【読書】
『螢草』 葉室麟 双葉文庫 (2021/12/6~1/12)
葉室麟の小説は、直木賞受賞作『蜩ノ記』を単身赴任中(2010年頃)に読んだのが最初だった。その後『銀漢の賦』『川あかり』と読んだ記憶があるが、その後は、葉室作品からは久しく遠ざかっていた。
先日、何気なく手に取った新潮文庫の『橘花抄』は、涙が出るほど清々しい小説だった。文中、
「花の美しさは生き抜こうとする健気さにあるのです」という言葉が印象に残っている。
今回の『螢草』は、テレビ番組のエンターテイメント時代劇風な場面設定で、些か通俗的でもあり、『橘花抄』ほどの重みは感じられない。がしかし、葉室作品を気軽に楽しむには恰好の作品かもしれないと思った。
「ひとは相手への想いが深くなるにつれて、別れる時の辛さが深くなり悲しみが増す」(126頁)という一文を、自分のメモに記した。
私の中では、主人公の奈々役は「綾瀬はるか」一択のようだ。
(了)