(連載小説)「空の上の殺人~岡部警部補シリーズ~」最終話(全3話)
1時間後、飛行機は無事沖縄空港に着陸した。この間あの刑事とは話をしなかったが、ほぼ無力な状態になっており、なんとか重野のおかげで着陸できたが、一人だったらパニック状態になっていただろう。機長として失格だ。そう思っていた。
いつもの確認を終えて、飛行機から降り、長い廊下を歩いていると
「あっ森山さん!」
後ろを振り向くと、そこには岡部の姿があった。完全に会いたくない人物ナンバー1だ。しかし、こんな時間まで飛行機の中にいたと言うことは、何か大事な話が自分にあるという意味とも取れる。自分は少し戸惑いながら
「あっ岡部さん。ずっと待ってたんですか?」
「はい。客室乗務員さんに頼んで飛行機の中で待たせてもらいました」
「そうですか」
少し不機嫌そうに言った。それもそうだ。さっさとあんたから逃れたいのに、わざわざ待ち伏せして、そんなに自分が疑わしいかと怒りの感情もあったほどだ。
すると岡部が少し笑顔で
「実は、この事件の真相が分かったので、そのご報告に」
「あぁそうですか。それは興味深いです」
全然そうとは思っていなかったが、とにかく何か言わなきゃいけないと感じたため出た言葉だ。内心はさっさと帰らせてくれと思っていた。
すると岡部が少し重い顔になり
「えぇあの被害者を殺した犯人は、機長あなたです」
まさかかと思ったがその予感は的中した。でも自分とあいつを繋ぐものは何もない。そう思い
「それは一体どういうことですか?私があいつを殺した。そんな根拠や証拠はどこに」
すると一つのスマホを出し、その中の写真を自分に見せてくる岡部。すると目を疑った。そこには外の空を映した写真だが、その反射で明らかに自分の顔が映っていたのだ。
すると岡部が少し笑顔になり
「これ、森山さんですよね。それもあなたの前にいるのは被害者の男性ですよね。これは一体どういうことですか」
少し自分は戸惑いながら
「こんなのどこで」
「先ほど、私言いましたよね。お子さんと一緒に乗っていた乗客の方が顔は見なかったが、誰かがトイレに向かって歩くのを見たって、それはこの写真を撮っていた時の出来事なんですよ」
もう何とも言えなかった。こんな写真を撮られていたなんて想像もしなかった。そう言えば最近のスマホはシャッター機能がないのもあるため、確かに気づかなくてもしょうがなかった。
負けた。これしか言葉が無かった。そのまま黙り込むしなかった。
すると岡部が
「あの、一体被害者とはどういった関係なんですか?」
すると自分は微笑み
「それは取調室で話しますよ」
そのまま二人は警察署にそのまま向かって言った。
~最終話終わり~