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121 なんて楽しい旅だったことでしょう 赤塚さんへ

ハノイから帰って二日がすぎました。
赤塚さん、今も私、楽しくてうれしい気持ちでいっぱいなのです。

ねえ、赤塚さん、短かったけれど、なんて楽しかったのでしょう。
今も嬉しかったり、楽しかったいろいろな場面が何度も何度も思い出されるのです。

朝の最初のお散歩で、線路の脇というか、鼻先を電車が平気でとおっていき、線路を真ん中にしていえ、線路そのものもカフェの一部になっているような魔法のような街に本当に驚いて、そして曲がった道沿いにある市場は、南国の果物や野菜や生きた魚やカニやエビが売られていて、そして、小さなお店は子供のお菓子やおもちゃんが売られていて、屋根の上には発泡スチロールのカゴが無造作に置かれていて、そんなお店の軒先にさがった銃を見て、私は遠い昔を思い出して、なんだかそれが欲しくなりました。
戦争も人を殺す道具も嫌だけど、小さい頃、みんなで遊んだ思い出は宝物なのです。
おじさんに赤塚さんがいくら?と聞いてくださいましたね。おじさんが教えてくれたのは、7万ドン。7万ドンというとびっくりするけど、0を3つ取って、6かけると日本円。四百二十円くらい。慣れていないからさっぱりわからなくて、お財布の中をみんな見せると、おじさんは説明しながら、20万ドン札をとって、おつりを丁寧に私たちの前で数えてだいじょうぶか? と聞いてくれました。
そしておじさんはにっこり笑って、ありがとうと言いました。余計に取るというようなことがなくて、次の朝もおじさんのお店に行こうっていうことになって、おじさんのお店におはようございますと尋ねたら、おじさんは嬉しくてまた銃を出してきたので、赤塚さんもそれを買ったら、赤塚さんは急にギャングになって、音が出る銃だったのだけど、上を向いて何度も銃を鳴らしたり、スーパーでもあちこちで、隠れてスパイになったり強盗になったりしていましたね。そんな赤塚さんは本当に楽しそうで素敵です。
それでそのおじさんはうれしくて、お水をノーマネー、またよくきてくれたね。サービスだよあげるからねと(ベトナム語でなので、たぶん、そう言って)くださって、握手をしてくれました。本当にみんな優しいのです。
赤塚さんは、「みんな優しいな。誰もごまかしたりしないもんな」って言いました。
そして「かっこちゃんよかったな」って。
それは、お水がもらえてよかったなというだけじゃなくて、優しいおじさんがいて、喜んでくれて、僕たちもみんなうれしくてよかったなという意味だったと思います。
すっかりギャングになった赤塚さんが旅の仲間を見つけるたびに、銃で打つとみんなウーっと言いながら笑って倒れていました。

ベトナムは中国に接していて、長くフランス領でもあったので、食文化が豊かです。飲茶、中華料理、フランス料理、もちろんベトナム料理、何をいただいてもおいしくて、みんなで「おいしいね」「おいしいね」と何度も言い合いました。

そして、赤塚さんがビールは六十五円やで!と驚いておられましたね。国によって貨幣価値が違うので、今は、国によっては、ハンバーガーが何千円もしたりして、驚くことがあるので、逆に安いことに驚きました。
赤塚さん、物価が安いということと、豊かとか豊かでないということは、別のことなのでしょうか?
ベトナムでは物乞いをする子供たちの姿を見ることはありませんでした。ベトナムは社会主義国。だから物乞いがいないのかなと思ったけど、思い出せば、社会主義国に行ったときにも、私は物乞いをする方の姿を見たりしました。
そして子供だけでなくて、大人も物乞いをされる方を私は社会主義の国でも見ました。
少なくとも私は、短い間だけどベトナムでは、物乞いをされる方の姿を見ることはありませんでした。なんだかそのことをずっと考えています。
赤塚さん市場も楽しかったね。おみやげの刺繍の雑貨を赤塚さんに値段交渉をしていただいて、みんなでいっぱい買って、それからウクレレのリカちゃんバンドのユニフォームを買おうということになって、バスから見かけたアロハを売っているお店に辿り着いて買ったときには、もうあと集合時間まで数分しか残っていませんでした。
赤塚さんとリカちゃんが歩くあとを追って、走って走ってすごく走っていたら、ひろこちゃんが、かっこちゃんそれってもしかしたら走ってるの?って聞いたのです。それが思い出してもおかしいです。走るのがすごく苦手なのに、私は笑いながら走っていて、ひろこちゃんが、つまづくかと思ったらピョンって上がったかと思ったら、顔が前の方に来ていて、もしかしたら走ってるのかなと思って、初めてかっこちゃんが走ってるのを見たって思ったそうです。本当に死ぬかと思うほど大変だったのに、笑っていて、今もそれを思い出すたびに、うふふと幸せな気持ちになります。

夜のトレインカフェの街に行ったときはもっと驚きました。さっき列車が確かに走って行ったはずなのに、そこには線路の上もどこにも人が溢れていて、お客さんを誘う人、雑貨を並べて売っている人、いろんな人がいっぱいで、線路の上を早足でイルミネーションの美しい中を歩いていきました。転んだら大変と思いながら、可愛い編みぐるみの白雪姫をみつけて、ひろこちゃんにお金を借りて(私は全部バスに置いていってしまったのです)買ったお人形が可愛くて可愛くて、とっても大切な思い出のお人形になりました。

私はそれから、旅の大切な仲間のかずっちが感じられたことを旅のLINEに書いておられたことも考えていました。
かずっちは
・・・・・・・
わたしは、ベトナムの🇻🇳
暴走バイクの中を🏍️🛵潜り抜けて歩く技術を身につけました!!
(嘘です🤥❣️)

都会と田舎の対照的な姿も
ホスピタリティに溢れた
ホテルマンの姿も
純朴で優しいベトナムの人も
感動しましたが🥹
(中略)

(この旅の仲間は)
ガイドのディエンさんの
人生を変えてしまった!!と思いました。

最後のご挨拶で、涙ぐんでおられて、2,500人の人を船でガイドするお仕事を、キャンセルしました。そして、明日は田舎に帰ります。
と、おっしゃいました。

わたしには、その言葉が、「わたしにとって大切なものが、経済的な豊かさを求めることではなくて、家族とのあったかな関係、きずなを取り戻したい。そのために、家族の待つ田舎に帰ります。」と聞こえました。

ディエンさんは、経団連のお偉い方々のことも、1週間の長旅を最高級の刺繍を求めるために、少数民族の部落を廻られるガイドを13年間もしてこられました。

たくさんのお偉い方々
たくさんのお金持ちに会って来られたことでしょう!

しかしながら、この旅のかっこちゃんに触れて、赤塚さんや平和くんの心に沁みるお話をお聞きして、平らかな関係のアットホームなみんなの様子を見られて。

きっと、人間は、必死のぱっちで働きつめて、擦り切れていくことよりも、今のこの瞬間をいつも喜び絶えず祈り、全てのことに感謝して生きることこそが、天国であり極楽であり、幸せの世界。だと、閃かれたように感じました。
(中略)
また、いつか、ベトナムに来た時に、ディエンさんは、私たちの旅でどんなことをお感じ、どんな思いから、翌日のお仕事をキャンセルされたのか、お聞きしたいと思いましたし。

その後の、生活をお伺いしたいと思ったことでした。
・・・・・・・・
優しいかずっちは、みんなのことに気を配られて、ディエンさんの様子にも気を配っておられたのですね。そしてね。それはかずっちだけではないようでした。
赤塚さん、ディエンさんにね、もう最後の方のレストランのあとにね、「お食事はちゃんと食べられましたか?」と伺ったのです。そうしたら「今度の皆さんには、いろんな人に何度も食事をしたかと聞いてもらって、こんなことはこれまでない経験です」っておっしゃったのです。そして「ちゃんと食べているので安心してください」とおっしゃいました。

そして、最後にリカちゃんが用意してくださった私の書いた『リト』の本とみなさんからのお気持ちをお渡しして、最後の挨拶をされたときに、涙を浮かべられていたようでした。そして、「明日の旅はキャンセルして、家に帰ります」って言われたのです。

ベトナムは道も悪くて、凸凹もあって、お二人の方が転んで怪我をされたけど、みなさんが荷物を持ち合ったり、心を配っておられました。発作のあるまゆちゃんの手をとっておられるようこちゃんの荷物もそうだし、みんなで心を配っておられましたね。
怪我をされたやぶちゃんは、あんなに手が腫れていても、どんどんよくなってきましたとおっしゃって、市場で座っておられたら、ベトナムの市場のおばさんが飲み物を口に運んでくださって、最後は抱きしめてくれたのだと教えてくださいましたね。
まゆちゃんが笑うと本当にみんながうれしくて幸せでならないのです。

本当に温かい優しい旅で、しあわせをいっぱい感じました。
ウクレレの練習をして、みんなの前で赤塚さんとひろこちゃんとリカちゃんと平和くんと私で演奏をして、そして今度はみんなで楽しく歌っていたら、低音部を歌ってくださったりして、あんまり楽しくて涙が出そうでした。
もう本当に最後にハノイ空港へ向かうときに、まゆちゃんがiPadで『虹』の歌を見ていて、かずっちやりこちゃんがそれに合わせて歌うと、まゆちゃんも歌っていて、そのあと、『君に会いたい』はリコちゃんが歌詞をリードしてくださったので、みんなで歌いました。

ひろこちゃんが「楽しくて毎年でも来たいくらい」って言ってくださったり、赤塚さんが出国に時間がかかっても「ベトナム好きになったから許す」ってブログに書いておられたり、平ちゃんも「かっこちゃんたちの旅はいつもストレスフルで楽しい」って言ってくださって、本当に本当にうれしくて、そんなこともベトナムのみなさんの優しさと、旅の仲間のみなさんの優しさとが合わさって、今回も忘れられない旅でした。

旅の間、赤塚さんも平和くんもどんなときも「今が、今こそがエデンであり、しあわせ」と教えてくださいました。私たちはいつもしあわせ。どんなときも、いつだって誰だって本当はしあわせ。そう思って進んでいけば、笑っていられるのだと感じました。
そして、それは旅のあいだだけでなくて、日常の毎日が本当はそうなのですね。

いつも喜んでいよう、たえず祈っていよう、すべてのことに感謝していようということが、いっそう心に沁みたのでした。

赤塚さん、いてくださってありがとう。ありがとうございます。大好きな赤塚さん、ひろこちゃん リカちゃん、平ちゃん、大好きな仲間のみなさんに心から感謝しています。

赤塚さんはまた次の旅に出られたのでしょうか? お嬢さんのお誕生日のお手紙をバスの中で読んでくださいました。お嬢さんのお手紙も奥様のひろこちゃんのお手紙も本当に素敵で愛がいっぱい溢れておられましたね。
お嬢さんが言われるように、今回もまた人の心を揺さぶり、人生を変えていかれる出会いをされていかれるのでしょうね。

今度お会いできるのはいつでしょう。またお会いできる日を楽しみにしています。
                                   かつこ

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