115 私も憤っています。悲しくてやるせないよ。 赤塚さんへ
赤塚さんお返事ありがとうございます。
赤塚さん、私も憤っています。悲しくてやるせないのです。
まさに赤塚さんが書いておられた「いや、それだけでなく何かわからないけど、憤りが澱のように積もってゆく」そんな感じです。
赤塚さん、イスラエルに行ったときに見た広場のピアノは私も忘れることがありません。
そして、人質を返してもらうために、国民を守ることは当たり前のことだとイスラエルが叫ぶように戦いを続けている様子を知って、国民は、自分が何かあればきっと国が助けてくれると信じるし、国もそれが当たり前だと行動する。それが国だと知りました。
1月1日に能登に大きな地震が起きてから、何度か能登へは行っていますが、今回はまた9月に洪水で大きな災害が再び襲ったあと、改めて輪島へ行きました。
赤塚さん、主要道路は確かに通れるようになりました。でもね。何も変わっていないの。本当に何も。
崩れたままの家々。今にも崩れようとしている家々。
ひとつの道はでこぼこでもようやく、通れるようになっていても、多くの道はまだ通れないまま。大きな石がふさがれたまま。
なんとか残った家々で、ようやく九ヶ月経って、なんとか前を向いて歩いていこうと思った人々のところに土砂が流れ込んで、ようやく笑顔が戻ってきた人々の笑顔を奪い、心を奪っている。
もちろん今も懸命に復旧しようとしてくださるみなさんがいる。
でもね。入り込んだ土砂は硬くなり、人の手で書き出せるような量ではなく、また硬さでも無い。雑巾を持ってきてくださったボランティアのみなさんが立ち尽くしている。
私の何十年も前からの輪島市の町野町の友人は、野球の選手で、心の強い人です。でも私の顔を見て泣きました。「もう終わりや。終わりやぞ」と言って泣きました。
子供らはひとりもいなくなった。遠い学校へ転校して、親も仕事を変えて土地を離れた。地震よりもわけが悪いと泣くのです。
ねえ、赤塚さん。赤塚さんが行かれた台湾でも、大きな地震が起きました。私の友人が言いました。「地震があった場所へ行って驚いたよ。あんなに大きな地震があったのに、倒壊したビルはもうなくて、あちこちに屋台がたち、何事もなかったかのように生活していたよ」と。もちろん詳しいことは知らないので、今も困っている方がおられるかどうかはわかりません。簡単なことは言えないとは思います。
そしてね、能登の方が教えてくださったけれど、台湾の仏教系慈善団体「慈済基金会」が、被災世帯に1世帯あたり13万~17万円の見舞金を現金で配ってくださったそうです。それで、能登の友人に聞きました。自分の国、日本のシステムはとても難しくて、ややこしくて、現金ではなくて、困っているとおっしゃいました。今必要なところに届かないと。
いろんな事情があるでしょう。困っている人にどうしたらいいのだろうと考えることは必要ですよね。
赤塚さん、私は思うよ。もう地震からやがて一年になります。そして厳しい冬がやってくるよ。
お願いだから、助けてあげてと涙が止まりません。
瓦礫を撤去しないと何も始まらない。いろんなことを国はしていてくださってるのだとは思います。でもね、命がかかってるの。時間もないの。何事を替えてでも、国民一人一人を私は助けてほしいのです。イスラエルに行ってからね。私はそのことを一層強く思うようになりました。
国民は、もし、国がどんなときも守ってくれると思えば、税金を払うことだって躊躇なく払えると思う。
私は日本が好きです。本当はみんなそうだと思う。でも、能登を見て、イスラエルを見て、私は日本はいざというときに、私を、私の大切な人を必ずすぐに助けてくれるよとは思えないのです。
赤塚さんの大切なお友達の鍵山秀三郎さんが始められた「日本を美しくする会」のみなさんも、そんな中、能登へ入ってくださっています。そして、これからも長期的に入るよと言ってくださっています。
さきほど言った私の友人のところへ行ってくださることにもなりました。
「日本を美しくする会」の富山の友だちのたかちゃんは、トラックにショベルカーを載せて、何度も何度も通ってくださって、土砂をかきだし、大きな大木の根っこを掘り出して、ご主人を災害で亡くされ、旅館の一階の高いところまで土砂に埋まって、もう何もできないと涙にくれていたおかみが「今日は笑ってくれたよ」「笑顔が戻ったよ」と教えてくださいました。
そしてね、みなさんが、能登の報道が少なくなっているからどうか伝えてと言ってくださって、載せてくれた写真、私たちも撮ってきた写真を見て、「人の家を晒している」と書いて責めておられるのを見て、私はまた悲しい気持ちになりました。いえ、赤塚さん、まさに「いや、それだけでなく何かわからないけど、憤りが澱のように積もってゆく」よ。
赤塚さんが書いておられたように
「自分で考えることをしないで誰かの意見を鵜呑みにして眠っている人たちがイスラエルを責める。僕は、いつしかとても深いところで怒っていたような気がします。
そんな大衆や、行ったこともないのにイスラエルを悪く言う評論家たちに・・・
いや、それだけでなく何かわからないけど、憤りが澱のように積もってゆく」
何か同じだと思いました。行っていないのに、心を尽くして、伝えてくれている人を責めるのかと。
能登からの帰り道、虹が出ました。
写真を送ったら、友達が「遠いところから疲れたでしょう。に日はこの先の能登をあらわしてくれているのかな。きっと明るい未来に繋いでくれるよね」と返事が来ました。
何度も泣いていた友人がまたしっかり笑ってくれるように、何もできない私だけど精一杯できることをしたいです。
赤塚さん、靴磨きトラベラーのそうちゃんがイスラエルに入ってくださったのですね。
どんな出会いをされるでしょう。本当にたくさんの素敵なお友達とも出会わせてくださって、ありがとう。
赤塚さん 予定がいっぱいの中、もうすぐイスラエルの同窓会でモナの森へ来てくださいますね。楽しみにしています。 またね。