勉強会レポート:論文結果を現場で利用するために
講師:武蔵国分寺クリニック 名郷直樹先生
今日の目標「エビデンスを患者に説明できるようになる」
まずEBMの5つのステップの話
1.問題の定式化
2.問題についての情報収集
3.得られた情報の批判的吟味
4.情報の患者への適用
5.1-4ステップの評価
この5つのステップで評価を行っていくことが大切。
STEP1.問題の定式化
ここではわかりやすく定式化するためにPECOを用いる
・Patient:どんな患者に
・Exposure:どのような治療、検査をしたら
・Comparison:どんな治療、検査と比べて
・Outcome:どうなるか
例1.UGDP研究
P:2型糖尿病。(糖尿病の診断1年未満。年齢制限なし。ブドウ糖負荷試験(30g/m²)を行い,前,1,2,3時間値の合計が500mg/dL以上の者。)
()内まで考えるとごちゃごちゃするから一先ず2型糖尿病患者ってとこでいいかな。
E:インスリン、スルホニル尿素(tolbutamide)
C:プラセボ
O:血管合併症
論文を早く読むコツ
1.研究方法は妥当か?
・PECOを読む
・ランダム化されているか
2.結果は妥当か?
・真のアウトカムのみを読む
【覚えておく言葉】
・相対危険度:RR(割り算の指標)
1だと差がない
1より小さいと有効
1より大きいと有害
1-RR=RRR:相対危険減少
何%減ったかを表す
・絶対指標:NNT(引き算の指標、その後逆数に)1人を治療するのに何人必要か
大きければ大きいほど効率が悪い
母集団1000人
病気の発症
治療:20人
プラセボ:30人
RR= 20/1000 / 30/1000 = 0.67
RRR=0.33
NNT=30/1000 - 20/1000 = 0.1 逆数とって=10
治療すると33%リスクが下がる
10人中1人が助かる
論文は多面的に評価をできるようにしよう。
・信頼区間
例2.RR=0.66(0.52-0.83)
どう読むか。
信頼区間は標本調査の考え方なので、対象患者は全体の中の一部。
取り出した標本ではRR66%だけど、全体では52~83%ぐらいに落ち着くって感じ。
・P値:危険値
これはまぐれで勝った可能性と考えるとわかりやすい。
例3.巨人対中日
勝率は1/2
3連勝する可能性は12.5%
4連勝する可能性は6.5%
5連勝する可能性は3.125% ・・・
どの段階でまぐれかって基準はないですよね。だからP値の設定はあいまい。
※効果の違いはわからないので注意
例えば、上の試合が1vs0なのか 10 vs 0 なのかはこれだけじゃわからないですよね。