顧客が離れる理由 その2
相手の頭の中からの視点をもつ
旅行の目的は、人それぞれです。もちろん、「美味しいものを食べる」「温泉につかる」「日頃の疲れを癒す」的な部分は、最大公約数として共通だと思います。
実際、「料理が評判の宿」「お風呂自慢の宿」は人気の理由だと思います。しかし、食べて、お風呂に入り、寝る時間以外の「部屋で過ごす時間」というのも重要なポイントです。
スマホを見ない人はいない時代ですので、部屋でyoutubeを見る人もいるでしょうし、今日行ったところの動画をSNSにアップする人もいるでしょう。
また、明日の旅行の計画をネット検索しながら立てる人もいるでしょうし、仕事をする人もいるでしょう。
小さいお子さんがいる所もあれば、高齢者や身体が不自由な方が宿泊する場合もあるでしょう。
当然、宿泊施設として、それらの方の宿泊を考えてはいると思いますが、やはり、どこか、旅館としての視点が多くなると思います。
例えば、福祉協議会に行けば、高齢者になれるようなグッズを貸し出してくれます。それらの器具を付けて部屋や館内を移動すると、全く違う風景が見えるはずです。
大切なのは、お客様の味方に立った旅館・ホテル経営を行うことだと思います。
プラスアルファの価値
旅行は、非日常の経験を得るために行うものです。
いつもの生活から離れれば離れるほど、価値は高まります。しかしこれは、費用との戦いでもあります。
そこで、お勧めするのが、プラスアルファの価値です。
今の時代、部屋の様子とかは、事前にHP等で確認ができます。しかし、事前に知っていた情報にはない、サプライズ的なことがあると、評価はグーンとあがります。人は予期せぬことには、弱いんです。
今回の宿では、茶菓子が2種類ありましたし、備え付けの冷蔵庫にアイスクリームが用意されていました。これは、ちょっとうれしいインパクトです。
宿泊施設の案内に、「栫様、本日は当館をご利用いただき、ありがとうございます。」と名前を入れられるだけでも、好感度はアップします。
お金をできるだけかけずに、プラスアルファの価値を考える、それだけでも、客離れは減って行きます。
アンケートへの回答をたくさんもらう努力
先ほどの、客目線での意見が一番わかるのが、アンケートです。恐らくほとんどの宿泊施設で、実施されていると思います。
しかし、アンケートに答える人が少ないのではないでしょうか?
もう少しこの点がよければ、もう一度来てもいいのにな
そう思っていても、アンケートに記入してまで改善を求めるのはないと思います。アンケートに回答するのは、よほど嫌な思いがあったときぐらいです。しかし、これは完全にもったいない。
そもそも、アンケートに答えることで、宿泊客にどんなメリットがあるのかが書かれていないことがほとんどです。
そんな状態ならば、わざわざ時間を使って、アンケートに答えることはしません。
しかし、アンケートに答えること、館内で利用できる500円券をサービスするとあったらどうでしょうか?
さらに、アンケートの内容をHPで公開し、対応策も記載する。さらには、素敵なアイデアを出してくれて方には、宿泊費用が1人分無料にするサービス券を送付するとかあれば、もっとたくさんのアンケート回答が集まると思います。
クレームこそがチャンス
このご時世、クレーマーと呼ばれる人は必ず存在します。しかし、それを逆手にとって、対応していくことで、応援される側になることができます。応援される側に立つと、たくさんの味方ができ、勝手に宣伝してくれるようになります。
クレームではないですが、被害に遭ったことを逆に世論に訴えることで、支援の輪が広がったのがこの例です。
この件もあって、宿泊客も徐々に増えてきているとか。「鬼滅の刃」「盗難」というキーワードの強さもあったでしょうが、SNSの拡散力を如実に表した広報活動です。
まとめ
今回は、温泉旅館という具体的で、どなたにも想像しやすい業種でお話をしましたが、どんな業種、もっと言えば、副業であっても、顧客離れを防ぐヒントがあると思います。
新規顧客獲得よりも、リピート率を上げることが、安定的な経営・収益には欠かせません。
今一度、顧客の頭の中に入った視点で、日頃の取組を考え直してみてください。