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104  手紙はタイムカプセル かっこちゃんへ

  かっこちゃん、ありがとう。
こうして手紙を書けることが嬉しくて、こころが喜びます。
言葉は不思議やな。
 音が組み合わさって言葉になって何かを表して、それが空気を震わせて、
相手の耳に届き、電気信号となって脳に流れ込んで、小包が開かれるように、
思いが届く。
まったく摩訶不思議。
 言葉は、文字になって紙に書かれて、文章になって物語となって、
相手の目に届き、電気信号となって組み立てられてゆく。
なんて謎なんだ。
 だから、こうしてかっこちゃんと文通をして心の声を文字にして届け合うって、
やっぱり驚くべきことなのだよ。
ずっとずっと続けてゆきましょう。
どこまでもゆこう。
とても楽しいから。

 かっこちゃん、僕は、子どもの頃から電話が苦手で、ちょっと泣きたくなる。
いまでも顔の見えない相手と話すのは、できるだけ手短にすませたい。
でも、手紙は好きです。
相手のことを思いながら、ゆっくりと空に浮かんでる言葉を掴んで、文章に紡いでゆくのは楽しい。

 今では携帯電話が発達して、ラインやメールですぐに文章が相手に送れてしまう。
便利だよ、確かに。
だけど、便利としあわせとは違うんだな。
言葉がどんどん薄く、軽く、安っぽくなっているように思うのは僕だけだろうか。

 ところで、かっこちゃん、久しぶりに何日か家にいて、
部屋の片づけをしていたら、書類の中から数枚のコピーが出てきた。
見てみると、「バラさん、シャローム!! 2007,7,26」という書き出しで始まる手紙だった。
 僕がバラさんに書いた手紙だ。
ちょうど、かっこちゃんが「宇宙の約束」の約束を出版されたときのものだった。
改訂版の「宇宙の約束」を今、かっこちゃんが作ってくれていて、
僕も文章を書かせてもらったところだったから、このシンクロには驚きました。
やっぱり目に見えない世界にすべて繋がっているんだね。
17年前の手紙、タイムカプセルのように僕らに届いたんだね。

「 バラさん、シャローム 2007.7.26

 いかがお過ごしでしょうか!?
去年の今日はエルサレムにいたのですね。
あっという間の1年でしたが、実にさまざまな学びや魂の変化に恵まれた1年でした。
 33人の魂の兄弟たちとの旅は、聖霊の導きによるものであることは、
私にとって疑う余地のないところであり、ひとり一人が自覚しようがしまいが、
一方的に聖霊が注がれたこと間違いないと思っています。
 それぞれが、それぞれの場所で時が満ち、魂の転換がおきることでしょう。

 キリストの神さまは、絶えず一人一人の魂の扉をノックして下さっていますものね。

「宇宙の約束」が世に出たことも大きな意味のあることで、
山元加津子というアンテナ、センサーが私とは次元が違うのだと改めて思い知らされました。 それは参加者が皆認めるところです。

 禅の修業をし、知的に理解を深めようとしている徳江さんにいたっては、
「トイレに入っては出られなくなり、自分の車も見失い、方向音痴も甚だしい、
 あのような女性がなぜ、あんな言葉を見つけられるのか?
 私は考えることがむなしくなった」と、言いましたよ。

光田なおこさんは、「同じ風景を見ていながら、何故にこれほど感じることがちがうの?!
  私、旅の間ずっと寝ていたのかしら!!」と。

流石に我らが姫様、山元加津子。
驚くべき感性です。
本当にあの旅は、私の人生の大いなる証となりました。
生きていてよかった! あの仲間たちと旅ができて・・・
イスラエルを、キリストを伝えることがこれほどまでに幸いだとは。

アシュレーーイ!!  今でも胸が熱くなります。

 さて、バラさん、いただいていたお便りの質問にお答えします。
伊勢神宮正式参拝の件です。
バラさん、初めての伊勢神宮参拝ですね。
御垣内に入る手続きはお任せください。
手続き以上に「縁」が大切だと、私は考えています。
 
 内閣総理大臣であろうと、著名人であろうと、神の前ではただの人です。
彼らは、役職や役割が呼ばれるのです。
バラさんは、そうではなく「魂」が呼ばれたのだと思います。
 わが師、糸川英夫博士は、
「日本とイスラエルが手をつなぐことで、やがて世界が平和に導かれる」と、預言されました。
 バラさんは神さまにとっても希望である、日本とイスラエルが手をつなぐための大切な
存在。天照大神が喜んでお迎えくださることでしょう。
修養団の中山靖雄先生ご夫妻もバラさんとの参拝楽しみにしておられます。

 私はこう考えています。
エルサレムも、ギリシャ、エジプト・・・世界中の神殿はもはや死んで命の通わぬ遺跡。
しかし、伊勢の宮は今もありありと生きて、神の命が流れている人類の希望。
伊勢がダメになったら、日本がダメになる
日本がダメになったら、世界がダメになる
中山先生は、日々伊勢神宮で祈り続けてくださっています。
 世界の聖地エルサレムに住むバラさんを、伊勢に住む私が正式参拝に導くのは、
神さまの願いだと思うのです。
 
 榊の原が茂る。
榊原茂という名前が、日本神道そのもののようにも思えます。
名前とは、氏名であり、そして使命ですね。
この世に生まれてきた意味が名前に込められているのではないでしょうか。

 日本の人たちは、私がイスラエルに行くと言うと、決まって
「そんな危険なところ大丈夫なの?」と言います。
魚に水が見えないように、日本人に日本が見えないのですね。
私には、愛国心を失って、毎年3万人以上が自殺する日本が安全だとはもう思えないのです。
自殺未遂というケースも多く、一説には50万人が毎年自殺を試みているそうです。
膨大な数の人が自分で自分を殺そうとしている日本という国は、まさにサタンの支配する精神荒廃の世界のようにも見えるのです。
 美しい国の在り方から遠ざかる日本に比べて、イスラエルが平安に思えるのです。
そのことを一人でも多くの人に伝えたいというのが、私がイスラエルの旅を続ける理由でもあるのです。
 ところで、バラさん、同封のチラシはかっこちゃんの映画と講演会の広告です。
7月7日、七夕の夜のイベントでした。
私のログハウスにかっこちゃん、ペテロ小林、徳江さん、大谷さん、そして光田なおこさん。
旅の兄弟が集ってくれました。
 4月に私の父にガンが見つかり、末期で手術不能と余命宣言されました。
医者から見放されても、神さまは見放しはしない。
父に小さな楽しみを持ってもらおう、明日に希望を感じてもらおう、と考えて、
かっこちゃんの映画の上映、講演会を企画したのでした。
 結局、父は待ちきれず、その一月前6月7日に天に還りました。
父の棺桶には「宇宙の約束」を入れました。

 葬式は儀式なのでお定まりの流れでやらざるを得ませんでしたが、
喪主の挨拶の時に私は話しました。
「命が尽きて父が死んだと思わないでください。
 肉は滅びましたが、命は永遠であり、滅びることはありません。
 今日は父が次の世界、約束の場所に旅立つ日ですから、どうぞ悲しむのはやめて、
 喜んで送り出してください。
 私たちは一人残らずその約束の中で生かされているのですから・・・」

 後日、葬儀社の社長から、
「いままで数えきれないほど葬式をしてきましたが、あんな挨拶を聴いたことはありません。どちらで勉強されたのですか」と、聞きに来られましたよ。

 キリスト・イエスが私に伝えてくれたのは、道徳や倫理、また水をワインに変えるような奇跡じゃなく「死を貫いて続く永遠の命がある」ということ。
そう、人は死なないのです。
 この世は橋なのだと私は受け止めています。
焼き場でも、扉が閉められる瞬間、私は大きな声で
 「お父さん、行ってらっしゃい!!」と叫びました。
親戚一同びっくりしていました。
でも、何人かは「救われた」と言っていましたね。

 イスラエルの旅や、祈りを通じて注がれていた神さまの霊が、
知らぬ間に私を「変容」させてくれていたようです。
伝道者パウロのように、どこでもいつでもキリストを伝える祝福の水路として用いられたいと願わされるのです。
 でも、牧師先生のような理屈でなく、偉い人のように道徳でもなく、
「智」を超え、「情」を突き抜け、熱と光が届きますようにと祈ります。

バラさん、7月7日のかっこちゃんの講演会は父のために企画したつもりだったのだけれど、今思えば父が僕のために備えてくれたようなひとときでした。
 全国各地から友だちを集めてくれて、
「高仁、お前の人生の宝、それはよき友だぞ」と。

修養団の中山靖雄先生は父の葬儀に
「よき人の
    広きお空にかえりゆく
   星と輝き 永遠(とわ)の光に」と詠んでくださいました。

 バラさん待っていてくださいね。来年の春またイスラエルの旅に出るから。
また33人で、神さまとお出会いするのです。
 いろんなことがあるけれど、すべてはうまくいっているのですね。
神さまは必要、必然しかなさらないし、それらは決まって最善ですから。

 またね、バラさん、元気でね。

      主に在りて     パウロ赤塚」

 かっこちゃん、17年という時間もすべて「今」に折りたたまれてある。
未来という名の花の種も「今」にある。
なんだか、いまでもバラさんがすぐそばにいるように思えてならないよ。

  新しい「宇宙の約束」が生まれるのが楽しみでなりません。

     毎日暑いけど、溶けないようにね。

         またね、かっこちゃん、 パウロ高仁より

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