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シビカラ麻婆豆腐にまみれたい。私的最強麻婆豆腐のレシピ。
自宅で料理をしたり人にふるまったりするのが大好きです。
よく聞かれるのが「自分が作る料理で何が一番好きですか?」というものです。その時々によって答えは違うのですが、ここ1年くらいは、自信をもって「麻婆豆腐です!」と答えています。
単なる辛み、痺れだけではない。よく炒めてカリカリになったひき肉、甘さ担当の甜面醤、旨味担当の豆鼓、コク担当のラー油、ごま油、ニンニク。主役の豆腐がそれらととろりと絡み合い、全体を花椒の痺れが包む。
そして、その最強のタッグは白飯。
両者を合わせれば、旨味、絡み、しびれ、コクすべてが混然一体となりスプーンが止まりません。
私は、麻婆豆腐には間違いなく中毒物質が入っていると確信しており、将来的にはタバコのように税金が課されるとか、電子麻婆豆腐や加熱式麻婆豆腐などが発売されるのではないかと予想しています。
そんな麻婆豆腐、世の中には豆腐と合わせるだけのレトルト商品がありますし、町の中華料理屋さんにもだいたいメニューに載っています。
しかし、実際にはおいしい麻婆豆腐を作ろうと思うと、複雑ではありませんが、細かいポイントがいくつもあり、ポイントを外すと中毒性がガクンと落ちてしまいます。
そこで、今日は、私がこれまで数限りなく麻婆豆腐を作ってきた(中毒なので)経験を踏まえ、極めて中毒性の高い、私的最強麻婆豆腐のレシピをご紹介したいと思います。なお、様々な麻婆豆腐のレシピを参考にしたオリジナルのレシピでして、今では何を参考にしたかも忘れてしまっているため「本場ではこんな材料使わない」「このポイント、どこかの料理本で見た」などのご指摘はしないでね。
1 材料(4人前)
・ 豆腐 1丁(400g)
まずここで第1の論点が出てきます。絹ごしか木綿かです。ただし安心してください。どちらも豆腐なので、どちらを選んでも麻婆豆腐です。決して麻婆春雨や麻婆茄子にはなりません。どちらの豆腐かは好みですが、白ご飯にかけて、麻婆豆腐にまみれたい場合にはソースとの一体感がある絹ごしがお勧めです。
・ 豚ひき肉 150g
おそらく一般的なレシピよりは豚ひき肉が多めだと思います。でも多い方がコクが出ておいしい。赤身よりも適度に脂肪が入ったひき肉がお勧めです。
・ ニンニク1片
みじん切り。
・ ニラ半束
これも5ミリ幅にみじん切り。正式なレシピを見ると葉ニンニクを使うようですが、私はいまだかつて葉ニンニクが売られているのを見たことがないので、ニラで代用しています。青ネギよりニラの方が合います。
・ 豆鼓 大匙1
これもみじん切り。市販の豆鼓醤大匙1でも構いません。ただし注意してほしいことは、豆鼓は入れすぎないこと。豆鼓は風味がかなり強いので、入れすぎると麻婆豆腐ではなく、中毒性の薄い豆腐の辛い豆鼓煮込みになります。
ここからいよいよ醤系を紹介していきます。
・ 郫県(ピーシェン)豆板醤 大匙1
普通の豆板醤より熟成期間が長いそうで、ただ辛いだけではなく、旨味やコクがあります。もちろん普通の豆板醤でも代用可。
これは事務所(神戸)の近くの南京町の東栄商行南京町本店というお店でゲットしたもの。
・ 甜面醤 大匙2
コクと甘み担当です。シビカラを際立たせるため、むしろ私は多めに入れます。こちらも東栄商行南京町本店で購入したもの。このお店、あまりほかのお店では売っていない中華食材が豊富で、しかも安い。甜面醤も大容量のものが売っています。
・ 老干媽風味鶏油辣椒(フウミジユーラージオ・鶏肉入りラー油)
大匙2
普通のラー油でもいいのですが、この老干媽風味鶏油辣椒は「山椒・唐辛子から抽出したラー油にフライした鶏肉の香ばしさをミックスした風味・コクを併せ持つ商品」だそうで、たまたま東栄商行南京町本店の店頭で見つけ、このおばさまの顔にビビっと来て買ったところ、これがまた麻婆豆腐に合うこと。このラー油は中にたくさんの具が入っているのですが、麻婆豆腐調理の際には、その具ごと投入するのがポイントです。
・ 山椒油 大匙2
麻婆豆腐を作る際に、痺れを演出する花椒は必要不可欠なのですが、どのような形で入れるかは実は結構難問です。
よく売っているのは花椒の粉なのですが、香りが飛んでしまっており、大量に入れてもあまり痺れません。
一方、ホールの花椒を使う場合、すり鉢で擂って使うのですが、これは痺れは十分あるもの、擂るのが面倒くさいし、口にカスが残ってしまいます。たくさん痺れたいが、うまい方法がない、と悩んでいたところ、これまたいつもの東栄商行南京町本店で見つけました。
山椒油です。
これは花椒を油に漬け込んで風味を油に移したものでして、この油を仕上げに使うと、十分に痺れて、かつ口にも残りません。
これは是非入手いただきたい。ほかの豆板醤やラー油は普通のでもよいので、山椒油だけはお願いします。
・ ごま油 大匙2
これも山椒油と一緒に仕上げに入れて加熱します。
ラー油、山椒油、ごま油、とかなり油を入れることがわかると思います。そう、麻婆豆腐は油の料理なのです。この大量の風味豊かな油が、カリカリのひき肉、とろとろの豆腐、シビカラの醤類をまとめ、督励し、偉大な麻婆豆腐を作り上げるのです。
・ 紹興酒 2秒
これもおいしい麻婆豆腐を作るのには必要不可欠です。
日本酒では代用できません。紹興酒独特の風味とコクが麻婆豆腐をより華やかにしてくれます。
なお「2秒」とは「瓶を2秒間傾けて出る量」という意味です。
・ 醤油 1秒
醤油も必ず入れてください。
たくさんの種類の醤が入っているから醤油はいらないのではないか。。。と思われるかもしれませんが、醤油が入っているか否かで、「ご飯と合う指数」が30億ほどちがいます。
・ 中華スープの素(ペースト) 大匙1
ウェイ・・・ではなく、創味シャンタンを使います。
・ 水150cc
・ 水溶き片栗粉
片栗粉大匙2と水大匙2であらかじめ作っておきます。水溶き片栗粉に限らず、全ての材料は切りそろえて、調味料と共に手元に置き、テンポよく鍋に投入していけるようにしましょう。
2 作り方
いよいよ作り方です。麻婆豆腐は、基本的には順番に鍋に材料を投入していけば作れるので、それほど複雑な工程を経るわけではありません。
こんなに簡単に作れるのに極めて強い中毒性を持つというところに特色があるのです。ただし、細かいところに気を使いながら作ると格段に味がレベルアップします。
(1) 豆腐を茹でる
「麻婆豆腐製作工程の中で最も重要な工程を1つだけ挙げよ」という試験問題が出た場合、私は躊躇なく「豆腐を茹でる工程である」と答える予定です。
これをしないと、スープで豆腐を煮ていく際に豆腐からたくさんの水分が出て味が台無しになります。
豆腐をあらかじめ塩を入れたたっぷりの沸騰したお湯で3分間ほど茹でます。これにより豆腐の水分が抜けてプリプリになり、後でおいしいシビカラスープを十分に吸ってくれる体制になります。
3分ほど茹でて、ざるに取っておきます。
(2) ひき肉を炒める
次に、中火でひき肉を炒めていきます。重要なのは十分炒めきることで、ひき肉を炒めていくと最初は濁ったスープのようなものが出てきますが、そこで炒めるのを止めてしまうと生臭さが残ってしまいます。スープが蒸発し、全体が透明な油で覆われてひき肉がカリカリになるまで十分に炒めてください。
炒めていきます。
こんな感じに、出てくる油が透明になるまで中火で炒めます。焦りは禁物。
(3) 醤類で味付けをする。
ひき肉が十分に炒まったら、次に味付けをしていきます。
ここで重要なことは「弱火にする」こと。
高温だとあっという間に醤に火が通り、香りも飛んで焦げてしまいます。ひき肉を炒めているときは中火でしたが、ここでいったん弱火にして、豆板醤、甜面醤、豆鼓、みじん切りのにんにくを入れてじっくり炒めていきます。
まず豆板醤大匙1投入。
次に甜面醤大匙2投入。
さらに豆鼓大匙1とニンニクみじん切りを投入。
じっくり炒めていきます。ちなみに、ニンニクは非常に火が通りにくいので、最初から高温で炒めるとあっという間に焦げてしまいます。
十分に炒めると、とてもよい香りがしてきます。これが味のベースになります。
(4) スープ投入
水150cc、創味シャンタン大匙1、紹興酒2秒、老干媽風味鶏油辣椒大匙2、醤油1秒を入れて強火にして沸騰するまで待つ。
沸騰したら、茹でておいた豆腐をスープに投入して煮ていく。
いよいよ完成が近づいてきました。火は中火に戻して、スープの量が7割くらいになるまで、じっくり煮ていく。麻婆豆腐は「煮る料理」ですので、きちんとここで煮てください。それにより、豆腐からさらに水分が抜け、全体の一体感が増します。
(5) 仕上げ
さあ、いよいよ仕上げです。ここからは最強火力、最短時間で行きます。火力は全開で行ってください。肩の力を抜いて腰を落とし、足を踏ん張って尻に力を入れてください。
まず、水溶き片栗粉大匙3を投入します。
当然ですが、水溶き片栗粉を投入すると急速にとろみがつきます。焦らない。次にみじん切りにしたニラを投入。火は終始強火。
続いて、山椒油大匙2、ごま油大匙2を投入。強火で炒めていきます。
これにより、豆腐はよい具合に崩れ、水分が飛び、全体が一体となっていきます。焦げそうだけど我慢してぎりぎりまで、鍋を返しながら、表面に油が浮き、鍋に少し豆腐類が焦げ付くまで強火で炒めていきます。このとき、この世界にはあなたと麻婆豆腐しかいません。
何が言いたいかというと、「集中しろ」ということです。
私と麻婆豆腐だけの世界になった瞬間。
ようやく完成です!
ラー油、山椒油、ごま油でつややかにコーティングされた最強シビカラ麻婆豆腐が出来上がりました。あとは、最強の友と会わせてやるだけです。そう、あいつです。
お互い嬉しいのでしょう、二人ともちょっと照れていますね。
何が言いたいかというと、「早く食べたい」ということです。
いただきます!
うーん。
口に入れて感じるのは、決して単純な辛さだけではなく、多種類の醤や豆鼓、ニンニクが織りなす、極めて複雑な辛み、旨味、痺れです。そして、豆腐。やはり、麻婆豆腐は豆腐に限りますね。
肉でもダメ、魚でもダメ。
豆腐という懐の広い人が主役だからこそ、麻婆豆腐は麻婆豆腐なのです。
いろいろな料理を作っていていつも思うのは、こういう定番レシピを作り出した人は本当に天才だということです。個人的には、麻婆豆腐と、カツ丼のレシピを考案した人は表彰したいといつも思っています。
3 まとめ
私はnoteに書くのはこれが初めてなのですが、「書き方ガイド」に「・文末で要点をおさらいしよう」として「文章の末尾にも、要点をおさらいするのがおすすめです。まとめがないと、読者は最初の方に書かれていたことを忘れてしまいます。文章が長ければ長いほど、章立てが多くなるほど、文末のまとめは重要です。」とありましたので、要点をおさらいしたいと思います。
・ 材料は特別なものは必要ないが、できれば山椒油は入手いただきたい。
・ 材料はあらかじめ切りそろえて全部準備しておく。
・ 豆腐は必ずゆでる。これ、試験に出ますよ。
・ 料理している最中は、弱火、中火、強火をきちんと使い分ける。火加減大事。
・ 醤類は弱火でじっくり炒めて香りを引き出す。
・ 片栗粉投入以降は最大火力・最短時間で。
・ 集中しろ。二人だけの世界に入れ。