植物の株を増やすと、変化のある確率が上がってオススメ
プラスチックの造花に水をやっても
楽しくない理由は、変化がないから
園芸の楽しさを突き詰めると
変化を見つける瞬間といえる
変化が、自身の行動に対する
植物からのフィードバックだと、明らかに分かる場合もあって
(水をやったとか)
善意に応えてくれたようで
種族は違っても、愛着がわく
葉が変色してるとか
虫に食われてるとか
ネガティブ方向の変化もあるけど
なんの変化もないよりはマシ
動物だったら、ネガティブ方向は
いっさい無いのが嬉しいけど
しょせん植物なので……
荒木飛呂彦は、ホラー映画の解説本で
ホラーは、人生でひどい目にあうときのイメージトレーニングになる
って書いてたけど
植物の病気や死で
動物のそれらに対する恐怖に、立ち向かうノウハウと
勇気を練習しとくことは、大事だと思う
ポジティブな変化に感じる嬉しさにも
慣れがあって、マンネリになってくのだけど
それでも0ではない
毎日、何かしら変化があると嬉しい
植物を育てたことない人には、意外かもしれないけど
植物を1株育てても、毎日ほとんど変化はない
小学生の育てる教材がアサガオなのは
毎日変化がある、珍しい品種だからだと思う
植物は、品種によって
成長速度が何十倍も違う
成長が早いほど嬉しいかというと、単純じゃない
1年草は、1年で一生を駆け抜けるので
成長が早いけど、種の採取に失敗すればループ終了
子孫に形質が遺伝してるか、という楽しみはあるけど
固定されてない形質は、失われるのが当たり前なので
変化はするが、先祖返りの変化であって
外見的には、捨てたくなるネガティブ方向
1年草でポジティブな変化を目指すのは
作出など、生産者としてのベクトルになり
趣味で収まらない賭け金に上がってしまう
具体的には
変化が起きるのが当たり前で、起きなければ失敗
という基準に変わってしまい
変化が起きないこと自体が、ネガティブ方向になってしまう
植物に期待するのは、精神的に良くない
なので、心の平穏には多年草が良く
ビカクシダは多年草
しかし、ビカクシダの成長速度は並
アサガオやイチジクのように
1日で10cm以上伸びたりしない
花が咲く
実がなる
などの、分かりやすい変化も存在しない
葉を見るだけ
葉オタクになる覚悟が必要だけど
アガベの場合はトゲオタクなのだし
花以外だって、それぞれのフェチに目覚めれば楽勝
成長速度が並の品種で
毎日なにかしら変化を感じるには、シンプルに株数を増やすのがいい
GPUの性能で殴るとか、筋肉はすべてを解決すると同じく
数の暴力で解決するアプローチ
ビカクシダは胞子から育てると、数十株できるので
高騰してる品種だろうと
ほぼ無料といえるほど、コストが小さい
胞子から1cmの株にする難度より
1cmから30cmの株にする難度のほうが低いくらい
子株を買う行為は、胞子培養のギャンブルを
お金で解決する行為で
大株を買う行為は、時間を買う行為といえる
胞子培養も、複数の品種を並行で進めたほうがいい
方法を説明したサイトなどには
2週間~2ヶ月くらいで前葉体が見え始めた成功ケースと
発芽しなかった失敗ケースの写真があるけど
実際には、ちょうど間の
中途半端な成功ケースもあって
光が強すぎてアオコが発生し、飲まれそうになったが
アオコだけを取り除いて挽回したとか
冬に突入して、低温のせいで発芽せず
けど低温のせいで腐敗もせず、半年後に発芽したとか
イレギュラーは絶対起きる、くらいに
長い期間を見積るべき
安価な品種の胞子で試して
成功したら、高価な品種にチャレンジみたいなプランでは
たぶん4年以上掛かってしまう
子株になれば、数が多すぎて
高価な品種だという感覚も麻痺して、どうでも良くなるし
同時に5品種くらいまいて、2年後に
計100株の子株になってるくらいが良いと思う
100株もあれば、毎日なにかしら面白い変化が起きる
1人育てるのも2人育てるのも同じ
みたいなセリフが漫画にあった(確かパトレイバーの最終回)けど
100株育てる手間は、1株の100倍じゃなく
せいぜい5倍
子株のうちは10株くらいずつ容器に入れて腰水するし
作業としては水を足すだけで、半自動的に成長する
100株すべてが大株になっちゃった場合の
置き場所を心配する必要もない
その時にお金が必要だったら売ればイイし
めんどかったら捨てればイイ
ペットと違って、それができる
同じことを被子植物でやると、幹や枝の硬さのせいで
ゴミとして捨てにくいけど
ビカクシダは、そこもクリア
大量育成されるために生きてるとしか思えない
人間本位のデザイン
こち亀で、両さんが盆栽でそれをやって
1株1株に、のび太くんとか名前をつけて、台風で淘汰されてたけど
営利目的ではオススメできない
なぜなら、たぶん日本だけでも
胞子培養で数百株を育ててる人が、私以外にも多くいて
売ることに興味ないとか
暴落させたら申し訳ないとか
様々な理由で市場に出さないだけ(魔界編の煙鬼みたいな)だから
そういう気まぐれに巻き込まれるような営利は
不安定だと思う
では、実際に
何株を並行して育てるかの例だけど
学校の1クラスの全員で
誕生日が重複しない確率って、直感よりも小さくて
1.4%しかない
98.6%の確率で重複するので
1000クラスあったら、14クラスしかいない
これは、空きの誕生日がどんどん埋まってくから
起きるパラドックスで
証明不可能なアノマリーじゃない
100株の植物があるとする
1株に変化が起きる確率を、毎日1%とする
ある1日に注目した時
1株にも変化が起きてない確率を計算すると、36.6%
誕生日と違って、株ごとに独立してるから
劇的には下がらないけど、それでもかなり低い
逆に、変化を楽しめる確率は63.4%なので
2日に1回は、どれか1株は変化してることになる
新しい葉が出てきた、などの変化は
発生から連日楽しめるので
ほぼ毎日、何かしら見るべきものがある園芸になる
ペットなら、スペースの都合や
エサ代や、愛情の総量などで、1匹が限界なことはある
1匹だけだと、0匹になったときの
心理的なロスが大きい
同じ思いをしたくないから、もう飼いたくない
ってなると、その趣味は卒業
2匹→1匹なら、残った1匹がセラピーして
また子猫を拾って、1→2匹になるのループができたりする
ビカクシダに初挑戦するときも、同じ理由で
1株だけで始めるのは、やめたほうがいい
ビカクシダのサイズや品種によっては
弱点があるので、何株か枯らさないと勉強できない
1株も枯らさないよう、安全側に保険をかけまくっても
大株になってから、初めての不調への対処がわからず
枯らすほうが被害が大きい
1回も挫折を経験しないまま大人になって
大役を任されて、失敗の仕方が分からず大爆発するようなもの
胞子培養では、安い植物の命を使って
リスクヘッジの考え方を学べるので、分散投資&放置の勘が身につくかも
そういう、時間や金額の損得以外に
楽しい、明るい、かわいい
など喜びの最大化、という観点で考えても
胞子培養による
子株の大量育成はオススメできる
子株の葉は、子供の手のようでかわいい
植物であろうと、子供の成長してる姿は
全盛期を過ぎて、死に向かってる生き物を見るときの
寂しさを相殺してくれる
ゴッドファーザー3を観た人なら
理解る感覚かもしれない
あの映画の寂しさは、大家族が1人ずつ減ってくのもあるけど
家に子供が増えず、詰みに向かってるのもあると思う
子供は衰退でない象徴だから
ビカクシダが大株ばかりになった後でも
子株による明るさは、継続して必要
枯らさないことだけが園芸じゃない
枯らす経験も園芸
喜んで枯らすわけじゃないが
枯れた個体に対して、悲しいとか感情だけでなく
知識を得ようとする態度が
次の個体を枯らさないことに繋がる
枯れる頻度が下がれば
デスの頻度が下がったゼルダのように
無理できる限界を知った、ということで上達
1株も枯らしてない人は、大株を所持してようと
凄腕なのか、うんのよさ255のレベル1なのか
区別がつかない
これは他人との比較という悪い例であり
他人や常識との比較、見栄
売ったらいくらになるだろう、みたいな我欲
そういう煩悩の尺度から解脱できる、きゃわゆさが
ビカクシダの子株にはある