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9 「魔法の文通」生命は「与える」と強くなる 赤塚さんへ

「魔法の文通」生命は「与える」と強くなる 赤塚さんへ

赤塚さん お便りありがとう。
赤塚さんのお便りを読む時間、そして、こうして手紙を書く時間は私にとって、とても大切な時間です。自分自身の思いをみつめることができたり、ほっとしたりするのです。

先日のブックハウスカフェでの講演会で、お一人の方が「赤塚さんはかっこちゃんにとって、どんな存在ですか?」という質問をされました。
どんな答えを求めておられたのか、私にはよくわからなかったのですが、私は何も考える暇もなく、こんなふうにお返事していました。
「赤塚さんに、私はなぜあのときに、『腹心の友』とサインに書いたのか、自分自身は、もうわからないけれど、でもそれは今は間違っていなかったと思います。赤塚さんと奥様のひろこちゃんは、どんなときも、私が困ったときに来てくださって、どんなときも力をくださる。そして、私もそうでありたいと思うのです。長い時間の中には、何か理由があって、離れ離れになってしまう仲もあるけれど、私はお二人とはずっとこの先も一緒にいられると心から信じられます」と、その席にはひろこちゃんもおられたのに、突然の質問だったけれど、ああ私はそんなふうに赤塚さんと奥様のひろこちゃんのことを感じているのだと改めて思いました。

赤塚さんのお便りを読んで、私はロサンゼルスの新原豊先生のことを思い出しました。

新原先生は、UCLA大学医学部教授で、「鎌形赤血球症」の治療薬を開発された方です。とっても大きな体で、温かくて、一度でも先生に会われた方は、先生を好きにならずにはいられないような方です。
先生のご著書の『生命は「与える」と強くなる』(サンマーク出版)という本を抜粋して、載せさせていただきたいです。

「鎌状赤血球症は、とても悲惨な病気です。発作が起こると、激しい腹痛、全身の骨の痛み、吐き気にたびたびおそわれます。その症状が進むと、脾臓の萎縮による激痛発作にみまわれ、骨の壊死や、脳梗塞や,心筋梗塞による神経症の損傷で、死にいたってしまうのです」「発作はいつ起こるかわかりません。当然、学業や仕事に支障をきたすことになります。そのため、患者は病気と闘うだけではなく、社会的に阻害され、心理的、経済的な面でも大変はご苦労をかかえてしまうのです。発作のために、仕事を続けることができず、経済的にも困窮し、心も体もぼろぼろになった多くの患者が私のもとにおとずれます」「なぜ私だけがこんな苦しい思いをするのか、周りはこの痛みを理解してくれず、私をじゃま者扱いする。私がこの世に存在している意味がわからないとなげくのです。その嘆きに触れたとき、私は、生涯をかけて、鎌状赤血球の新薬を開発しようと決心したのです」

先生のこの御本は私の大好きな本です。 表紙の扉からじわじわともう涙がこぼれます。その言葉は「どんな人も何かを 与えることはできます。たとえそれが“ありがとう”というひと言だったとしても、それが誰かの希望となり、安らぎになるかもしれません」
先生が送ってくださって、本を手にすることができた夜は、倒れるように眠ってしまったけれど、朝、ものすごく早く起きて、夢中で読み、うれしくて温かく包まれるような思いの中にいました。
新原先生は、「生きるということは、愛を与えたいという対象がどんどん増えていくことなのかもしれません。自分を中傷したり、意地悪をする人たちにさえ、自分と同じ人間としての敬意をもつことができる。それが人間に与えられたいちばんの強さなのだと思います」と書いておられます。
「私たちの生命には細胞レベルから、“与える”という仕組みがプログラムされている」と。宇宙は愛でいっぱいで、私たちもまたその愛にしっかりつながりながら生きる存在なのだと改めて思いました。

赤塚さん、本を書くきっかけになったのは、赤塚さんも出てくださってる「1/4の奇跡」の映画なんだよと新原先生はおっしゃったんですよ。

先生が最初に1/4の奇跡の話を聞かれたときに、あまりに、鎌形赤血球の患者さんの苦しみがつらいことを思って、この痛みが誰かのためにあるというような考えを簡単には受け入れられないと感じられたそうです。ところが、患者さんに1/4の奇跡の話をしたときの患者さんの笑顔に接して、人は、与えるときこそ、強くなれる。そういう、素晴らしい存在なんだと改めて感じられたそうです。

赤塚さんが書かれたこと
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「May I help you?」

人として、誰かのために役に立つことほど嬉しいことはないのだと先生は教えてくれました。
「命は自分のために使ってはいけない。
 人のために使うものなのだ。」と、教えてくれました。

「手のひらは、もらうためより
         あげるため」だと教えてくれました。
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 人はもらうより、あげることに喜びを持ち、強く生きることができる。私は糸川先生と新原先生が同じことを教えてくださっていることに、鳥肌がたち、涙がいっぱいこぼれます。
 そしてね、赤塚さん。新原先生は鎌状赤血球症に劇的によく効く薬を開発されたのです。そのお話も私は大好きで大切です。
 先生は、人間の体が本当に素晴らしいということを思っておられて、病気があれば、必ず体は何かをしようとすると考えられたそうです。そして、わかったことは、鎌状赤血球症の方は、Lグルタミンという誰もが体の中に持っている成分の消費量がとても多いことに気が付かれるのです。それはきっと、病気を癒すために体がつかったのではないかと考えられて、Lグルタミンを患者さんが外から飲むことで、回復するということがわかったのだそうです。
 赤塚さん、どうかいつか、新原先生に会ってくださいね。大好きな人と大好きな人が仲良くなられるのは、本当にうれしいものですね。
 今日も長くなってしまいました。
 赤塚さん、暑い日が続きますね。私はこの前、お昼に公園で、金属の棒にたまたま腕が触れたら火傷で水膨れができました。ああ、こんなところにいたら、本当に死んでしまうなあって思ったのです。どうかお水も飲んで、体に気をつけてくださいね。

またね。    かつこ
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「魔法の文通」(モナ森出版)の続きです。


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