チームでつくる会社のカタチ|かこ川商店プロジェクト #1
2021年4月某日。晴れ。
広島県福山市。敷地内には大きな重機たち。「ワンストップリサイクル」を掲げて産業廃棄物処理やリサイクル事業を行う株式会社かこ川商店が、今回の舞台です。
社員8名がチームとなって、社外アドバイザーと共に「新しい会社のカタチをつくる」ワークショップが開催されました。
(撮影のため、一時的にマスクを外している場面があります。)
つくるのは、会社の軸
かこ川商店では、数年前から地域に向けたプロジェクトや個人向けサービスなどを展開し、地域に根差す会社を目指しています。
会社をもっと働きやすく、そして地域に開いていくにどうすればいいか。社長の 水主川 嘉範(かこがわ よしのり)さんはこう話します。
水主川:「業務は忙しいけれど、社員の働く気持ちを改めて見つめないといけない。そのために、月に数時間でも勉強会を開くことが大切だと思うんです。」
この想いを実現するため、員数名を集めた「会社の軸づくり」社勉強会の開催を決めました。
「目指す理想」は具体的に
まずは、事前に社内でまとめられていた「どんな事業?どんなお客様?」「理想の働き方とスタッフ像」「会社の現実と理想」について発表がありました。そこで分かりやすかったのが、講師の言葉。
講師:「たとえ上手は伝え上手。写真や図を使って、できるだけ具体的に表現してください。伝える力も徐々にパワーアップしましょう」
このアドバイスを実践し、例えば理想の社員像について具体的な有名人の名前を挙げながら共有していきました。
司会進行はかこ川商店 社員の田村さん。
事例の共有や議事録の作成など、一人3役をこなしつつワークショップを円滑にする手助けをされていました。入社間もないと聞きましたが、すでに社員の一員。まとめられた議事録も、発言者のメモを含めとても分かりやすかったです。
共有していったのは働き方についてや、情報共有について。また企業理念についての話も出ながら、共有されたキーワードを分類していきます。そして内容ごとに「良いこと:黄色」と「良くないこと:青色」に仕分けしました。
講師:「重要なのは、常に理想の働き方ををイメージして、リストを更新すること。オセロのように、青色(もう少し)を黄色(いいこと)に変えていきましょう。」
チームとして、これだけ意見が出るのはとても稀だと加藤さんは続けました。リストを見ながら、メンバーも気づきを共有します。
この分類には、「社長」のカテゴリーもありました。
青色が多めな部分を見ながら、真剣な表情の水主川社長。
目の前にいる社長と真剣に話ができる環境。実はとても貴重ではないかな、と感じました。講師の加藤さんから見て、他社と比較してかこ川商店の特徴は
・人間関係が良好だと伝わってくる
・ワークでキーワードがたくさん出る
・情報共有や指示系統の問題意識が高い
・「デザイン」が分類にあるのが珍しい
・お客さんとの対話関係についてが少ない
だと付け加えていました。現状を知って、理想を社員で共有していく。ここから、さらに行動を変えるためのワークへ繋がります。
エピソードが、会社をつくる
理想とする社員像や働き方を知ったうえで、次に会社のエピソード探しへと繋がりました。重要なのは、会社の社風やカルチャーを改めて確認すること。
とくに困ったときにどう行動するかを考える印籠のような役割を作る目的でした。入社年度も様々な社員8名から、少しずつ印象に残っているエピソードを共有していきます。
「今の働き方は有給取得がしやすいけど、会長の時代は全然違いました。今の社長になってから働き方が変わってきて、有給をどう使った良いのか分からないことがありましたよ」
これは先代の会長時代から働いていた社員さんから出たエピソードです。
会長はいつも「早くしよう」「まだか」「どうなった?」と、情報共有と確認を徹底していたそうで、そのスピード感についていくうちに働く楽しさも上がっていったといいます。
「最近の面接には仕事体験がありますよね。ミスマッチを減らすためだと思うのですが、昔はそんな制度はなくて。希望があればすぐに採用されていました。」
「以前はよく飲み会とか社内イベントが多かった気がします。今はコロナ禍もあってなくなりましたが、年に1回社員旅行とかがあってもいいのかもしれないですね。」
「社長と直接話す機会は多いと思います。面談も年に数回ありますね。」
「話す機会は多い分、実際にどんな働き方がしたいのかを聞き取るルールや、企業理念も必要なのかなと思います。」
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いろいろなエピソードが共有されて、創業時からの会長の働き方と、現社長の働き方の違いが少しずつ感じられました。そのうえで、共通している思いはどこにあるのか。次回までに時間を作り、エピソードを集めることになりました。
最後は印象的なエピソードを3~4つに絞ります。
・創業時、苦労したこと
・天災時、企業はどう動いたか
・不景気時、企業はどう動いたか
・大失敗の時、どう立ち直ったか
などのキーワードから探すといいと、アドバイスがありました。どんなエピソードが出てくるでしょうね。
理想の制度を増やしていこう
約2時間のワークを終えて、最後に水主川社長から挨拶がありました。
水主川:「みなさんと一緒に、理想の働き方に近づけたいと思っています。社員さんはもちろん、地域にも必要とされる会社にしたい。そして、僕が居なくても会社が滑らかに動き続けるような、働きやすい会社が目標です。」
社員と社外アドバイザーがチームとなって、新しい会社をつくるプロジェクト。約1年間続くプロジェクトですが、少しずつ変化が起きていく兆しを感じます。
今後、どんなカタチになるか楽しみにしています。
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ワークショップを終えて、その後に関わるプロジェクト会議も数名で行われました。
テーマ設定や、ブランドデザインについて。さらにチームを繋ぐマネージャーの立場が重要なことも共有されていました。チームが少しずつ成長し、プロジェクトが広がっていく未来。楽しみですね。
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そういえば、道路を挟んだ反対側にある畑。
地域の方と育てる玉ねぎが豊作だったとのことです。会社の隣には田んぼもあるんですって。
この農園も、どうなっていくか楽しみです。
それでは、また次回。
(写真・文|ナカニシミツヒコ)