無敵感とそれを包む社会の乾いた閉塞感がこの作品の中に閉じ込められている気がする。
・あと、ジャック・ニコルソンがウィスキーを飲んで、「ン二ッ ン二ッ!!!」と脇を締めるシーンが本当にめちゃくちゃ良かった。たぶん『イージーライダー』を観た人の9割がベストシーンに選ぶだろう。何の脈絡もないのに、感情が120%伝わってくる。その後、焚き火を囲んで語らうシーンでもソフトバージョンで披露していて嬉しかった。