学級担任として感じていることあれこれ
令和4年度も学級担任をしています。教員として1年育児休暇で休んだのを除けば、50歳になる今も学級担任として24回目を迎えます。今年度は学年の先生や生徒に恵まれ、近年まれにみるいい学級になってるなあと思っています。24回学級担任をやってみて、感じたことあれこれを思いつくまま書いてみます。
1.荒れた学級を立て直すのは至難の業
24の学級を持ってきたわけですが、学級崩壊とは言わないまでも、荒れた学級にしてしまったこともありました。いじめが起きたり、対教師暴力が起きたりしたことがありました。同僚に支えられ、管理職に恵まれましたので、幸い途中で投げ出すこともなく、どの学級も1年間やり遂げられたと思います。でも一度崩れてしまった学級を立て直し、1年終わるころに「このクラスでよかったなあ」と思わせるのは自分には無理でした。
自分は荒れたクラスを立て直すのは苦手と認識してからは、とにかく荒れないようにいじめがおこならないように、丁寧に生徒の様子を見ようとするようになりました。気になる子がいれば先手先手で話を聞き、「先生はいつも見ているし、いつでも相談に乗るよ」という姿勢を見せます。この「生徒に様子を尋ねる」ということを「ま、あとでいいか」と後回しにしたことで、問題が大きくなってしまったのでないかと感じること何度かあったので、ちょっと気になることがあれば、早め早めで生徒と面談しています。
生徒に様子を聞くことで、同僚や管理職と情報を共有できるし、チームでその生徒を見ることができるようになります。
2.「学級をよくするのも悪くするのも君たちだ」というメッセージを送り続けると、自治意識が芽生える
このことは特に今年度意識して生徒に伝えていて、担当した生徒の気質に合っていると思います。ここ何年かはこんなことを生徒に伝えて、学級経営をしています。
「学級担任として私は私しかできないことを頑張る。でも中学校の学級担任は小学校と違って、君たちとずっと過ごすわけではない。教科担任の先生が入れ代わり立ち代わりやってきて君たちに授業をしてくれる。だから何か問題が起きても私は最初に対処できない。教科担任の先生なんて、自分の学級じゃないから、よっぽどまずいことがあれば叱るだろうが、細かなことまでは刺さらない先生が多いと思う。この一年をかけがえのない一年にしたい、解散するときに『このクラスでよかった』という気持ちを持ちたいのであれば、君たち中学生は自分たちで自分の学級をよくしていかなければならない。学級が良くするのも悪くするのも君たちしだいだ。」
ある意味突き放したように聞こえるかもしれませんが、事実学級担任は多くても一日1、2時間程度しか自分の学級を見ることはできません。ですので上のようなメッセージにつながります。
このメッセージで「よしやるか!」と最も火がついたのが、今年度の生徒でした。もともと強力なリーダーシップをもつ学級委員長がいたクラスですが、昨年度は若干孤立気味だったと聞きました。今年はその学級委員長を支えるフォロワーを多く育て、学級委員長が多数派となるような集団にしてやりたいと思っていました。
昨年度は一般生徒だった2名の生徒が副委員長に立候補・推薦され、学級委員長は有能な2人の仲間を得ることになります。3人には次のようなメッセージを伝えました。
「学級目標が決まったら、その目標を達成するためにいろいろな手立てを考えてやりなさい。失敗してもいい。先生が支える。学級委員長や副委員長が自分たちのために一生懸命頑張る姿を見せ続ければ、必ず一緒にやってくれる仲間が出てくるから」
3人は学級をよくするために矢継ぎ早に様々なキャンペーンを打って出ました。
① 毎週の学級目標に対して個人個人がどのように取り組むか宣言させ、それを付箋に書き、自分の机に貼る。そして毎日振り返りを帰りの短学活でペアでさせる。学級委員長は全体を振り返り講評を述べる。
② 授業の最初のあいさつの時に副委員長が前に出てきて、この授業で頑張ってほしいことを全員に伝える。終わりのあいさつでまた前に出てきてこの授業の振り返りを伝える。
帰りの短学活では学級担任の先生が学級のまずい点をくどくど説教したりなんてことがあるかもしれませんが、このクラスについてはまったくいう必要がありません。なにしろ学級委員長がすべて言っちゃうんですから。
3.学級づくりの最初のとりかかりはお互いをよく知ることから始めるとよい
学級づくりの最初に自己紹介やすごろくトークをすることが多いのではないでしょうか。でも4月にこれらをやるだけでは十分ではありません。ほおっておくと、生徒たちは同じ部活動の仲間や昔からの友人など、今までの人間関係をそのまま維持させようとして、新しい人間関係を結ぼうとはしません。クラスの中に話したことがあまりない、関わったことがあまりない人がたくさんいるという状態になります。そうすると、授業が学級活動の話し合い活動が滞ったり、困ったクラスメートがいても知らないふりという生徒になっていき、リレーション(かかわりあい)がないクラスになっていきます。
学級活動の時間や帰りの会などで余裕があると、できるだけ「ペアトーク」をさせるようにしています。頻度でいうと1週間に1回程度でしょうか。やり方は1~15の番号を書いたカードを2セット作ります。それを生徒にひかせて新しいペアをランダムで作らせます。そのペアが与えられたテーマで3分間おしゃべりするだけです。テーマは以下のようなものをさせてきました。
(1)お互いをほめたたえよう
(2)今週のクラスのMVP
(3)今週のクラス目標の達成具合はどうだったか
話し合うときに、話を引き出させるように工夫させ、次のような言葉を使わせます。
(1)なるほど、それから?
(2)それでどうなったの?
(3)どうしてそう思った・そうしたの?
(4)もっとそこくわしくしりたいな・説明してほしいな
校内で行われる学習アンケートに「授業の中での話し合い活動に積極的に参加していますか」という項目があり、生徒が1~4の(1が悪い、4が良い)スケールで自己評価するのですが、このクラスはほぼ4に近い数字でした。生徒が自分のクラスの良いところとして「男女の仲が良い」ことや「話し合いがスムーズに進む」ことを挙げていることにもつながっているような気がします。