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失敗の本質から学ぶ、自己革新組織のチェックリスト(notionテンプレ付)

カミナシPMのかこもえ(@kakomoe3)です🐙

9月ごろから社内で輪読会を有志で実施している。私がSlackで呟いたところ輪読会部長📚の@hiroakiotsubo11 が開催してくれたのだが、輪読会はとてもよい。

わたしも毎回、本になったりメモ帳になったりして参加を楽しんでいた。

今日はその第1回で輪読した、90万部も売れているらしい有名すぎる組織論の古典(というほど古くないかもだが)「失敗の本質」を取り上げ、この失敗から得られた示唆をいかに業務に活かすのか、という話をしようと思う。

📚「失敗の本質」はどういう本か?📚
太平洋戦争で日本は負けた。その日本軍が失敗した要因の本質はどこにあるのかを、現代の組織に活かすことを目的に組織論を中心とした研究者たちが研究・分析した本。
合理的・近代的な組織であったはずの日本軍が、そことは反する組織的な振る舞いにより敗北に向かっていった。これを、6つの敗北した作戦を例にとり解説している。

本書に書かれている、失敗の背景にある日本軍という組織。

日本軍は現代の企業組織にも通ずるあるあるな課題を踏み抜いてきており、組織について考えたことのある人であれば誰でも、何か具体的なシーンが思い浮かぶのではないかと思う。

本書では、日本軍は『自己革新組織』である必要があったという話をしている。

これをどうしたら自分の業務の中で活かせるのだろうかと考えていたのだが、定点でのヘルスチェックのような形にすれば、組織の状況を確認し、なにかしらのアクションに繋げることができるのでは?と考え、チェックリストを作ってみることにした。

もし、チェックリストだけほしい!という方は、いいね❤️をした後にでもここでUターンしてくれればいいし、もうちょっと本書の内容についてkwsk!!という方は、この後をぜひ読み進めてほしい。


まずは本書の結論

日本軍が失敗したのは、以下の原因であると述べられている。

日本軍の最大の失敗の本質は、特定の戦略原型に徹底的に適応しすぎて学習棄却ができず自己革新能力を失ってしまった、ということであった。

失敗の本質

ふむふむわからん。なんだかやばそうな雰囲気だけはなんとなくわかるぞ😇

これは、変化し続けられない組織は失敗する、ということを意味している。
具体的には、以下の図のようなことが起きていた。

変化できない組織が形成され→戦時という外部環境の変化に対応できなかった

そもそも日本軍は、近代的で合理的な官僚制をベースに組織が作られていた🏰

にもかかわらず、実態としては合理とは正反対のお気持ちみたいなものが組織運営に強めに反映されていたらしい。
そのため、作戦の目的が曖昧になったり、あの人の気持ちを尊重して...そこまでいうなら...と空気が支配し主観的な戦略が策定される、といったことが起きていた(やばい😱)

組織運営もお気持ち尊重型で、「私はがんばる!」という意気込みが評価される組織だったらしい。
そのため、「成果を出す」ための学習や、外部環境の変化に適応をするモチベがあまり生まれなかった😱

ぶっちゃけ戦争がなければそれでもよかったが、戦時に突入した際に、「勝つ」ための行動に切り替えられなかったということなんだろう(ひえ〜😱🔥)

もう少し引いた視点で見ると、以下の流れが発生していた。


  1. 日本軍は、過去の成功体験に徹底的に適応した

  2. その過去の成功(=学習)を捨てることができず、変化できない組織が形成された

  3. 外部環境は変化があっても、組織・戦略が再適応できなかった(過去の成功に固執していた)


徹底的な適応は、変化を止めることになり、再適応ができなくなる

成功体験そのものが悪いのではなく、その成功を捨てられなかったがゆえに失敗したということである。

なんとまぁ耳が痛い話だ😇👂


自己革新組織とは

本書によると、組織が完全な均衡状態にあることは適応の最終形態であり組織の死であると述べられている。
つまり逆説的だが、適応が適応能力を締め出す🙅‍♀️とも言われている。ちょっと難しい。

日本軍は、過去に成功した特定の戦略に徹底的に適応し、それを突き詰め磨き込んだ。
一方で、外部環境の変化を軽んじ、自分達の戦略を正しいと信じて疑わず、組織を変えることも戦略を変えることもしなかった。

ではどうすればよかったのか?

適応しきる、ではなく、適応し続ける必要があったということだ。

そして、組織が継続的に環境に適応し続けるためには、組織は主体的に戦略・組織を環境の変化に適合するように変化させる(主体的に進化していく)必要がある。
このような自己革新能力のある組織のことを「自己革新組織」という。


例えば、こんなん昔なかった?

ところで自分の所属する、ないし所属していた組織を振り返って、自己革新能力が失われていたなーみたいなことは、思い当たらないだろうか?

1番多いのは、あれ、なんか昔、そんなことがあったような(えいっ!臭いものに蓋🥘!)みたいなやつなのかなと思う。ちなみに私もそれだ。

なんとなく、謎のプロジェクトが発足し、そして誰もその目的はわからない(そして発起人はすでにプロジェクトから外れている)。
とはいえステークホルダーが存在しゴールも期日も決まっているのでとりあえず進めたが、結果として目的不在・ないし目的が変わっているのに誰も気づいておらずプロジェクトとしては失敗、ないし炎上してしまったこと。

何かの機能をリリースしたあと、振り返って分析せずにただの観察になってしまったこと。はたまた機能を作るときに、目的・目標設定が曖昧なままなんとなく進めてしまったこと。

今は攻めだ!を続けた結果、守りができていないことによる歪みが決壊し、しばらく攻めることができなくなったこと。

個々人は学びを蓄積しているが、組織にその学びが還元されていない。あるいは、学ぶ人と学んでいない人が二分化された結果として組織に歪みが生まれてしまったこと。

組織として同じこと繰り返してるよねーと、そういう愚痴を言ってしまったり聞いてしまったこと。

なぜ過去にその意思決定をしたのか?と問われ、明確に答えられなかったこと。

なにかしら、それに近しい経験をした人は多いのではないかと思う。

私もとても耳が痛い話だが、これらは全て、元を辿ると組織による自己革新能力の不足がもたらしたもの、と言えるのかもしれない。


閑話休題、自己革新組織を作るためには?

では、自己革新組織をつくるためにはどうしたらいいのか?
本書によると、自己革新組織には以下6つの条件が必要だという。


  1. 不均衡の創造

  2. 自律性の確保

  3. 創造的破壊による突出

  4. 異端・偶然との共存

  5. 知識の淘汰と蓄積

  6. 統合的価値の共有


ふむふむわかった(わからん)。もっと噛み砕いて教えてほしい。

そんな声が聞こえてきそうな気がするので、それぞれの解釈ではなく、今自分の組織が自己革新組織になっているか?というのをセルフチェックできるリストを作ってみた。

一度、自分の組織がチェックリストを満たせているか、見てみるとおもしろいかもしれない。


自己革新組織を判定するチェックリスト

notionのテンプレはここに置いておくよ📖


1. 不均衡を生み出せているか?

💡 不均衡状態はなぜ必要?💡
環境を利用して組織を変化できるようにするため、常に組織を不均衡な状態にしておくことが、常に変化・適応しつづけるための原理原則

✅ 異質な情報・知識の交流はありますか?例えば他社や他部門の情報を仕入れ、自分達の知識をアップデートしていますか?
✅ 最近組織での「抜擢」はありましたか?上層部がずっと変わっていない、ということはありませんか?
✅ 「耳の痛いはなし」に対して、組織として向き合いアクションに繋げていますか?


2. チームに自律性はあるか?

💡 自律性はなぜ必要?💡
組織に自律性があると、環境の変化に敏感に適応できる。また、適応の過程で、適応の仕方に異質性、独自性を確保でき、創造的な解を生み出す可能性をもつ。そして予期せぬ環境変化への脆弱性が小さい

✅ 意思決定の権限が誰かに集中していることはありませんか?適切に意思決定権限の委譲がなされていますか?
✅ マネージャーには責任と権限がセットで与えられていますか?たとえば事業責任を担っているのに人事権がないといったことが発生していませんか?
✅ プロセスや動機ではなく、結果を正しく評価できる組織ですか?


3. 創造的破壊による大きな変化はあったか?

💡 破壊はなぜ必要?💡
組織が自己革新するには組織として根本から進化をする必要があり、自己超越をするためには破壊を伴う必要がある

✅ ダイナミックな戦略転換や配置転換、組織再編などが直近でいつ起きましたか?
✅ 上記のような大きな意思決定を伴う検討事項に、組織として向き合っていますか?


4. 異端・偶然との共存ができているか?

💡 異端や偶然との共存はなぜ必要?💡
異質な人、情報、偶然を取り込まないと、変化が起きない。変化がおきないとイノベーション(=革新)は起こらない

✅ ボトムアップの意見をきっかけに、組織や戦略が変わったことはありますか?また、ボトムアップでの意見がそもそも出てくる組織ですか?
✅ 組織内での他部門・他職種との知識交流はありますか?
✅ 部門を横断して課題発見・課題解決が組織としてできていますか?組織がサイロ化してしまっていませんか?
✅ 現場の知見を上位の戦略・作戦に取り入れるような仕組みはありますか?


5. 知識の淘汰と蓄積ができているか?

💡 知識の淘汰と蓄積はなぜ必要?💡
進化をするためには、学習が必要である。つまり、新しい情報を知識にし、その知識の選択淘汰・蓄積することで新たな環境に適応をしていける

✅ 個々人が得られた知識・知見を共有する仕組みはありますか?
✅ 失敗(成功)の経験は、組織的に蓄積され、伝えられていますか?
✅ 施策やPJTごとに振り返りを必ず行っていますか?知識として蓄積し、アクションに落とし込めていますか?


6. 統合的価値を共有できているか?

💡 価値の共有はなぜ必要?💡
自律的な組織であっても、バラバラに動くことなく総合力を発揮するためには、組織全体が進む方向(=ビジョンや価値)を全員に理解してもらう必要がある

✅ それぞれの組織が同じ方向を向いて協働するための価値やビジョンはありますか?それを共有できていますか?
✅ メンバーは、共有された価値やビジョンに共感し、腹落ちしていますか?
✅ ビジョンや価値を、具体的な行動規範にまで落とし込めていますか?


まとめ

これが全て、全社としてできている組織は本当に強い組織だと思う。
書きながら思ったが、組織が大きくなればなるほどかなり難しいものばかりだ。

おそらく新しく生まれた組織はこういったことを最初は意識するが、運営が長くなり、関係者が多く複雑性が増してくるにつれ、安易な方向への力が働きつい妥協してしまう類のものだとも思う。
結果として問題が発覚したときにはそもそも個人の力で変化を起こすには難しい規模感になっていることも多そうだ。

そういった意味でも、定期的にこのリストを振り返り、活用していきたい。



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#読書の秋2022


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