【ご存じでしたか?外資米国アフラック「売上高約2/3が日本」】なぜ日本政府は外資米国「アフラック」へ日本がん保険市場を独占販売にしたのか?~米国利益のみに動く日本政治、日本の政治家と官僚は反日・売国なのか?~
【ご存じでしたか?外資米国アフラック「売上高約2/3が日本」】なぜ日本政府は外資米国「アフラック」へ日本がん保険市場を独占販売にしたのか?~米国利益のみに動く日本政治、日本の政治家と官僚は反日・売国なのか?~
■アフラックに屈服したTPP日本
郵便局との提携が国民皆保険を空洞化する
週刊ダイヤモンド 2013.8.1 山田厚史
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やっと交渉参加が認められ、マレーシアでTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)協議に加わる直前の発表だった。
アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が全国2万店の郵便局でがん保険を売ることが決まった。
保険商品の共同開発もするという。米国が求める「郵政民営化」が、とうとう形となって現れた。
販売提携、共同開発、次は出資、つまり日本郵政の経営支配だろう。
狙いは処女地とされる日本の医療保険市場。国民皆保険を空洞化する米国資本の戦略拠点に郵便局がなろうとしている。
・外資の保険ならOKという矛盾
日本郵政は日本生命との提携を予定していた。
子会社のかんぽ生命で日生が開発したがん保険を発売する段取りだった。
それが舞台裏でひっくり返った。
米国政府は「政府の信用が背後にあるかんぽ生命が民間と競合する保険を販売するのは民業圧迫であり、外国企業の参入を妨げる非関税障壁である」と主張し、TPP交渉と絡めて日本側に圧力をかけていた。
麻生財務相がTPPの事前交渉で「かんぽ生命からがん保険の申請が出ても認可しない」と米国に約束した日本側が、その後の交渉で「日本生命を外し、代わりにアフラックのがん保険を売らせる売国的譲歩」(保険業界関係者)に突き進んだ。
政府の信用をバックにがん保険を売るな、と言いながら、米国系のアフラックのがん保険ならOKというのは筋の通らない話である。
他にも外資系保険会社は多数ある。アフラックだけを優遇するのは、これまでアフラックが主張してきた理屈にも合わない。
誰にでもわかる非道理がまかり通った「力による決着」である。
アフラックのがん保険はかんぽ生命の直営80店に留まらず、日本郵便の2万局、つまり全国津々浦々でアヒルのキャラクターといっしょににぎやかに販売される。全国制覇である。
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アフラックに屈服したTPP日本
郵便局との提携が国民皆保険を空洞化する
週刊ダイヤモンド 2013.8.1 山田厚史
■TPPに乗じて拡大、したたかなアフラック
かつての敵だった日本郵政と提携し、地盤を強化。
東洋経済オンライン 2013/08/10 岡田広行
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2011年1月、日本郵政の齋藤次郎社長(当時)は記者会見でこう述べていた。
「かんぽ生命保険ががん保険の分野に進出することについて、米国、特に通商代表部(USTR)が深い懸念を持っていると伺っている。米国側とすれば、アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)などが約8割のシェアを占めているわけですから、そういう懸念を抱かれるのは、ある意味当然ではないか」
それから2年半後の7月26日、日本郵政はアフラックとの提携を発表した。
日本郵政はすでに約1000の郵便局で、アフラックのがん保険を取り扱っているが、それを約2万の郵便局に拡大するほか、79あるかんぽ生命の直営店でも販売する。
また、傘下の日本郵便およびかんぽ生命で取り扱う専用商品をアフラックが開発する。
がん保険分野で7割の国内シェアを握り、40年にもわたる日米保険摩擦を戦い抜いてきたアフラックにとって、今回の提携は歴史的な勝利だった。
かんぽ生命のがん保険への進出を阻止したのと同時に、全国津々浦々に張り巡らされた郵便局ネットワークを使うことによる販売拡大の道が開けたからだ。
アフラックのチャールズ・レイク在日代表は、かつてUSTRの日本部長として日米保険協議でタフネゴシエーターぶりを発揮してきた人物。
そのレイク氏は記者会見の場で、これまで民業圧迫と批判してきた日本郵政について「ウィン・ウィンの関係になる」と笑みを浮かべた。
一方、上場を目指していた日本郵政にとっては、追い込まれた末での決断だった。
株式会社化されてはいるが、政府が100%の株式を握る国有企業であるがゆえに業務面で手かせ足かせをはめられ、身動きが取れない状態だったからだ。
新商品の認可が実現しないこともあり、かんぽ生命の12年度末保有契約件数は、ピーク時の4割強にまで落ち込んでいた。
・郵政を翻弄したTPP
上場実現には収益基盤を強化しなければならないが、4月12日には麻生太郎金融担当相が、かんぽ生命に今後数年間、外資が圧倒的なシェアを握るがん保険や単品の医療保険(いわゆる第3分野商品)を認可する考えがないことを明らかにした。
折しもTPP(環太平洋経済連携協定)交渉と並行して進められる日米協議に際して、両国で非関税措置の見直しに取り組むことで合意。
両国の文書に記載された個別項目の中に「保険」が盛り込まれた。
ところが、協議開始に先立って大臣自らが「本件とは関係ない」と言いつつも参入禁止を断言したのである。
かんぽ生命をめぐる一件は、TPP交渉入りの“持参金”と見なされた。
実際、日本郵政はマレーシアでのTPP交渉参加のタイミングで、今回の提携を発表している。
5月末まで郵政民営化委員長として民営化の監視役を務めた西室泰三氏が日本郵政社長に就任して、1カ月余りでの素早い決断だった。
日本郵政は、アフラックの商品を販売し手数料収入を得ることで、収益の拡大につなげることができる。
これに不快感をにじませたのが、それまでかんぽ生命と業務提携を結んでいた日本生命保険だった。
同社は08年2月以来、がん保険など商品開発や事務・システムの構築などで提携関係にあったが、今回のアフラックと日本郵政の合意は「寝耳に水」(日本生命)。
今後については協議していくとしつつも、「今回の話は遺憾」とのコメントを発表した。
アフラックは、日本のビジネスでグループ全体の利益の8割を稼いでおり、今回の提携を利用してさらに強固な地盤を築くことになる。
かんぽ生命の業務拡大阻止で共闘してきた国内外の保険会社にとっては、出し抜かれた格好になったうえ、今後大きな脅威となるだろう。
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TPPに乗じて拡大、したたかなアフラック
かつての敵だった日本郵政と提携し、地盤を強化。
東洋経済オンライン 2013/08/10 岡田広行
■日本郵政、ニッセイからアフラックに乗り換え
B-plus(ビープラス)仕事を楽しむためのWebマガジン
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・日本郵政、ニッセイからアフラックに乗り換え
かんぽ生命を傘下に抱える日本郵政と米国の大手保険アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が、日本国内で業務提携することを7月27日に発表した。
2日前の25日に、日本が初めて参加したTPP交渉の第18回会合がマレーシアのコタキナバルで閉幕したばかりというタイミングでの発表だった。
提携発表の中で、アフラックはかんぽ生命と共同で、新たながん保険を開発していくことや、同社保険を取り扱う郵便局をこれまでの国内約1000局から、約2万局に一気に拡大する方針などが示された。
かんぽ生命については、今年4月に 「民間の保険会社と適正な競争関係にない」 との理由で、麻生太郎副総理兼経産相が 「当分の間、新しい保険商品は認可しない」 とする考えを明らかにしたばかりだった。
さらにかんぽ生命はこれまで、アフラックと競争関係にある日本生命(ニッセイ) と協力関係を続けていたことから、今回の提携については 「袖にされた」 日本生命側からも、強い不快感が示されている。
アフラックは日本国内において、がん保険で大きなシェアを持つ。
ただ、日本では自社営業網を設けておらず、代理店による販売を行っているため、日本郵政との提携により代理店が2万局に増えるメリットは巨大である。
一方的な利益供与に近いとも言える提携について、「TPP交渉に後から入れてもらう」 形になった日本が 「参加料」 として米国にかんぽ生命を差し出した、とする報道も多い。
ただ、元通産省官僚の古賀茂明氏は、「現行のかんぽとアフラックを結びつけることで民営化を止めたいという郵政族議員や官僚の悪知恵が背景にある」 と指摘する。
国内でも官民様々な思惑が入り乱れており、保険分野におけるTPP交渉は不透明感が強い。
・米国が狙う日本の医療保険市場
外資系保険会社にとって、日本はうまみの大きな市場である。
経済的に豊かなだけでなく、世界の2%に過ぎない人口で、世界の18%にあたる保険を購入しているなど、保険に対する意識も高いためだ。
TPP以前にも、この市場を狙う米国に配慮した政治的な動きは多く、1994年には国内生保が医療保険などの 「第三分野保険」 に参入することを禁じる日米保険協定が結ばれた。
国内生保に対するこの規制は2001年まで継続され、いっぽうで外資系保険会社に対しては規制緩和が進んだ。
恩恵を受けたアフラックが、がん保険の分野で一時85%という異常なシェアを獲得したほどだ。
2001年にようやく国内生保・損保にも市場が開放されたことから、寡占状況が変化し、2012年にマイボイスコムが行った調査によると、「どの保険会社の医療保険に加入しているか?」 との問いに対して、アフラック(12.9%)が最多ではあったものの、2位の都道府県民共済(10.3%)、3位の日本生命(8.0%)などとの差はそれほど大きくなくなっている。
今回の提携では、このアフラックと、同アンケートで4位に食い込んだかんぽ生命が力を合わせることになるため、再度の寡占を懸念する声が上がり始めている。
医療保険の加入者数では他社の後塵を拝するかんぽ生命だが、総資産では、生命保険会社では世界最大とされる。
国がバックアップしていることによる信頼性の高さから 「民業を圧迫している」 との批判があり、小泉政権下では完全民営化が決定された。
その後、国民新党の亀井静香代表(当時) などがこの流れに待ったをかけたため、民営化への動きは鈍化。
以降は目立った動きがなく、市場を徘徊する“モラトリアムな巨人”と化していた。
こういった日本の医療保険市場の動きに乗じてさらなる利益を上げていきたい、とする外資系保険会社の熱望が伝えられる中、TPP会議では、日本の国民皆保険制度が 「非関税障壁」 として問題視されるのでは、との懸念がある。
ただ、この点については、米国政府も現状、否定的な見解を示している。
むしろささやかれているのは、日本の皆保険制度を “つぶす” ために米国がとる手法は、もっと間接的かつ巧妙なものになるのではないかということだ。
・TPPが狙う日本の医療保険~アフラック・かんぽ提携は青田刈りか~
その第一手が、混合診療に対する公的保険の適用解禁だ。
医療機関で行われる診療の中には、公的保険の対象となるものとそうでないものがあるが、現在日本の保険制度では、原則的にその混合を認めていない。
たとえばがん治療で保険対象外の新薬を用いると、手術費や入院治療費など従来は公的保険の対象となっている治療まで、対象外とされてしまう。
そのため、海外では標準治療薬となっている薬が使えないなど、デメリットが指摘されていた。
もし、混合診療に公的保険が適用されれば、海外で認められている様々な治療法をもっと手軽に利用できるようになる。国民にとってこのメリットは小さくない。
加えて、混合診療の利用者が増えれば自由診療が増加し、これをまかなうべく、民間の医療保険の需要が拡大する。
混合診療に公的保険を適用することで医療保険の需要が高まるだけであれば、特に問題はない。
問題は、それにより予想される 「公的保険財政のひっ迫」 にある。
・皆保険制度パンクの危険性も
少子高齢化が進む中、国保など公的な健康保険制度の台所事情は、現状でもかなり苦しい。
厚生労働省の発表によると、2011年度の実質収支は3022億円の赤字を記録。
政府の社会保障制度改革国民会議は8月5日、現在暫定的に1割となっている高齢者の医療費における自己負担率を本来の2割に戻すことなどを提言しているが、慢性的な赤字状態から抜け出す方策は見つかっていない。
混合診療を対象に含めれば、公的保険の財政負担はさらに増加する。
自治体によっては現状でもパンクの危機がささやかれるところも見られる中、破綻を回避するには、保険料をより高く設定するか、現状3割となっている一般の自己負担率を引き上げるなど、受診者負担を増やす抜本的な改正が必要になってくる。
その結果、民間の医療保険の需要はさらに高まり、がん保険など医療保険の市場規模そのものが急速に拡大することになる。
日本郵政とアフラックの提携は、この拡大した市場をごっそり刈り取るための下準備にも見える。
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日本郵政、ニッセイからアフラックに乗り換え
B-plus(ビープラス)仕事を楽しむためのWebマガジン
■安倍政権が孕む危険?アフラック・日本郵政提携とTPP交渉で公約違反が露呈?
Business Journal 2013.08.12
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安倍晋三首相が、日米首脳会談後の記者会見で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」と述べたのが2月のこと。
マレーシアで開かれた、日本が初参加した第18回TPP交渉の全日程が7月25日に終了した。
そしてその翌日26日に、日本郵政とアフラックの業務提携が発表された。
日本郵政は、2008年10月からアフラックのがん保険を販売しており、13 年 7 月現在、1000 局 の郵便局でがん保険を取り扱っているが、今回、新たに業務提携を強化することに合意したという。
具体的な内容は、アフラックのがん保険を現在の20倍にあたる約2万局で販売することを目指し、順次、取扱局の拡大に取り組むとしている。
また、日本郵政傘下のかんぽ生命はアフラックと代理代行契約を締結し、アフラックは日本郵政及びかんぽ生命にて取り扱う専用商品(がん保険)の開発を検討するとしている。
TPPについて、米国は日本との共同声明の中で、保険分野を残された懸案事項のひとつとしている。
これは要するに、「かんぽ生命と民間企業との間での対等な競争条件を求めている」ということだ。
そこで、米国資本であるアフラックが、水面下で業務提携の強化の働きかけを日本郵政に対して行ったのは間違いないだろう。
また4月には麻生太郎財務相が、「かんぽ生命が新商品を申請しても認可しない」と異例の表明を行っている。
そして、日本が初参加したTPP交渉会議の翌日の、アフラックと日本郵政の業務提携強化の発表である。
この提携強化は、日本政府がTPPに向けた米国への配慮であることがわかる。
しかし、国と国との間の配慮であれば、国益の上にたつ配慮でなくてはならない。
いや、日本郵政は民間の会社ではないか? と思う人もいるだろう。
表面上は、確かに民間であるが、日本郵政の株は100%、政府が保有しているのである。
さて、それでは今回「配慮」が示されたTPPについて、改めて考えてみよう。
ここかしこで、幾度も問われていることだが、そもそも日本のTPP参加は、国益に敵うのだろうか?
まずは参加するタイミングが常軌を逸している。
今回のTPP交渉はすでに「第18回」目なのである。
これまでに決まったことは当然ながら変えられない。
重要事項を決める会議に、あとから参加して主張をしても、通る可能性は低い。
そして、日本は重要5品目、すなわちコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物を守ると言うが、守るだけなら、なにも最初からTPPに参加する必要などないのだ。
この参加によって日本が勝ち取れるもの、国益に敵うものはなんなのか?
関税の撤廃で貿易の自由化が進んで日本製品の輸出額が増大するとか、貿易障壁の撤廃で大手製造業企業にとっては企業内貿易が効率化し、利益が増えるというが、そんなに単純なことではないだろう。
しかもTPPそのものが孕む、ラチェット規定、TPP離脱に対する訴訟リスク、スナップバック条項、NVC条項など、数えたらきりがないほどの問題点があるのだ。
ではなぜそんなものに参加するのか。
米国の圧力に屈しただけとの見方もある。
・「聖域なき関税撤廃」のまやかし
今回のTPP参加への道筋を、おさらいしてみよう。
自民党は昨年12月の総選挙では、農業関係者の票をとりこぼしたくなかったのだろう、TPPについては一定の距離を置いて様子をみるようなふりをしていた。
政権に就いてからも、林芳正農水相は「聖域なき関税撤廃を前提条件としているならば交渉には参加しない」と公約通りの答弁を、2月の日米首脳会談の直前にしている(ただし、安倍首相は、「『6項目』をしっかりと念頭に置いて首脳会談に臨まなければならない」と曖昧な答弁だった)。
これは裏を返せば、「聖域なき関税撤廃」にほんのわずかでも例外があるならば参加しますよ、という意味である。
そして、日米首脳会談直後の共同声明では、「日本には、一定の農産品、米国には一定の工業品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティ(重要品目)が存在することを認識しつつ、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する」と謳い、さらに「両政府は、TPP参加へのあり得べき関心についての二国間協議を継続する。
これらの協議は進展をみせているが、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非課税措置に対処し、及びTPPの高い水準を満たすことについての作業を完了することを含め、なされるべき更なる作業が残されている」と表明している。
いまひとつ理解しにくいのだが、よくみるとこれは「仮訳」とされているものだった。
公式文書が5カ月たっても「仮訳」のまま放置されているとも思えなかったので、正式な翻訳を外務省のウェブサイトを探したがみつからなかった。
そこで、外務省の北米第一課に問い合わせをしてみると、なんと「仮訳」しかなく、「本訳」される予定もないとのことだった。
・安倍政権の公約違反
ともあれ、「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認」した安倍政権はこの時点で、TPP参加への道を加速させ、一部のメディアも政府と足並みを揃え始めるが、これはとても不思議だ。
なぜならば、TPP参加への可否は「聖域なき関税撤廃」だけで決まるものではないのだ。
なによりも自民党自身が、昨年の衆議院解散総選挙における政権公約集「J-ファイル 2012 総合政策集 自民党」というリーフレットの中で、「聖域なき関税撤廃」だけではないことを明記しているのだ。
それは、「TPPに関しては、政府が国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さぬよう、わが党として、判断基準を政府に示しています」として、
1、政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2、自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標を受け入れない。
3、国民皆保険制度を守る。
4、食の安全安心の基準を守る。
5、国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6、政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
としている。
安倍政権は今回、「6」の公約違反を犯した。
前述した日本郵政とアフラックの業務提携強化である。
これは明らかに「金融サービス(等)のわが国の特性」を踏まえていない。
事実、かんぽ生命と現在提携している日本生命は、「5年以上にわたり、さまざまな面で協力を行ってきた経緯もあり、今回の話については遺憾です。
今後については、かんぽ生命と話をしていきたいと考えています」とコメントしている。
一方、アフラック日本は「この提携は(政府保有企業と民間企業の)対等な競争条件が実現されている事例だ。
日米間の交渉にもいい影響がある」と述べているが、わが国の金融サービスの特性を踏みにじっただけである。
しかも、これがTPPに関する最初の公約違反ではない。
「4」の公約もすでに破られている。
安倍政権発足からわずか1カ月で、BSE(牛海綿状脳症)対策で実施している米国産牛肉への輸入規制が、10年ぶりに大幅に緩和されたのだ。
輸入条件だった月齢を「20カ月以下」から「30カ月以下」に拡大した。
米国では月齢16~22カ月での食肉処理が一般的なので、今回の措置は規制緩和ではなく事実上の規制解除、野放しになったといっていい。
確かにBSEはピーク時には世界全体で年間約3万7000頭も発生していたが、昨年はわずか12頭だった。
規制緩和に踏み切った背景に、発生が世界中で激減して、感染リスクがなくなったとの判断があるのもわかる。
しかし米国には前歴がある。
05年に「20カ月以下」の輸入が解禁された直後に、危険部位が混入していることが発覚し、再び輸入を停止したことがあるのだ。
その間に米国で根本的な改善が行われたとは到底思えない。
安倍政権が成立してから7カ月だが、すでにTPPに関するたった6つの公約のうち、2つも反古にされている。
TPPをめぐる安倍政権の動きは、危険を孕んでいるといえよう。
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安倍政権が孕む危険?アフラック・日本郵政提携とTPP交渉で公約違反が露呈?
Business Journal 2013.08.12
■アフラック・日本郵政提携の衝撃、生保業界から怒り噴出「TPPの犠牲」「民業圧迫」
Business Journal 2013.08.08
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日本郵政とアメリカンファミリー生命保険(アフラック)が提携を拡大した。
これまで全国1000の郵便局で扱っていたアフラックのがん保険を、今秋から順次2万ほどまでに広げる。
がん保険以外の商品販売も検討する方針とみられる。
一方、以前から提携関係にあった国内最大手である日本生命保険は提携を反故にされた格好で、業界内からは怒りの声も漏れ伝わってくる。
・「ニッセイは努力不足」(西室郵政社長)
日本郵政とアフラックが帝国ホテルで提携会見に臨んだ 7月26日の夜。
日本生命は両社の提携について、短い文書を発表した。
業界に詳しい記者は驚きを隠さない。
「文書には『遺憾』の文字が入っていたが、企業のリリースではまれ。どういう文書を発表するか、社内でも相当もめたと聞く。
会見で日本生命との提携について聞かれた日本郵政の西室泰三社長が、『(日本生命の)努力不足』と異例のコメントを発したことが引き金になり、怒りを隠さなかったのだろう」。
実際、これまで日本郵政と包括的な提携関係にあった日本生命との関係を無視してまでアフラックと提携拡大に踏み切った背景に、日本生命の「努力」が関係のなかったのは、業界関係者ならば明白な話だ。
日本郵政は郵政民営化改正法成立のタイミングの前後から、新規事業を模索してきた。
そのひとつが傘下のかんぽ生命による医療保険への進出。
提携関係にあった日本生命のサポートを受けて、いつでもがん保険を販売できる段階にあった。
ここに横やりを入れたのがアフラック。
医療保険分野は、外資と中堅以下の国内生保に長らく販売が限られていた。
そのため、アフラックはがん保険で国内シェア7割を握るが、かんぽ生命が巨大ネットワークを活かして自社商品の販売攻勢に出たら、アフラックはシェアを食われるのは間違いない。
焦ったアフラックは「政府出資の日本郵政のがん保険は民業圧迫だ」と主張し、かんぽ生命のがん保険販売は棚上げされていた。
・TPP交渉の手土産?
それが今回、急転直下で日本郵政は自社商品の販売を諦め、目の上のたんこぶであったアフラックとの提携に動いたのだから、日本生命以外の国内大手生保は驚きを隠せない。
大手生保幹部は「アフラックとの急接近はTPP交渉が背景にあるのは間違いない。交渉が始まる日米二国間協議での手みやげとして、TPP交渉に出遅れた日本政府がアメリカ側に譲歩したのだろう。ただ、特定の一民間会社に公的ネットワークを独占的に使わせるのはいかがなものか。アフラックこそ民業圧迫ではないか」と指摘する。
少子高齢化や単身世帯の増加で、日本国内の生保市場は大きく変化する。
各社は死亡保険に加え、医療保険の販売を強化している。
こうした中、日本郵政とアフラックはがん保険にとどまらず、他の医療保険商品についても郵便局販売を期待しているというだけに、競合他社の心境は穏やかでないはずだ。
「はらわたが煮えくりかえっている」。
冷静沈着で知られる日本生命の筒井義信社長は、会見の数日後に開かれた同社OB会の席上でも、怒りを隠さなかったという。
日米の政治的な駆け引きの道具にされた生保業界だが、今後予想される混合診療の拡大などで、外資系が今以上に攻勢をかけてくるのは必至。
80年代に巨額の運用マネーで世界を席巻した日本の生保業界が今、大きな転換点を迎えようとしている。
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アフラック・日本郵政提携の衝撃、生保業界から怒り噴出「TPPの犠牲」「民業圧迫」
Business Journal 2013.08.08
■アフラック・日本郵政提携に国内生保恐々のワケ?かんぽ台頭、聖域・医療保険開放…
Business Journal 2013.08.07
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日本郵政とアフラックとの提携話が加速したのは、日本郵政の6月末の株主総会で元東芝会長の西室泰三・郵政民営化委員長が新社長に就いてからだ。
西室氏は東芝では海外事業推進部長や東芝アメリカ社副会長を務め、財界きっての米国通を自負している。
日米財界人会議議長の経験を持つ西室氏と、同会議を通じて知り合ったアフラック日本代表のチャールズ・レイク氏は、10年ほど前から家族ぐるみでつきあう仲だ。
官邸との連携を強めた西室社長は「(提携の)最後のツメを急がせた」(日本郵政関係者)という。
アフラックの政治力は抜きんでている。
アフラックが日本代表に送り込んだのが、米国の元USTR(通商代表部)日本部長だったチャールズ・レイク氏だ。
USTRはTPPを推進する米国の窓口。
レイク氏は日本取引所グループ(JPX)の社外取締役も務めている。
2006年から在日米国商工会議所の会頭を2期務めたほか、経済同友会の幹事などを務めてきた。
そのレイク氏が提携強化のための交渉のカードに使ったのがTPPだった。
「日本郵政が郵便局のネットワークを開放すれば、米政府は保険問題に関する批判の矛先を収めざるを得なくなる」(7月28日付日本経済新聞)との見方も多いが、保険で譲歩すれば、農業問題(コメや牛肉)で米国側が譲ると考えるのは、日本の勝手な願望にすぎない。
日本の生保市場は40兆円。
米国に次ぐ世界第2位の保険大国だ。
死亡時に支払われる「生命保険」では日本勢が高いシェアを持っているが、「第3分野」は外資系の牙城だ。
アフラックは全体の営業利益の8割、米プルデンシャルは5割弱を日本市場で稼いでいる。
外国勢にとって日本は金城湯池なのだ。
40年越しの日米保険摩擦が、これで解消すると考えるのは早計である。
米国勢の狙いは当初から、はっきりしている。
1つは郵政の完全民営化によって放出される株式を取得して、郵政傘下のかんぽ生命を支配下に置くこと。
2つ目は“聖域”とされてきた日本の医療保険市場の開放である。
TPPの事前協議の段階で、米国は「第3分野の中でも日本では医療保険が売れていない。
それは国民皆保険だからだ」と主張した。
衣の下から鎧をのぞかせたわけだ。
がんに的を絞らず、病気やけがを対象にする医療保険が米国では普及している。
日本では医療保険の市場は極端に小さい。
国民皆保険が行き渡っているからだ。
アフラックは安倍首相の規制緩和策の推進で、今後解禁が予想される混合診療に関連する保険を開発し、日本郵政経由で販売することを考えている。
極端な財政負担の軽減策の結果、日本の国民皆保険にほころびが生じた時が、米国勢にとって絶好のチャンスとなる。
かんぽ生命でのアフラックのがん保険の販売は、これを見据えた布石である。
郵便局が、がん保険を売ることに注目が集まっているが、がん保険は突破口にすぎないのだ。
・最大の目玉は、かんぽ生命?
政府が全株式を持つ日本郵政が全国の郵便局、約2万カ所でアフラックのがん保険を販売する。
日本がTPP(環太平洋経済連携協定)協議に正式に参加するタイミングでアフラックと提携強化した。
この先に来るのは国民皆保険の空洞化である。
日本郵政傘下の日本郵便が、アフラックのがん保険販売を代行している。
がん保険を売る郵便局の数を1000から全国2万にすることに目が行きがちだが、提携の最大の目玉は、かんぽ生命が新たに販売代理契約を結び、79の直営店でもがん保険を取り扱うことだ。
アフラックは日本郵政向けに独自のがん保険の新商品を開発する。
13年3月末時点の国内のがん保険契約件数は2054万件。
このうちアフラックは1469万件の契約を持ち、71.5%のシェアを誇る。
今回の提携で郵便局とかんぽ生命のネットワークのほぼすべてを手中に収めることになり、日本でのがん保険市場を完全制覇できる。
国内生保にとって最大の脅威は、かんぽ生命との提携にある。
郵便局は終身医療保険、変額年金保険、法人向け生命保険など数多くの保険商品を扱っており、がん保険はあくまで品揃えの1つでしかなかった。
国内生保会社の首脳は、次のように語る。
「あまり知られていないが、かんぽ生命の個人保険の契約件数は毎年200万件余で国内トップ。信用度も高く販売力もある。今回の提携によりアフラックの代理店が、かんぽ生命の終身保険などを売ることができるようになる。日米の2強が手を組めば、他の生保を圧倒することも十分にあり得る」
日本の保険市場をめぐっては「非関税障壁がある」と主張する米政府の圧力で、がんや医療・介護などの「第3分野」には、01年まで外資系と中小保険会社しか参入を許されなかった。
ちなみに保険の第1分野は死亡保険、第2分野は損害保険を指す。
これに対してがん保険や医療保険などの第3分野は、アフラックやメットライフアリコなどの米国勢の独壇場となっている。
米政府はTPP参加の前提となる日本との事前交渉で、保険を俎上に載せ、交渉に遅れて参加する日本政府は、米側の要求をのんだ。
麻生太郎財務相は4月、「かんぽ生命からがん保険の申請が出ても認可しない」と米国に約束し、かんぽ生命の新規事業参入を事実上凍結した。
そして、日本郵政はがん保険における日本生命との独自商品共同開発の検討を撤回し、代わりにアフラックと提携することで決着した。
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アフラック・日本郵政提携に国内生保恐々のワケ?かんぽ台頭、聖域・医療保険開放…
Business Journal 2013.08.07
■日本郵政、なぜ国内生保を“袖”にしてまでアフラックと業務提携? 懸念材料を検証
Business Journal 2013.08.07
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日本郵政と米保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)は、がん保険事業で業務提携を強化することで基本合意した。
従来検討してきた日本生命保険との独自商品開発が撤回されたことも合わせて、このニュースを各メディアが報じている。
7月25日付日本経済新聞によれば、日本郵政は今秋から順次、簡易保険を除く全国2万の郵便局と、かんぽ生命の約80の直営店舗でアフラックの商品を販売すると発表。
これまでにも、日本郵政はいくつかの郵便局を通じて、民間保険会社の医療保険や変額年金も取り扱っており、「アフラックのがん保険も約1000局で扱ってきた」(同紙)が、今回のような広範囲での提携は初めてとなる。
また、来秋の発売に向けて新たながん保険の日本郵政専用商品を共同開発することも明らかになっている。
日本郵政がアフラックとの提携強化に舵を切る背景には、TPPに関する日米交渉があると、日経新聞をはじめ多くのメディアが指摘する。
米側は4月までの事前協議で、政府が出資する日本郵政グループが自由に新商品を出せば公正な競争を阻害すると主張していた。
日本の生保市場は40兆円規模で、米国に次ぐ世界2位の保険大国。
その中で、死亡時に保険金が支払われる「生命保険」は日本勢が高いシェアを誇るが、医療保険などの「第三分野」は外資が強く、がん保険に至っては米国勢が8割を占めている状況だ。
そのため、米国勢の日本での収益力は非常に高く、前出の日経新聞記事によれば「アフラックは営業利益の8割、米プルデンシャルも5割弱を日本で稼ぐ」という。
もしも2万カ所の拠点を持つ日本郵政が独自商品を展開すれば、米国企業の寡占市場に大きな穴が開く可能性があり、米側は独自商品の開発凍結を求めていた経緯がある。
今回、日本郵政グループが独自開発を見送り、米保険大手の商品を全国的に販売することで、米側の保険分野における懸念はひとまず解消する見通しだが、この判断に懐疑的な声も少なくない。
サイト「All About」の「組織マネジメント・ガイド」コンサルタントの大関暁夫氏は7月25日、自身のブログに投稿した記事で「TPPにおける対米主要分野の交渉を有利に進めたいという意図はもちろん理解できます」と、一定の理解を示しながらも、「小手先の対米目くらまし的違和感を覚えざるを得ない」と指摘。
米国側からの保険業務に関する要請に対し、本来あるべき回答は、国内生保を袖にしてまで国営郵政と外資保険が提携強化することではなく、日本郵政の「完全民営化スケジュールの提示」だとも述べている。
また、ジャーナリストの田中龍作氏も同日、自身のブログで「開戦のホラ貝が鳴ったと思ったら、いきなり本丸に攻め込まれた」として、米国政府の要求に従って医療保険の独自開発が凍結されたことを重く見ている。
24日、日本郵政の西室泰三社長はフジサンケイビジネスアイなどの取材に対し、完全民営化の第一歩となる株式上場の時期について、従来目処とされていた2015年10月から、同年春に半年程度前倒しする意向を表明。
日経新聞記事によれば日本郵政は前期決算で郵便、銀行、保険の3業務が減収となるなど厳しい事業環境にあり、上場計画自体が先延ばしになる懸念もあった。
しかし、アフラックとの提携でがん保険の独自開発を見送り、ブランド力のある商品販売を拡大することで、「完全民営化の道筋を早期に示す狙いがある」と分析している。
いずれにしても、今回の日本郵政とアフラックの提携を「小手先の対米目くらまし」で終わらせず、米側に「公正な競争相手」と認めさせながら、日本企業の競争力を担保していくことが重要といえよう。
今回の両社の提携は、今後の保険業界の行方を占うキーワードになっていきそうだ。
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日本郵政、なぜ国内生保を“袖”にしてまでアフラックと業務提携? 懸念材料を検証
Business Journal 2013.08.07
日本郵政・アフラック連携拡大 外資の販売窓口と化す郵便局
長周新聞 2013年7月13日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/1187
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日本郵政が米保険大手アメリカンファミリー生命保険(アフラック)との提携を拡大することを発表した。
アフラックのがん保険を全国にある約2万カ所の郵便局が販売するのが柱。安倍政府がTPP交渉を本格化させ、アメリカがかんぽ生命保険のがん保険参入を「認めない」と規制するなか、全国に網羅された郵便局網を日本側から米外資の販売窓口としてそっくり差し出す動きとなっている。
国民のための公的機関として信頼され役割を果たすべき郵便局が、アメリカの執拗な圧力と、それに唯唯諾諾と従う歴代売国政府による「郵政民営化」で無惨に破壊され、いまや「アメリカ資本のためのもうけの道具」として奪いとられていく事態が進行している。
・TPP参加とも密接に連動
日本郵政はすでに約1000局でアフラックのがん保険を販売しているが、とり扱いを簡易郵便局以外の全郵便局(約2万局)に広げ、かんぽ生命の79直営店にも広げる方向を打ち出した。
アフラックは郵便局の販売網に既存代理店の販売網も加わるため、日本の代理店は約4万店に増加。
年寄りの多い僻地などもふくめ、最終的には郵便局をもしのぐ圧倒的な販売網を手中に収めることになる。
提携について記者会見した日本郵政の西室泰三社長は早期株式上場をにらんで「がん保険市場で一番実績のあるアフラックとの協力関係の発展で企業価値の向上が図れる」と発言。
山間部や過疎地の郵便局は販売網として残し、都市部の局を減らしていく方向性も示している。
アフラック側は「販売網をさらに拡大できる」(エイモス会長)としつつ「対等な競争条件に関する論争がこの提携で終わるとは思わない」(レイク日本代表、在日米国商工会議所名誉会頭、元米通商代表部日本部長)と強調。
アフラック側の態度は、郵便局の販売網乗っとりは序章にすぎず、さらなる日本の国民資産強奪を企む米国財界の意図を浮き彫りにしている。
郵便局関係者の一人は「もともとは日本生命といっしょにがん保険を共同開発することになっていた。それをアメリカが“民間企業との対等な競争条件ではなく不公正だ”と圧力をかけると、自民党が“かんぽ生命が新商品を申請しても認可しない”とひっくり返した。なぜ日本国内の保険にアメリカが介入してくるのかと思う。そして参院選が終わったらさっそくTPP参加交渉を開始して、日本の全郵便局でアメリカの保険を扱えといい出した。自分たちはもともと公務員だ。国民のために働くということで郵便局員になった。それが民営化以後はノルマばかり上から押しつけられるようになり、ゆうパックや保険や文房具品などを“売れ!”といわれる。そして今度はアフラックの保険の販売。いったいなにを考えているのかと思う。郵便局は民間企業の営利や、アフラックのためにあるわけではない。国民のために仕事をするのが郵便局員ではないのか」とうっ積する思いを吐露した。
・トラブルが多い外資系 「第3分野」を独占
すでに1000局の郵便局でとり扱いが始まっているアフラックのがん保険は、30代なら毎月4000~5000円程度の保険料(年齢によって違う)を収めれば、がんになったとき治療費や入院費などが規定に基づく額ほど給付される仕組みになっている。
がん保険の資料にはよく出てくるアヒルのイラストとともに「生きるためのがん保険Days(デイズ)」と銘打って「総合保障プラン、治療重点プラン、二つのプランをご用意しました」「入院はもちろん3大治療(手術、放射線、抗がん剤)による通院も保障は日数無制限!」「健康保険制度が適用されない先進医療にも対応!」など、さまざま宣伝している。
ただ解約払い戻し金や死亡の保障はないのが特徴。
こうした入院や手術のときに保険金が出る医療保険やがん保険、介護保険などが「第3分野」と呼ばれ、アフラックやアリコなど外資系が独占的なシェアを持っている。
とくにがん保険は、アフラックと米メットライフアリコの2社だけで市場全体の8割を握っている。
しかもアフラックはすべての利益の8割を日本でたたき出しており、日本が最大のもうけ場所となっている。
昨年九月に日本郵政傘下のかんぽ生命保険が新しい学資保険の発売認可を金融庁と総務省に申請したとき、米生命保険協会が「日本郵政株を政府が保有しているから民業圧迫だ」と圧力をかけたが、それは「米生保会社が日本でボロもうけすることを妨害するな」という「日本企業圧迫」が実態だった。
こうしたなか日本の生命保険会社は死亡時に保険金が出る生命保険(第1分野)や自動車事故や災害時の損害を補償する損害保険(第2分野)が多い。
それと比べ掛け金が低く加入しやすい印象がある「第3分野」にはほとんど参入できずにきている。
国内生保関係者の一人は「日本の生保会社は貯蓄して還元していく形が多いからかけ金は高く、1カ月数万円という場合もあるが、掛け捨てではないケースが多いから治療費は手厚く出る。亡くなっても給付する生命保険の場合は治療して治してもらったほうがいいという対応になる。でも最近は少子高齢化や就職難で新規加入が減ってきて厳しくなっている。外資系は日本の保険と感覚がだいぶ違う」と指摘した。
生命保険利用者の一人は「外資系は見てくれはアヒルやアイドルが宣伝して親近感を持たせているけど、案外トラブルが多い」と話す。
「掛け捨ての保険となると、できるだけ治療費を使わずコロッと亡くなった方が保険会社の利益は増える。治療費を一切使わせずに死亡すると保険会社は丸もうけだ。だからよく申込用紙のうらや隅っこに小さな字でわからないようにいろいろ条件を書いている。知り合いにも“小さい字を見落としていて給付をお願いしても出なかった”という人がいた」といった。
2008年には支払いトラブルをめぐって生保10社に業務改善命令が出されたが、アフラックのトラブルが突出していた。
2011年の契約者のクレームは合計381件のうちアフラック=223件、アリコ=42件、第一生命=27件、日本生命=26件となっている。
歴史的にみても日本の保険市場は、古くからアメリカの思惑通りに操られてきた経緯がある。
1970年代には外資系に「第3分野」の保険商品を解禁。
アフラックは1974年に日本支社を置き、日本初のがん保険の発売を開始した。
しかし日米保険協議で日本の生損保が強い分野の規制緩和を執拗に迫る一方で、「第3分野」では国内大手の参入を制限。
結局国内大手生保は2001年まで参入することができていない。
外資系が国内保険市場を独占的にさんざん食い荒らしたあとで参入を解禁したためいまだにがん保険はアフラックの独占状態が継続している。
こうした保険を今度は郵便局の全窓口を使って「郵便局の扱うがん保険」と宣伝していくことに僻地の郵便局員は抑えがたい思いをぶつける。
「全国一律のユニバーサルサービスを維持するというから事態はいい方向へ向いているのかと思ったら、アメリカのがん保険を売りつけるためだった。僻地は都会の局とは違って高齢者が多い。それに郵便局と関係が深いから、“郵便局の保険なら頼もう”“郵便局員さんがいうなら日ごろお世話になっているからお願いする”という人もいる。経営陣はそのネームバリューを使って保険加入者を増やせというだろうけど、地域住民の利益にならないことはできない。でもこんなことになったのも結局、郵政民営化からだ」と話した。
・米大手の道具ではない 「民営化が根」と怒り
もともと小泉改革の「郵政民営化」は総資産300兆円にのぼるゆうちょ銀行とかんぽ生命の2社だけをアメリカが買収するため、株を売却できるようにすることが最大眼目だった。
すでに幹事証券としてゴールドマンサックスを内定していたが、自民党政府が国民の強い批判世論で崩壊し、民主党政府が登場する過程で「株式売却凍結法」が成立する動きとなった。
このためアメリカが「民間との公平な競争条件が満たされていない」「(TPP参加の条件として)日本郵政グループと海外企業の競争条件を同じにすること」と猛烈な圧力をかけて凍結法を廃案にさせた。
このとき66・6%の郵政株売却を認めさせ、完全売却への道筋をつけていた。
そして低得票率で自民党が衆院も参院も議席を独占すると、東芝会長や日米財界人会議議長の経験を持ち米国通と評される西室泰三を日本郵政社長に配置。
2015年秋に予定していた株式上場を15年春の前倒しをめざすと公言する動きになっている。
だがいったん国民に叩きつぶされた自民党が再び、亡霊のように出てきてまったく同じ郵便局つぶし、日本の国民資産売り飛ばしを加速することに郵便局現場の憤りは充満している。
「郵便局は日本の国民のためのもので外資のもうけ道具ではない。自民党の懲りない面々はもう一度足腰が立たないまで痛い目にあわせないといけない」「郵便局を国民の手にとり戻さないといけない」と語られ、郵政民営化を撤回させ、TPP参加阻止をめざす行動機運が高揚している。
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日本郵政・アフラック連携拡大 外資の販売窓口と化す郵便局
長周新聞 2013年7月13日
■日本のがん保険は、すでにアメリカに制圧されている
2013年8月23日 週プレNEWS
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TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉で注目が集まっているのは、農業などの“聖域”ばかりだ。
しかし、アメリカの本当の狙いは農作物の関税撤廃ではなく、日本の「非関税障壁」を壊すことにあると指摘する専門家もいる。
非関税障壁とは、関税以外の輸入数制限や国内の基準などで輸入を抑える仕組みやシステム。
食品や建築などの安全基準、税制や補助金、知的財産権保護や薬品承認のルールなどがこれに当たる。
アメリカが非関税障壁の破壊を目論んでいることを示すのが、日米両国のTPP事前協議での合意を明記した両政府間の「往復書簡」だ。
そこには除去すべき非関税障壁として、(1)保険、(2)透明性・貿易円滑化、(3)投資、(4)知的財産権、(5)規格基準、(6)政府調達、(7)競争政策、(8)急送便、(9)衛生植物検疫措置の9つの分野がリストアップされている。
TPP交渉のステークホルダー(利害関係者)会合に参加したアジア太平洋資料センターの内田聖子事務局長が言う。
「あろうことか、安倍政権はアメリカにTPP交渉と並行して、この9分野の非関税障壁措置について、日米2国間協議を行ない、TPP交渉妥結までにまとめると約束させられてしまったのです。しかも、対象部門を今後増やせるという条項もねじ込まれてしまった。このままではTPP交渉を待つまでもなく、日本は弱肉強食の米国流ルールを一方的に押しつけられかねません」
アメリカが壊したい9つの非関税障壁のうち、具体的な動きが出ているのが保険だ。
『エコノミストは信用できるか』『TPP 黒い条約』(共著)などの著書があるジャーナリストの東谷暁氏が説明する。
「その筆頭は保険分野です。全米サービス連合会という保険ビジネスの業界団体があって、TPP交渉でも活発なロビイングをしています。この保険分野で日本は交渉に挑むどころか、すでにアメリカに膝を屈しつつあります。それがつい先日発表された、米保険大手のアフラック(アメリカンファミリー)のがん保険を日本郵政下の郵便局2万局で販売するという合意です」
もともとアメリカは日本郵政株を日本政府が100%保有していることを取り上げ、「民業を圧迫している」と批判してきた。
そのため、怯えた日本は外資系にがんや介護などの保険商品を認める一方で、国内生保には2000年まで販売を制限してきた。
その結果、がん保険はアフラックと米メットライフアリコの2社が国内シェアの8割を占めるまでになってしまった。
「事前協議では米系保険会社に配慮して、かんぽ生命の新規商品発売も中止になりました。そこにさらに2万の郵便局がアフラックのがん保険を販売するというのです。これでは日本郵政はアフラックの下請けも同然でしょう。がん保険に関しては、日本の市場はすっかりアメリカに制圧されてしまった格好ですね」(経産省関係者)
次に狙われるのは投資か、知的財産か、急送便か……、アメリカの手はすでに伸びている。
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日本のがん保険は、すでにアメリカに制圧されている
2013年8月23日 週プレNEWS
■米国アフラック「売上高の約3分の2が日本」
日本でも有名な米がん保険会社が40年近く連続増配を続ける強さとは=宮川淳子
2021年5月24日 週刊エコノミストオンライン(毎日新聞)
■アフラックとがん保険業務提携を拡大
米、TPP並行協議で保険分野のさらなる市場開放要求[日本郵政]
週刊現代 2013.09.10
■“国策貢物企業”として巨大化したアフラック、現場社員が語る「保険の闇」――アヒルというよりゴジラ外資だった
渡邉正裕 2022/02/06
■属国日本 アフラック編
■【絶対に知ってほしい??】アフラックに喰い荒らされる、日本のがん保険市場 TVや新聞が絶対に報じない、米国企業と日本政府の密約
■がん保険なんて欧米にはない!!! ~殺戮されている日本人~
2018-03-24
■欧米ではどんどん減っているのに なぜ、日本人ばかりが「がん」で死ぬのか
週刊現代(講談社)2014.10.14
■日本だけ「癌死亡率」上昇の不名誉
日米の癌死亡率が逆転したのは90年代半ば。主要先進国で今も上昇し続けているのは日本だけ。
2021年3月号 LIFE [癌治療栄えて癌死増える]
■先進国でガンが増えているのは日本だけ
■TPPと医療 ノンフィクション作家関岡さん講演 米国、混合診療解禁へ思惑は 高収益と民間保険拡大
西日本新聞 2013/6/5
■今年度上半期の貿易収支、赤字3898億円…ワクチン含む医薬品輸入が44・7%増
読売新聞 2021/10/20
■ワクチン輸出国だった日本が、「輸入ワクチン頼み」に落ちぶれた根本原因
開発途絶を招いた「全面敗訴」の重み
PRESIDENT Online 2021/06/01
■医薬品輸入額は過去最高、コロナワクチンが影響との声-3月貿易統計
Bloomberg 2021年4月19日 占部絵美
■医薬敗戦、バイオ出遅れ 21年の貿易赤字3兆円へ
日本経済新聞 2021年12月12日
■ゲノムリテラシーなき、さまよう日本:医薬品の貿易赤字は4兆円超に
アゴラ 2022.07.29 中村祐輔
■医薬品の輸入超過、11年2.4兆円 10年連続拡大
医薬品「輸入額は10年連続で増加し、10年前の2.5倍」
「海外から抗がん剤など高価な医薬品の輸入が増え、輸入超過が広がっている」
日本経済新聞(2012年8月21日)
■日本の医薬品、貿易赤字3兆円超
「輸入額が輸出額を大幅に上回る貿易赤字が続いており、その赤字幅は年々広がっている。厚生労働省の統計調査によると、医薬品の輸入額は4年間で37%増え、2014年に3兆1884億円に達した」
日本経済新聞 2016年7月8日
■医薬品輸入超過5年連続2兆円超?パラダイムシフトに遅れた日本
「年間で約2兆2500億円の赤字」
「5年連続の医薬品貿易赤字2兆円超え」
アゴラ 2019.07.29 中村祐輔(医学者)
■中村祐輔のシカゴ便り~これでいいのか、日本の医薬品貿易赤字額は年間で2.46兆円!
「15年連続で増加し、2015年には10倍以上拡大」
2016年2月6日
■日本のTPP交渉はコメで負け、自動車で負けた
安倍首相は自国民よりアメリカを重視?
東洋経済 2015/10/03 安積明子
■極秘のはずのTPP交渉内容が米議員に全面公開! 日本はまた「不平等条約」に泣くのか
2015年4月20日 週プレNEWS
■日本破滅への不平等条約だった!? 誰でもわかる! TPPのココがおかしい
Business Journal 2016.10.19
■TPPと日米半導体協定
日経クロステック 2011.11.18 大下 淳一 日経エレクトロニクス
■TPPに隠されたアメリカの卑劣な手口
日本経済は植民地化される
そして、日本の富は略奪される
週刊ダイヤモンド 2014.2.3 菊池英博
■日米貿易協定交渉 TPP上回る譲歩迫る米国 外資の無制限の自由を要求
長周新聞 2019年4月18日
■『アメリカの言いなりは、もうやめよ』著:飯田経夫
「アメリカの要求通り市場開放・内需拡大・規制緩和をしても問題は解決しない。規律を失い、没落した国の要求に屈する弱腰の日本。悪いのはアメリカで日本ではない。」
講談社BOOK倶楽部
■日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか?~狙われる日本人の金融資産~
(著者:ベンジャミン・フルフォード、発売日:2015年06月、出版社:メディアックス)
「米国は、TPPで郵政、年金、農協マネー総額500兆円の収奪を企てる」
「アベノミクスからTTP問題で日本の富を奪う」
ベンジャミンフルフォード『フォーブス』元アジア太平洋局長
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■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚
「JAバンクは農協と信用農協、農林中央金庫で構成され預金残高は90兆円」
「米国政府と米国金融、保険の多国籍企業、日本政府に対して絶えず圧力をかけている」
Business Journal(2015.09.01)
■TPPから全貌が見えてきた恐るべき米国の対日戦略 バレてきて焦る従米売国奴たち
■TPPという主権喪失~日本の国益を売り渡す「売国」のカラクリ=三橋貴明
まぐまぐニュース 2016年2月7日
■TPP 隠された真実 第1回「多国籍企業の企てを許さない」内田聖子
■TPP 隠された真実 第2回「ISDS条項という毒薬」孫崎享
■TPP 隠された真実 第3回「米韓FTAで起きたこと」郭洋春
■TPP 隠された真実 第4回「クスリから国民健康保険へ」寺尾正之
■TPP 隠された真実 第5回「脅かされる食の安全」
■TPP 隠された真実 第6回「甘くなる金融規制」和田聖仁 TPP交渉差止・違憲訴訟の会
■TPP 隠された真実 第7回「何を失い何を得たのか」 鈴木宣弘 東京大学教授
■TPP「食の危険」これでは遺伝子組み換えのゴミ捨て場に10/27衆院・TPP特別委員会
YouTube 2016/10/27
■西部邁「TPP...日本は米国の戯言を半世紀以上喜んで受け入れてきた」
■日本のテレビ・マスメディア・政府は外国資本が買収済み「苫米地英人」国家を企業が支配する時代に TPP解説
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